札幌の漢方専門 なつめ薬局 、薬剤師の阿部です。
認めたくないけれど30代になってから肌の衰えを感じてきた…という方も多いのではないでしょうか。
シミや毛穴の開きだけでなく化粧ノリが悪いなど、大きなトラブルがあるわけではないけど、なんとなく変化を感じているかもしれません。
新陳代謝や女性ホルモンの分泌に変化が出てくる30代をそのまま過ごしていると、40代、50代で急激な肌の老化にショックを受けてしまうでしょう。
美肌を保つためには、肌表面のお手入れだけでなくカラダの内部からの働きかけが重要です。
30代以降に起こりやすい肌トラブルの原因と、カラダの中からのアプローチが必要な理由について漢方の考え方からご紹介します。
漢方から考える肌トラブルの原因
30代はお肌の曲がり角ともいわれます。
なぜかというと、新陳代謝のピークは10代後半、女性ホルモンのピークは20代後半から30代前半だからです。
また、女性にとってライフスタイルの大きな変化となる妊娠、出産は、カラダへの負担も大きなものです。
この時期のケアを怠ると肌の老化が加速してしまいます。
妊娠中や出産後だけでなく、妊娠前からカラダのベースを整えておくことで、心身ともに激しく負担のかかる時期を乗り越えていけるでしょう。
つまり年齢による肌の悩みの大元は、カラダ全体の機能低下によるものなのです。
加齢とはカラダの内部環境の変化です。内部環境を整えなければ 肌 も良くなりません。
東洋医学では、病気や不調に対して症状が出ているカラダの一部分だけに注目するのではなく、カラダ全体をトータルで診ます。
人間のカラダを構成する「気・血・水」、東洋医学的な臓器の考え方である「肺・心・肝・脾・腎」の五臓などが、絶妙なバランスを保って生命を支えています。
このバランスが崩れたときに、肌や内臓など目に見える不調となって外に現れるのです。
肌の調子が悪くなると、新しい化粧水や美容液を試してみる方もいるのではないでしょうか。
また美顔器やエステなど、肌の外から刺激を与えてスキンケアをしているかもしれません。
しかし、これらはどれもカラダの中のごく一部に働きかけているだけで、根本的な解決にはなりません。
実際に、高価なスキンケア用品をいろいろ試したけれど効果を感じられなかった……という方もいるのではないでしょうか。
「ナノ成分配合」「高浸透」などをうたっている化粧品は肌の奥まで美容成分が届くんじゃないの?と疑問に思う方もいるかもしれません。
けれども、この「肌の奥」というのは、実は肌表面の角質層の奥のことなのです。
厚さ0.2ミリほどの表皮のうちのさらに一番外側の0.01〜0.03ミリの部分、ここに届いたからといってたかが知れています。
しかも角質層は、あとははがれて落ちるだけの死んだ細胞です。
広大な砂漠にせっせとジョウロで水をまいて地表が濡れているのを見て、「うるおった!」と言っているようなものではないでしょうか。
それよりも、砂漠に緑が生えるように、 漢方 の力で内側からカラダ全体を健やかな状態に戻してあげましょう。
大人肌のトラブルにはどんなものがある?
