【認知症治療と漢方/札幌】認知症の発症リスクを高める薬とは

便秘で下剤を服用している方は多いですが、習慣化するのが恐くて刺激性下剤から浸透圧性下剤に変える方も多いのではないでしょうか。浸透圧性下剤は浸透圧を利用して大腸内の水分を増やし、便を柔らかくして排便を促す薬です。刺激性下剤に比べて効果がマイルドで、長期間服用することができるのが特徴です。

しかし最近の研究では、浸透圧性下剤に認知症のリスクが報告されています。研究では、下剤を常用しない人の認知症を発症する割合は0.4%ですが、下剤を常用する人は1.3%と約3倍の差がありました。また2種類以上の下剤を併用している人は90%のリスク増加がみられました。特筆すべきは、1種類の下剤のみを使用している人の中では浸透圧性下剤を使用している人だけに、認知症と血管性認知症の発症リスクの上昇がみられたことです。

つまり「浸透圧性下剤」には、認知症のリスクがあることが指摘されました。

刺激性下剤は習慣性が不安で、浸透圧性下剤は認知症のリスクが心配だとすると、どちらを使えばよいのか、他の選択肢をお探しの方もいるのではないでしょうか。

そこで今回はもうひとつの選択肢として、東洋医学の考えに基づいて処方される漢方薬についてご紹介します。東洋医学では便秘をどう捉え、どのように改善されるのでしょうか。併せてなぜ浸透圧性下剤を使うと認知症リスクが高まるのかを東洋医学的に考えます。

【脾タイプ】食が細く食物繊維の摂取がたりない人

「便秘解消には食物繊維が良いと聞いて、玄米やオートミールを食べたら下痢をした」という人がいます。こういう方はそもそも食が細く、消化する力も弱いので、食物繊維を消化することが出来ず下痢をしてしまうのです。このような胃腸が弱い方を、東洋医学では「脾胃虚弱(ひいきょじゃく)」と呼びます。脾という胃腸をコントロールする臓腑が弱点なので【脾タイプ】としておきます。

【脾タイプ】が便秘を治すには、胃腸を健康にする漢方薬が必要です。胃腸が強くなれば食事の量が増えて、必然的に食物繊維の摂取量も増加し、大便の量が増え便秘が解消します。

では【脾タイプ】の人が浸透圧性下剤を使うと、どうして認知症のリスクが増加するのでしょう。浸透圧性下剤は大腸内の水分を増やし、便を柔らかくして排便を促します。つまりしっかり栄養を吸収せずに排便してしまうのです。

東洋医学では栄養不足でエネルギーも血も不足している状態のことを「気血両虚(きけつりょうきょ)」といいます。そのような状態が長期間続くと、脳のエネルギーも血も不足してきます。更年期を過ぎて還暦を前にすると、それでなくても頭も身体も以前とは違います。緩やかな老化は自然の摂理ですが、この年齢での気血不足はてきめんに老化を加速させます。このタイプの認知症はぼんやりして無気力になりやすいのが特徴です。

食が細く、食物繊維を摂ると下痢をしてしまうけれど便秘をどうにかしたい人は、便を出すことよりもまず漢方薬で便を作れる胃腸にすることが大切です。

【肝タイプ】食物繊維を取るとお腹が張ったり痛くなったりする人

反対に、食物繊維を取るとお腹が張って苦しいという人がいます。このタイプの方の食事量は人並みかそれ以上です。本当は刺激性下剤の方が効きやすくて良いけれど、習慣になるのが恐くて浸透圧性下剤を使っているという人が多いです。

このタイプは東洋医学では「肝気鬱結(かんきうっけつ)」といいます。胃腸に気が溜まって動きが悪くなり便秘になると考えられます。肝という気をスムーズに働かせるための臓腑に問題があるので【肝タイプ】としておきます。

【肝タイプ】が便秘を治すには、気を流す漢方薬を使います。消化器系の臓腑の気がスムーズに流れると、腸の動きも活発になり排便もスムーズになります。

では【肝タイプ】の人が浸透圧性下剤を使うと、どうして認知症のリスクが高まるのでしょうか。浸透圧性下剤を使い水分を増やし、便をかさ増しすると余計に気が詰まってしまいます。気は一カ所で詰まると、身体全体の巡りも滞ります。東洋医学では、気は溜まると熱を帯びる場合があると考えられています。熱くなった気は必然的に上にのぼり、肩や首がコリやすくなります。すると首から上の血行が悪くなるので、認知症のリスクが増加します。このタイプの人が認知症になると、怒りやすくキレやすくなるという特徴があります。

