【自家感作性皮膚炎】何度も繰り返して治らないかゆみに漢方が効く?

かゆみが治らず繰り返すのは自家感作性皮膚炎かも?

自家感作性皮膚炎は、原因となる皮膚炎(原発巣)がまず存在し、その原発巣が原因となって別の皮膚炎が全身のあちこちに発生します。
これを散布疹と言います。

その散布疹が一時的に治っても、また繰り返し、皮膚炎が常に発生する状態が自家感作性皮膚炎です。

虫刺されやかぶれ、アトピー性皮膚炎などの湿疹がおこると、アレルギー反応によりリンパ球が活性化します。
このリンパ球がリンパ管を通って全身を巡り、身体のあちこちに湿疹ができてかゆくなることを繰り返します。

つまり原因となる原発巣からアレルギー物質を発生させ続けている限り全身の散布疹は何度も繰り返してしまうのです。

それでは原発巣を治療してしまえばよいのでは?と思うかもしれません。

ですが些細な虫刺されに気が付いていなかったり、原発巣がデリケートゾーンにあって話しづらかったりして、治療までに時間がかかってしまうこともあります。

ただ「全身がかゆいんです」と訴えるだけでは、何度治療しても繰り返す不治の病のようにも感じてしまいます。

薬を使っても治らない・繰り返すのはなぜ?

一般的に、かゆみを伴う皮膚炎を訴えた場合の多くは抗ヒスタミン薬やステロイドを処方されます。

これらの薬で治療してもかゆみや皮膚炎が治らなかったり、一時は良くなってもまた皮膚がかゆくなってしまったり、自家感作性皮膚炎では原発巣の治療が行わなければ何度も皮膚炎を繰り返してしまいます。

雨漏りしているのに直さず、水浸しの床をずっと拭き続けているようなものですね。

また、原発巣に対して抗ヒスタミンやステロイド治療を行い、皮膚炎が治ったとしてもアレルギー体質がそのままではいつまた自家感作性皮膚炎になってもおかしくありません。

漢方で治せる?4つの原因と効果を紹介

漢方をはじめとした東洋医学では、今出ている症状だけでなく、その人の表面に現れていない身体の性質・特性を重視します。

一人ひとりの体質・状態に合ったそれぞれの治療をするので、万人に共通した説明をすることができません。
同じ症状であっても人によって原因と治療が変わります。

ここでは皮膚炎に多い4つの状態と、その状態にどのように漢方が作用するかということを説明していきます。

血に熱があるとかゆくなる

「血」とは西洋医学での血液の役割とさらに精神に係わる役割を含めたものと考えてください。
特に重要なのは「血は飲食物と呼吸によって生み出され、全身に栄養分を与えて身体機能を保つ」という役割です。

この「血」に「熱」が加わった状態を血熱と言います。

皮膚のかゆみや炎症は皮膚に熱がこもることで起こります。
全身に栄養分を送る血に熱が加わり、全身のかゆみへとつながります。

血熱への漢方作用「清熱」

熱がある場合は清熱作用のある漢方を使用します。
清熱とは、熱を取り、血の状態を正常にすることです。

熱が治まることで炎症が抑えられて皮膚炎が無くなっていきます。
血熱以外の原因がある場合にも、全身的に作用する漢方で清熱して治療します。

血が詰まる?瘀血とは

全身をスムーズにめぐることで身体機能を保つ「血」ですが、全身あるいは局所的に流れが悪くなり、血が機能不全になった状態を瘀血と言います。

瘀血の特徴は一部の流れが悪くなることで全身に慢性的な症状が出ることです。
慢性症状になることで身体の抵抗力が次第に弱っていき、さらに瘀血が悪化する悪循環を起こすこともあります。

瘀血が原因なのか、別の原因で瘀血ができているのか、全身的な治療をしながら見極めることが大切になります。

瘀血になる原因は様々ですが多くは以下の4つです。

  • 遺伝体質 体質的に瘀血になりやすく、家族で同じ症状が出やすくなります。
  • 精神的ストレス 自律神経やホルモンバランスが乱れることで瘀血になります。
  • 月経障害 月経の出血によって瘀血になる場合と、瘀血があることで月経痛などが重くなっている場合があります。
  • 病気やケガ 出血や内臓にダメージを受けることでも瘀血になります。