ここからは、加齢とともに悩まされる肌トラブルには、具体的にどのようなものがあるのかを紹介します。
1.シミ
年齢とともに出てくるシミには、2種類あります。
正式名称は、それぞれ老人性色素斑、肝斑(かんぱん)といいます。
一般的にシミと呼んでいるもののほとんどが老人性色素斑で、加齢や紫外線が原因です。
年を重ねるごとに、表皮の大部分を占めるケラチノサイトという細胞の働きが悪くなり、肌のターンオーバーのサイクルが遅くなります。
その結果、通常はターンオーバーによって排出されるメラニン色素が、肌にたまってシミとなるのです。
肝斑は、30代から50代の女性にできるシミで、女性ホルモンのバランスの乱れが原因です。
両頬に左右対称にできるのが特徴で、閉経とともに薄くなったり消えたりするといわれています。
2.毛穴の黒ずみ
増えすぎたメラニンが原因で黒く見える毛穴をメラニン毛穴と呼びます。
20代でできやすい、活発な皮脂分泌により角栓が毛穴にたまって黒く見えるイチゴ鼻とは違います。
メラニン毛穴は、紫外線などの影響で、毛穴の入り口にメラニンができることにより発生します。
通常は毛穴の入り口は閉じているのですが、加齢やターンオーバーの乱れ、過剰な皮脂により毛穴が開き、内部でメラニンができてしまいます。
イチゴ鼻を放置していると、毛穴にたまった皮脂が皮膚を刺激してメラニンを作るようになってしまいます。
3.シワ
人間の肌は、表面から奥に向かって、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層でできています。
肌表面の小ジワは乾燥シワとも呼ばれ、若い人にもできます。加齢とともに小ジワが進行すると真皮までくぼんでしまい、保湿などのスキンケアをしてもなかなか元に戻りません。
また、笑ったりしかめ面をしたりなど、表情をつくったときに目尻や眉間にできるシワが、普段でも残ってしまうのが表情ジワです。
表情筋がリラックスした状態でも元に戻らず、シワになってしまいます。
4.たるみ
真皮はコラーゲンやエラスチンという繊維状のタンパク質で構成されています。
これらのタンパク質は肌の柔らかさや弾力のもとになっています。
年齢とともにコラーゲンやエラスチンは産生量が減り変性しやすくなるため、肌のハリがなくなりたるみの原因となります。
5.くすみ
乾燥や血行不良などが原因で、若いころから肌にくすみに悩んでいる人もいるでしょう。
けれども、年齢とともにくすみがちになってきたと感じるのであれば、肌のターンオーバーが遅くなっていることが原因です。
通常肌のターンオーバーは約28日ですが、高齢になると1ヶ月半〜2ヶ月程度かかるともいわれます。
いつまでも古い角質が肌に残っていると、くすんで見えてしまいます。
漢方で内側から改善し、きれいで健康な肌に
上記の具体例のように、加齢とともに起こる肌トラブルは、 ターンオーバーの遅れや女性ホルモン量の変化などカラダ全体の影響を受けています。
若いころから、さまざまなスキンケア用品を試してきて、乾燥肌、脂性肌、混合肌など自分の肌にあった化粧品やスキンケア用品を使っている方も多いでしょう。
これらのケア用品を使っても肌質が改善しなくなったと感じる方は、肌のごく表面への対症療法ではもう間に合わなくなってしまったということです。
加齢とともに起こってしまった変化は、カラダの内部を整えることで、結果として生じる肌トラブル も改善できます。高い化粧品を使うよりも、根本から改善していくことを目指しましょう。
「漢方は病気の改善や健康維持のために飲むもの」というイメージがあるかもしれません。
けれども、美容にも効果を発揮します。
病気でも美容でも、内部のバランスが崩れることで外に症状が出ているという点は同じです。
漢方の考え方は、カラダの中のバランスが崩れている部分を整えて、全身の状態を良くしていくというものです。
まさに肌のエイジングケアをしたい方にぴったりの方法です。
「気・血・水」が十分に満ちていて、よく働いていれば、カラダはしっかりと健康な状態を維持できます。
けれども、このうちのどれかが不足したり働きが悪くなったりすると、体内の土台が崩れてカラダ全体へと影響が出てくるのです。
しかも気・血・水は、お互いに協力しあっているので、ひとつが崩れだすとずるずると他の要素にも悪影響をおよぼします。
肌トラブル は「血」との関係が大きいのですが、どのようにバランスが崩れているのか、どこへ影響が出ているのかは人それぞれです。
漢方が肌の美容に効果が期待できるとはいえ、漢方と名がつけばなんでも良いわけではありません。
大元の原因や現在の全身バランスを見きわめることができ、自社製造でオーダーメイドの 漢方 を処方してくれる漢方薬局を選びましょう。