食物繊維を摂るとお腹が張ったり痛くなったりする人は、食べたものをスムーズに出せるよう、気を流す漢方薬で胃腸の気を正常にすることが大切です。

【腎タイプ】年齢による身体の変化で便秘になった人

年齢とともに肌は乾燥しますが、腸内も乾燥します。便もカサカサになりスムーズに腸内を流れなくなります。東洋医学ではこの水分不足で乾燥した状態を「陰虚(いんきょ)」と呼びます。加齢とともに、特に腎の水分が不足するので【腎タイプ】としておきます。

腸が乾燥しているなら水を大量に飲めば良いようですが、このタイプの人は、腸が潤う前に水分を尿にしてしまいます。「トイレが近くなるから水は飲みたくない」というのがこのタイプの特徴です。

【腎タイプ】が便秘を治すには、腸を潤す漢方薬が必要です。腸に水分が行き渡れば便もスムーズに排泄され、頻尿も緩和されます。

では【腎タイプ】の人が浸透圧性下剤を使うと、どうして認知症のリスクが増加するのでしょう。そもそも東洋医学において、腎は成長や老化と密接に関わる臓腑です。腎機能の低下はそのまま老化につながり、認知症のリスクになります。しかし言い換えると腎機能を高めれば、認知症のリスクも軽減されるのです。

年齢とともに便が乾燥して便秘になった人は、浸透圧性下剤で認知症になるというより、そもそも加齢ですでに認知症のリスクが高い状態なのです。したがって浸透圧性下剤で便を潤すような対症療法ではなく、腎機能を高める漢方薬を使い認知症のリスク自体を低下させることが得策なのです。

便秘緩和の漢方薬によって得られるその他のメリット

ここまで、東洋医学で考える便秘のタイプと、各タイプの認知症になる原因についてみてきました。次に漢方薬で体調を整えると便秘の改善と認知症の予防以外にもメリットがあるのでもう少しご紹介します。

【脾タイプ】の人が漢方薬で便秘を解消すると、胃腸が丈夫になるので栄養が十分取れるようになります。体力がつき、疲れなくなり、思考もクリアになります。

【肝タイプ】の人が漢方薬で便秘を解消すると、胃腸の気がスムーズに流れることで、イライラや肩こり、頭痛が軽減します。また肥満の解消につながります。

【腎タイプ】の人が漢方薬で便秘を解消すると、腎機能を高めるので、そもそも抱えていた認知症リスクが軽減できるだけでなく、肌の乾燥が緩和されたり、唾液の分泌量が増えたり、頻尿の改善が期待できます。

自分に合う漢方薬を使うことは、便秘の改善と認知症リスクが軽減できるだけでなく、体質が改善されることで体調が良くなり、日々の生活が快適になるというメリットがあるのです。

便秘に漢方薬を使いたい場合はどうすればいいのか?

漢方薬は自分の状態にあったものを選ばなくてはなりません。同じ便秘でも、原因によって使う漢方薬が違います。胃腸の消化吸収能力を上げるのか、胃腸の動きをスムーズにするのか、胃腸を潤すのか、それとも他の原因があるのか。どこに、どんな原因があって、どの漢方薬を使うかを判断するには、専門の知識と丁寧な問診が必要になります。

まずはご近所でしっかり話しを聞いてくれるクリニックや薬局を探し、専門家に適切な漢方薬を選んでもらいましょう。ご近所にそのようなところがない場合には、私たち漢方専門なつめ薬局では、電話での相談や、ズームやラインを活用したビデオ通話でのリモート相談を承っておりますのでご相談ください。

私たちは患者さんお一人お一人に合った漢方薬を、厳選した生薬から自社製造してご提供しています。なつめ薬局で自社製造する漢方薬は煎じタイプです。顆粒や錠剤・シロップタイプの漢方薬と比べると、同じ名称の漢方薬でも効果がしっかりしているのが特徴です。

ご相談は予約制になっており大変混雑していますので、漢方治療を早く始めたい方は、お早めのご連絡をお勧めいたします。ご連絡は、下記リンク先から行えます。

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