【不妊治療と漢方/札幌】鬱やパニック障害治療薬で高プロラクチン血症の恐れ

精神病治療薬を飲みながらでも妊活できる?

これから妊活することを考えていたり、実際に妊活をしていると、「この薬を飲みながらでも妊娠できるかな?」と気になってしまったり、中には「妊娠に影響があるといけないから飲むのをやめておこう」と薬を飲むことを躊躇ってしまうことがありますよね。

うつ病やパニック障害などの精神病をお持ちで、精神病治療薬を服用されている方の中も、このようなお悩みを抱えていらっしゃる方がいるのではないでしょうか。

今回は精神病治療薬が不妊を引き起こしてしまうリスクや、解決方法について解説をしていきます。

精神病治療薬が高プロラクチン血症を引き起こし、不妊の原因に

うつ病やパニック障害などの精神病にかかった際に処方される薬(例:オランザピンやリスペリドン)を長期的に服用していると、副作用として「高プロラクチン血症」を引き起こしてしまう可能性があることをご存知でしょうか。

プロラクチンとは妊娠中や出産後に産生されるホルモンです。母乳の産生・分泌を促進する役割を持ち、これにより出産後のお母さんが赤ちゃんに母乳をあげることができるようになります。また同時に、プロラクチンは排卵を抑制する役割を持っています。これは、授乳中は乳児のお世話(授乳)に集中してもらい、新たな妊娠を防ぐためとも言われています。

このプロラクチン、妊婦さんや産後のお母さんの中で濃度が高いのは正常なのですが、それ以外の妊娠されていない女性や男性などが何らかの理由でプロラクチン濃度が高い場合、それは異常であり「高プロラクチン血症」と呼ばれることになります。高プロラクチン血症になると、女性であれば排卵抑制が起こり、無月経などの月経異常につながります。そして、それが不妊を引き起こすことになるのです。男性であれば性欲減退や勃起不全などがみられます。また、男女問わず乳汁分泌などもしばしば見られる症状です。

なぜ精神病治療薬で高プロラクチン血症が起こるのでしょうか。

通常状態では、体内でのプロラクチンの分泌は、脳内の視床下部から分泌されるドーパミンというホルモンにより抑制されています。ですが、精神病治療薬にはドーパミンの働きを抑える作用があるため、プロラクチンの分泌を抑制できなくなってしまいます。それにより、プロラクチンの血中濃度を高め、高プロラクチン血症を引き起こしてしまうのです。

月経異常などの症状が発生している場合は、医師に相談することで薬を変更してもらうことも可能です。ですが、再度薬の投薬量を調整する必要があったり、別の副作用が出てしまったりなど、代替薬が見つかるまでに時間がかかってしまう可能性があります。またそもそも多くの精神病治療薬は、薬の性質上体内のプロラクチン濃度を高めてしまうものが多く、薬を変更してもプロラクチン濃度が下がらないというリスクもあります。

妊活のためにと精神病治療薬の減薬、あるいは休薬をする場合、プロラクチン濃度は低下し症状はおさまるでしょう。ですが今度は精神病の治療がストップしてしまい、症状の再発・悪化など、患者さんにとってやはり辛い状態になってしまいます。

精神病治療中に妊活したい場合は漢方がおすすめ

本当に精神病の治療と妊活は両立できないのでしょうか?

実は、漢方を利用することにより、精神病治療薬の副作用である高プロラクチン血症を引き起こすことなく精神病の改善・治療をすることができます。

例えば、パニック障害の患者さんが抱える動悸や不安感について、漢方の世界では、身体を巡っている「気・血・水」のうち、「気」が上昇している、あるいは「気」が滞っており、それらによって身体のバランスが崩れている状態にあると判断します。よって漢方では、主にその「気」を発散させる、あるいは「気」の滞りを解消するための薬が処方されます。

また患者さんの多くは、精神的な不調の他に、腹部の詰まり感や発汗、頭痛など身体的な症状を抱えていらっしゃいます。漢方ではそれらの身体症状についても、問診や舌診を通じて発症の原因を特定し、最も適した漢方薬を処方していきます。身体症状についても、対症療法ではなく、身体バランスを整えることにより改善・治癒を図っていきますので、日常生活における痛みや、痛みから生じる生活・活動の不便さから解放されることが期待できます。

上記のような漢方薬、あるいはその他の精神病の改善に向けて処方される多くの漢方薬は、高プロラクチン血症などの生殖機能や妊孕性に関連する副作用を引き起こさないということがわかっています。また漢方薬によって、前述のように高プロラクチン血症以外の副作用を軽減させることも可能です。漢方を服用することで、精神病の治療か妊活かという二者択一ではなく、精神・身体の状態を整えながらどちらも並行して取り組むことができるようになります。

病院で一般的に処方される薬は目に見えている(=身体に表れている)症状を対症療法的に改善する場合が多く、服用をやめると症状が再発する場合も多々あります。一方、漢方では症状そのものだけではなく、身体全体を診て症状を引き起こす原因となる身体バランスの乱れを探します。そしてその乱れを改善していくことに重きを置いて漢方薬が処方されます。ですので、漢方薬を一定期間服用することで、身体のバランス自体が整えられて健康な状態に導かれていきますので、服用を止めても症状が再発する可能性は低くなるのです。

ご自身の年齢や生活・仕事の環境、パートナーとのタイミングなどを考えて妊活を始める場合が多く、精神病の完治を待っていられないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。とはいえ、治療を中断してしまうとまた辛い症状が再発してしまうので薬の服用を止めることも怖い…となかなか妊活に踏み出すのも躊躇ってしまいますよね。

そんな時には、漢方を活用することで精神病を治療しながら妊活もできます。症状や治療の状況にもよりますが、病気の治療も諦めず、且つ自分の望むタイミングで妊活を始められるというのは、人生設計の上でとても大事なことです。

漢方で精神病治療をする場合の相談・購入先は?

精神病の治療をされており、且つ妊活することも考えていらっしゃる場合は、ぜひ漢方を取り入れてみることを検討してみてください。

実際に漢方を活用しながら精神病の治療をしたいと思われた場合には、まずは通っている病院で煎じの漢方薬を処方してくれるかどうか確かめてみてください。処方の取り扱いがない場合には、お近くの漢方薬局や、煎じの漢方薬を処方してくれる精神科を探しましょう。

精神病の治療も、漢方薬の相談・処方も、丁寧なカウンセリングが鍵です。漢方薬を処方してくれる薬局・病院だとしても、うまく症状や悩みを伝えられないと、きちんとした診断や最適な漢方薬の処方が難しく、服用の効果がなかなか現れてきません。ぜひご自身が相談しやすいと思えるところを見つけてみましょう。

もしお近くにそのようなところがない場合には、私たち漢方専門なつめ薬局では遠隔相談をお受けしていますので、私たちにご相談ください。

関連記事

TOP