春分を過ぎ春らしい気候になってきましたが、まだ朝晩の空気はひんやりとしております。そんな中外出すると、冷たい風で頬や鼻が赤くなってしまうという方も多いことでしょう。
これは人の体がもつ防御反応であり自然な現象ですが、中には「顔がカーっと火照ってしまう」「頬が極端に赤くなる」などの強い反応がでてしまう方もいます。これは「酒さ」や「赤ら顔」と呼ばれる病気であり、成年女性に多くみられるものです。顔の広い範囲に強い赤みがでてしまうため、見た目が気になって悩まれる方も多くいます。
この酒さ、赤ら顔とは一体どのような病気で、どのような治療方法があるのでしょうか?
本記事では、酒さについて、漢方による治療に焦点を当てて解説をします。
酒さってどんな症状?発生する原因は?
「酒さ」あるいは「赤ら顔」と呼ばれるこの病気は、頬や鼻が赤くなる、毛細血管が浮き出てくることが主な症状です。中には吹き出物ができてしまう、さらにひどくなると鼻の周囲の皮膚が肥厚して、団子鼻のようになる場合もあります。
酒さは典型的には30-50代の女性で発症します。菌の感染やかぶれによって発症するとも言われていますが、実際のところ発症の原因ははっきりとわかっていません。食生活や飲酒の習慣、日光、冷たい風(寒暖差)、精神的ストレスなどの環境要因が、酒さや赤ら顔の発症に関係していると考えられています。
酒さの症状は他の疾患の症状とも似通っており、個人で判断することは危険です。別の疾患の可能性もありますので、酒さを疑った際まずは病院で医師の診察を受けてくださいね。
漢方で酒さを治療できます
酒さはどのように治療を進めるのでしょうか?
一般的に、病院に行くとニキビ治療でも使用される抗菌薬(内服薬)やイベルメクチンなどの塗り薬を処方されます。それに加え、血管の拡張に対しては必要に応じてレーザー治療を行います。
現時点で酒さには対症療法しかなく、薬の内服・塗布いずれも、目にみえる症状を一時的に抑えることしかできません。拡張した血管に対してはレーザー治療を行うこともありますが、痛みなどのリスクがあります。レーザー治療は原則保険適応となりますが、症状によっては自費診療となる場合もあり、金銭的な負担の大きさも無視できません。
一方、漢方の場合は少し異なった考え方をします。
漢方薬や鍼灸などで治療を行う東洋医学では、その症状を引き起こしてしまった体の状態や体質に着目して治療を行うことが大きな特徴です。
本来、体のバランスが整っていて健康であれば酒さは生じません。東洋医学では酒さを引き起こす原因となっている体のバランスの乱れを見つけ出し、そこを改善するための治療を実施していくのです。そのため漢方は、体質改善の側面も併せ持っているということができます。
酒さの場合、東洋医学では体内の血の巡りが滞った状態であると考えます。頬に血液が滞ってしまっているため、外からみてわかるほどに強く赤くなったり、熱を持ったりするようになるのです。この状態に対して漢方では「駆瘀血薬」という、血の巡りを良くする漢方薬を処方します。またのぼせやすい人の場合は、体の状態に応じて熱を冷ます効果のある漢方薬を併せて使うこともあります。
これらの漢方薬を服用することで、目先の症状の軽減ではなく根本的な体質改善を図ることができるため、酒さや赤ら顔の根治を望むことができます。症状が出るたびに薬を飲んだり塗ったりしないといけないといった煩わしさから解放されると、日常生活もずいぶん過ごしやすくなるのではないでしょうか。酒さや赤ら顔は外見に影響がでてしまう病気なので、症状がなくなることで外出しやすくなると感じたり、メイクやファッションなどを再び楽しんだりできるのも嬉しいですね。
酒さを治すためには生活習慣の見直しも忘れずに
さて、ここまで漢方による酒さの治療についてご説明してきましたが、酒さはさまざまな環境要因で症状が悪化することがわかっているため、漢方薬での治療に加えて、この生活要因を取り除く努力も必要です。
前述したように酒さを悪化させる要因としては、食生活や飲酒の習慣、日光、冷たい風、精神的ストレスがあります。飲食については特に香辛料やアルコールの摂取が症状に悪影響を与えますので、少しずつでも摂取する機会を減らしましょう。肌に直接影響を与える要因である日光については、紫外線を避けるために日焼け止めの使用が有効です。肌への物理的刺激を避けるという意味では日傘の使用も有効です。
日常生活を変えるのは時間や手間がかかり、すぐに実行できないこともあると思います。ですが環境要因は毎日の生活の中に潜むものです。一つでも無くせば体が受けるストレスは大きく減らすことができます。環境要因がなくなることで漢方薬の効果も早期に得られるようになりますので、勇気を持って生活を見直してみてください。
漢方で酒さを緩和したい!漢方の相談・購入先は?
顔が赤くなることにお悩みで、漢方の力で改善をしてみたいと考えていらっしゃる方は、まずはお住まいの近くに煎じの漢方薬を処方してくれる病院や漢方薬局があるか探してみてください。すでに病院で治療をされている場合は、その病院で煎じの漢方薬を処方してくれるかどうか尋ねてみてください。
漢方薬には「エキス剤」と「煎じ薬」があります。
エキス剤とは、決められた割合・量の生薬を配合・抽出したエキスを、顆粒や錠剤などに固めたものです。あらかじめ顆粒や錠剤などになっているため、保存しやすい、携帯しやすいなどのメリットがあります。一方、生薬からエキスを抽出・加工していく過程の中で、有効成分が失われてしまうことがあり、体の状態や体質によっては効果が薄いと感じられる場合があります。煎じ薬とは、配合された生薬を煮出した液のことを指します。処方された生薬を自身で煮出す必要がありますので手間がかかる、煮出したものは液体なので持ち運びがしづらいというデメリットがありますが、生薬を丸ごと煮出すことで生薬に含まれる成分を逃さずにすみますので、より高い効果を得ることができます。せっかく漢方薬を服用いただくのであれば、効果がより高い”煎じ薬”を服用いただきたいと私たちは考えています。病院、漢方薬局を探す際には、是非”煎じ”の取り扱いがあるかをご確認ください。
もしも、お近くにそのような病院・漢方薬局がない場合には、私たち、漢方専門なつめ薬局で遠隔相談をお受けしています。なつめ薬局では私たちが煎じたものを1パックずつ包装してお渡ししますので、患者さまはご自宅で煮出す手間をかけずに飲むだけになります。
酒さや赤ら顔でお悩みの方はぜひご相談ください。