瘀血への漢方作用「活血」

瘀血を取り除くためには「活血」と言い、血の流れをよくすることが治療となります。

血がスムーズに流れることで、血の詰まりが原因の皮膚炎は無くなっていきます。
血が不足して流れが悪くなっている場合は養血といって血の質を高める漢方も使用されます。
質のいい血が流れることで血が詰まりにくくなり、瘀血が発生しなくなれば瘀血が原因の皮膚炎は解消されます。

瘀血は女性では生理痛や生理不順の症状として現れます。
瘀血の治療をすることで皮膚炎だけでなく生理の改善も期待できます。

ジュクジュクした皮膚のかゆみは湿熱

かきむしったところからジュクジュクとした滲出液が出てくる皮膚炎は湿熱が原因と考えられます。

「湿」とは身体の中の不要な水分のことを指していて、これに熱が加わった状態を湿熱と言います。
これも身体を満たしている水分に炎症の元となる熱ができるため、全身に皮膚炎を起こしてしまいます。
湿に熱がこもる原因は主に食べすぎ飲みすぎです。

暴飲暴食によって身体の水分のバランスを崩し、辛い物や脂っこい食べ物によって熱が発生することでなるので、体質改善も重要になってきます。

湿熱への漢方作用「清熱化湿」

湿熱には熱をとる清熱だけでなく、不必要にたまった水分を取り除くために化湿作用のある漢方を使用します。

余計な水分が無くなれば皮膚炎の原因となる熱がたまりにくくなり皮膚炎が再発しにくくなります。

熱を取るだけでなく、全身を巡る水分の調整をすることで、原発巣で発生した熱が全身に巡ることが無くなるので皮膚炎が広がりにくくなります。

肝臓が悪い?肝虚とは

肝虚とは、肝の働きが不足している状態です。

東洋医学でいう「肝」とは、肝臓の働きとは異なります。

その機能は「疏泄」と「蔵血」です。

疏泄とは、身体のバランスを整えるために必要な気・血・津液を、必要なところに必要なだけ送る調節機能のことをいい、自律神経のバランスや消化器の機能、精神の安定などに重要な役割を担っています。

この疏泄の機能が働かないと他の臓器にも影響を及ぼすため、様々な症状の原因にもなります。

蔵血とは、血のバランス調整機能です。

血液循環をスムーズにすることで皮膚や目、筋肉に必要な血液量を調整します。

この機能が働かないと目や筋肉が疲れやすくなったり、皮膚が栄養不足で抵抗力が落ちたりします。

蔵血作用が働かなくなると血が不足して肝血虚という状態になり、疏泄作用が働かなくなると身体の熱がコントロールできず肝陰虚となり、血と熱の異常により皮膚炎となりやすくなります。

肝虚への漢方作用「気血津液を補う」

肝は気・血・津液のバランスを調整し、肝虚には肝気虚・肝血虚・肝陰虚といった様々な状態があります。

漢方で治療する際はその人がどの肝虚になっているかを分析して、気血津液のどれか、または複数をそれぞれ補うことで治療します。

例えば肝血虚では貧血、肝陰虚ではのぼせなど、皮膚炎と一見関係なさそうな症状も漢方では皮膚炎と合わせて改善していきます。

自家感作性皮膚炎を繰り返さないために、まずは相談を

自家感作性皮膚炎を治すために医療機関にかかる際には気を付けたいことがあります。

最初に述べた通り、自家感作性皮膚の治療には原発巣の治療が必要です。

つまり、原発巣の特定のために話をしっかりと聞いてもらえることが大事になってきます。

ステロイドなどの薬を処方されても治らない場合は漢方薬局に相談してみてはどうでしょうか。

専門的な漢方を扱っているところでは患者様一人一人の状況を把握し、漢方理論で分析し、その方に必要な漢方薬を製造して提供しています。

そのため、今出ている症状以外にも体質などを知るために食生活や生活習慣について詳しく聞いてくれます。

まずはご近所で、しっかりと話を聞いてくれる漢方専門薬局でご相談ください。

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