【男性不妊/漢方】精子数が少ない原因とその対策を解説

不妊の原因の約半分は男性側に

現在妊活中のご夫婦の中には、なかなか子供ができづらくお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

妊活、あるいは不妊治療を開始する場合、多くの女性は病院で検査を受けると思いますが、実は不妊の原因は女性ばかりではありません。WHOの調査によると、不妊に悩むカップルの半数は男性側に原因があることが明らかになっています。

今回この記事では、男性不妊の中でも精子数の減少について焦点をあて、その原因や改善方法について解説をしていきます。

精子が少なくなる主な原因は何か?

精子数が少なくなってしまう主な原因については、遺伝的要因・精索静脈瘤・精巣がん・精巣腫瘍などが明らかになっています。ただしこれらが全ての原因というわけではなく、上記の症状や状態には当てはまらないが精子数が少ないという方も多いようです。

ですが近年の研究により、上記のような身体側の原因に加え、環境側の要因が精子数に影響を与えるということが明らかになってきました。

それは精巣(陰嚢)周りの”熱(温度)”です。

ハーバード大学における研究では、身につける下着の種類によって精液検査の結果が変わるということが明らかになりました。ぴったりしたタイプよりもゆったりとしたタイプの下着の方が、総精子数や総運動精子数、血中の生殖関連ホルモンのFSH値が良いという結果が得られたのです。肌に密着した下着を着用することで熱がこもり、精巣の温度をあげてしまい、精子をつくる働きを低下させてしまうことにつながったと論文では述べられています。

またイタリアのパドヴァ大学の研究では、精索静脈瘤の男性や肥満男性の陰嚢の温度を測定したところ、健康な男性と比較して一日の平均温度が高いということが明らかになりました。陰嚢の温度上昇は、精子をつくる働きの低下やFSH値の上昇に関係しているということも述べられています。

ただの”熱”が精子をつくる機能に影響を与える、ということに驚かれる方もいるかもしれません。ですが、もともと精巣(睾丸)が体外にあるのは、精巣が熱に弱く常に低い温度を保つことができるようにするためです。ですので”熱”が精子数に影響を与えるというこれらの論文の結論は、何ら不思議なことではありません。これらの研究から、精子数を増やすためには、日常生活で精巣に熱を与えずに過ごすことが重要だということが改めてわかります。

精子数を改善するために、まずは日常生活の改善を

精子数が少なくて悩まれている方は、まずは簡単に取り組むことができる、日常生活の改善を試みてみましょう。

・下着は肌を締め付けないタイプのものを選ぶ

・同じ姿勢で長時間座り続けない

・サウナや長風呂はできる限り避ける

・運動をする

陰嚢の温度は日頃の動作によっても変動します。先述したイタリアの研究では、睡眠中や車の運転中、座っている時など、同じ姿勢を長時間保っている際に上昇しやすいことがわかっています。同時に、身体を動かしたり歩き回ったりする仕事の休憩時には、陰嚢の温度が急降下することも明らかになっています。同じ姿勢のままでじっとせず、適度に身体を動かすことが精巣の温度を下げることにつながっているようです。仕事上どうしても長時間同じ姿勢でいる必要がある方もいるかもしれませんが、こまめに休憩を取り軽く歩く、動くなどして、熱を溜めないように心がけてみてください。

サウナや長風呂は、熱い環境の中に長時間いることにより、当然精巣の温度も上昇してしまいますので避けた方が賢明です。また、精索静脈瘤を持っている方や肥満の方も、陰嚢に熱を持ちやすいということが明らかになっています。これらに該当する方は、生活改善のほかにも精索静脈瘤の治療やダイエットに取り組むなど、精子数の減少をきたす根本原因を取り除くことを検討してみてください。

生活改善と同時に、漢方を取り入れて男性不妊を改善しましょう

生活改善と並行して漢方薬を活用することで、身体の余分な熱を取り、精巣の温度を下げることができる可能性が高まります。

病院で処方される薬には、精巣の温度を下げるといった微細な温度調整ができるものはありません。一方漢方は、症状を引き起こしている患者さんの”体質”に着目し、悪化した身体バランスを整えて体質改善を図ります。今回の事例であれば、身体に熱を溜めてしまう”体質”に着目し、その体質を改善していくための漢方薬を使います。

漢方において、男性不妊に関連する「証」(体質や症状のタイプ)はいくつかありますが、身体に熱を溜めてしまうことに関連する証は主に次の3つです。

(1)         腎陰虚

生殖能力の根源となる「腎」が過度に弱った状態です。腎の潤いが不足するため体内に余分な熱が生まれ、消耗してしまうことで生殖機能が低下していると考えられています。漢方では腎の潤いを補い、熱を冷ましていく漢方薬を使います。

(2)         血瘀証

血流が悪くなり滞ることで、余分な熱が生じている状態です。この場合は血流を促進する漢方薬を服用することで、精巣周りの温度を下げていきます。

(3)         湿熱証

体内に余計な水分や湿気が溜まった「痰湿証」がさらに熱を帯びた時、湿熱証と呼ばれます。”湿”と”熱”が結合した状態であり、これもまた体内の温度を上げてしまいます。漢方ではこの湿熱を取り除く薬を使うことで、身体のバランスをとっていきます。

精液検査の結果、精子数が少ないことが発覚してもなぜ少ないのか、その原因が判明しないことは多々あります。その場合、産婦人科や泌尿器科では治療することができません。よって根本的な精子数の改善に取り組むのではなく、顕微授精などの高度な治療に進むことになります。近年は顕微授精も保険適用となりましたが、引き続き高額な治療費が必要であること、手術は麻酔を使用しある程度の時間が必要なことを考えると、ご夫婦への高い負荷は避けられません。

一方、漢方であれば、診断はカウンセリングを中心に行いますので、身体にかかる負荷はほとんどありません。また身体に熱がこもっているとわかればそれを漢方薬で取り除くことができ、根本的な精子数の改善が期待できます。漢方薬を活用することで、身体的、経済的負荷を減らしながら妊娠する可能性が高まるのです。

漢方で男性不妊を改善する場合の相談・購入先は?

病院で精液検査の結果が悪いと言われてしまったなど、男性不妊で悩んでいらっしゃる方は、ぜひ漢方を取り入れることを検討してみてください。

まずは、すでに通院している産婦人科や泌尿器科で、煎じの漢方薬を処方してくれるか確認をしましょう。漢方薬には顆粒や錠剤など様々な種類のものがありますが、同じ漢方薬の中でも、特に有効成分が多く含まれているのは煎じの漢方薬です。顆粒や錠剤で効果が得られる方もいますが、より早く確実に改善を望む場合には、煎じの漢方薬をおすすめします。

難しい場合には、ご自宅や職場のお近くで煎じの漢方薬を処方してくれる病院や漢方薬局がないか探してみてください。不妊に関する相談は非常にデリケートなものですので、スムーズな治療のために、ご自身がご相談しやすい医師や薬剤師を見つけることをお勧めします。

もしもお近くにそのようなところがない場合には、私たち漢方専門なつめ薬局では遠隔相談もお受けしていますので、私たちにご相談ください。

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