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【漢方治療と生理痛・PMS】毎月繰り返すあのツライ痛み。漢方薬の25番:桂枝茯苓丸の効果と限界

毎月、生理が近づくたびに憂鬱になる。お腹を刺すような激しい痛み、生活に支障が出るほどのPMS(月経前症候群)。 婦人科を受診し、「女性特有の症状によく使われる漢方薬ですから」と『桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)』を処方され、毎日真面目に飲んでいるのに、結局今月も鎮痛剤が手放せない……。

子宮内膜症などの診断を受け、毎月襲ってくるあの激しい痛みに怯えている方も少なくありません。

「真面目に漢方を使っているのに、どうして毎月痛いんだろう?」

実は、そこには漢方薬の選び方、そして私たちの体に備わっている「あるシンプルな法則」のミスマッチが隠されているのです。 今回は、漢方医学の視点から、桂枝茯苓丸を飲んでも生理痛を繰り返す理由を解説します。

中医学の鉄則「通則不痛(つうそくふつう)」— なぜあなたの体は激しく痛むのか?

中医学(東洋医学)の世界には、人間の体に起こる「痛み」の原因を説明する、非常に有名な大原則があります。

それが、「通則不痛、不通則痛(つうそくふつう、ふつうそくつう)」という言葉です。

意味はとてもシンプルです。

  • 通則不痛 =(気や血が)スムーズに流れていれば、痛まない
  • 不通則痛 =(気や血が)どこかで詰まって滞ると、激しく痛む

生理痛や、それに伴うあの引き裂かれるような痛みは、決して「仕方のないこと」ではなく、あなたの体の中で「血(けつ:血液や栄養)」の流れがストップし、大渋滞を起こしているという危険サインなのです。

人間の体を「高速道路」に例えてみましょう。 車(血液)が一定のスピードでスムーズに流れていれば、道路は快適に機能します。これが「痛みのない健康な状態」です。

しかし、どこかでトラブルが発生し、車が1歩も動けないほどの大渋滞が起きたらどうでしょうか? イライラしたドライバーたちが一斉にクラクションを鳴らし始めますよね。 あの耐え難い生理痛の正体は、体の中で行き場を失った血液たちが放つ「クラクションの悲鳴(不通則痛)」そのものなのです。

桂枝茯苓丸の正体は、大渋滞を解消する「優秀なレッカー車」

では、処方された「桂枝茯苓丸」は体の中でどのような働きをしているのでしょうか。

中医学において、桂枝茯苓丸は「駆瘀血剤(くおけつざい)」と呼ばれるグループに属します。「瘀血(おけつ)」とは、流れが滞ってドロドロになってしまった古い血液のこと。つまり、高速道路でいうところの「事故車」や「故障車」です。

桂枝茯苓丸の役割は、この大渋滞の原因となっている事故車(瘀血)を力強く排除する、極めて優秀な「レッカー車」です。

この漢方薬を飲むと、ドロドロの血液がサラサラになり、詰まっていた部分が一時的に押し流されます。事故車が撤去されるわけですから、当然、高速道路の車は流れ始め、クラクションの音(激しい痛み)はスーッと和らいでいきます。

「じゃあ、やっぱり桂枝茯苓丸を飲み続ければいいのね」と思われるかもしれません。しかし、ここに現代の忙しい女性が陥りがちな、大きな盲点があるのです。

なぜ毎月痛みが繰り返す?原因は上流の「料金所(ストレス)」にあり

レッカー車(桂枝茯苓丸)が事故車をきれいに片付けてくれたはずなのに、なぜ翌月になると、また同じように激しい生理痛やPMSに襲われるのでしょうか?

それは、事故車が発生する「根本的な原因」が、さらに上流に残されたままだからです。

もう一度、高速道路を思い浮かべてください。いくらレッカー車が目の前の事故車を退かしても、その少し先にある「料金所のゲート(ETCゲート)」がガチガチに閉ざされたままだったらどうなるでしょうか?

後ろから走ってきた車は、料金所でせき止められ、再びそこから何キロメートルにも及ぶ大渋滞を引き起こします。そして、またクラクションの嵐(激しい痛み)が始まります。

中医学では、この閉ざされた料金所のゲートを「気滞(きたい)」と呼びます。 気滞とは、ストレス、環境の変化、緊張、寝不足などによって、体のエネルギーである「気(き)」の巡りが滞ってしまう状態です。

現代社会で仕事や家事、キャリアに追われる女性の多くは、日常的なストレスによってこの「料金所のゲート」が閉まりがちになっています。中医学ではこれを「気滞血瘀(きたいけつお)」と呼び、「ストレス(気滞)」が原因で、結果として「血液の渋滞(瘀血)」が引き起こされるという明確な因果関係を示しています。

つまり、いくら桂枝茯苓丸という優秀なレッカー車で毎月事故車を処理しても、ストレスによって料金所のゲートが閉まったままであれば、血液は毎月渋滞し、痛みは一生繰り返されてしまうのです。

あなたの体質は「実(じつ)」か「虚(きょ)」か?間違った漢方選びの盲点

さらに、もうひとつ重大な注意点があります。漢方には「証(しょう)」という、その人の体質や状況のレベルを表す基準があります。

実は、桂枝茯苓丸は「実証タイプ(じつしょう)」に向けて作られた、非常にキレ味の鋭い(作用の強い)お薬です。

もし、あなたが「普段から疲れやすい」「胃腸が弱く、すぐにお腹を壊す」「冷えが強い」といった「虚証タイプ(きょしょう)」である場合、この強力なレッカー車を使うとどうなるでしょうか。

大渋滞を無理やり押し流そうとする強い力が、疲れ切った道路(血管や胃腸)に過度な負担をかけてしまい、生理痛が治らないばかりか、「胃がもたれる」「気持ち悪くなる」「貧血のようになる」といった新たな不調を引き起こしてしまうことがあるのです。

あなたの痛みの根本原因が「料金所の閉鎖(ストレス)」なのか、「道路そのものの老朽化(体力の低下・血の不足)」なのかによって、選ぶべき漢方薬は全く異なります。ときには料金所のゲートを開ける漢方薬(疏肝理気剤)を組み合わせたり、道路を補修する漢方薬(補血剤)をベースにする必要があるのです。

漢方専門なつめ薬局/札幌が「一人ひとりに向き合う相談を大切にする理由」とは

生理痛やPMSによる激しい痛みは、「女性だから仕方のないこと」「鎮痛剤やピルで誤魔化すもの」ではなく、「流れが詰まっているよ!」という体からの大切なサインです。

桂枝茯苓丸は非常に素晴らしい漢方薬ですが、それはあくまで渋滞を一時的に解消するレッカー車に過ぎません。

大切なのは、「なぜ、あなたの高速道路は毎月渋滞してしまうのか?」という根本原因(本治)を突き止めることです。

漢方専門なつめ薬局では、完全予約制の丁寧なカウンセリングを通じて、あなたのライフスタイル、自覚していない負担、ストレスの度合い、そして「実」や「虚」といった現代の科学でも数値化できない体質のサインを紐解くためです。

事故車を退かすだけでなく、上流の料金所をスムーズに開け、道路全体の流れを整える。それは毎月痛みを気にせず快適に過ごすために必要な考え方です。痛み止めやピルだけでは決してたどり着けないステージです。

ただ痛みを止めたいだけでなく、そもそもの状況を把握して、根本から取り組みたい、一段上の状況を目指したい方はご相談ください。

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