【腰痛治療と漢方/札幌】腰痛とストレスと冷えの関係とは

腰痛は、肩こりに次いで日本人女性の慢性症状だといわれています。

いくつかの大学の研究によると、女性の腰痛に関連のある因子をWeb調査で検討した結果、「冷え」を訴え、実際に体温が低い人に腰痛が多く、その背後には精神的ストレスが関係している可能性が想定されるということでした。

このような腰痛では、レントゲンやMRIでも原因がわからない「非特異的腰痛」も少なくありません。
しかも西洋医学では痛み止めや湿布のみの対応が主で、根本的な改善が難しいのが現状です。

では、その腰痛に対する解決策はないのでしょうか。

東洋医学には、西洋医学と別の視点があります。

東洋医学では症状から治療法を決めていくので、原因がわからなくても治療できます。
また対処療法ではなく、根本的に身体を整えていくため、体質を改善して症状を繰り返しにくくします。
同じ腰痛というカテゴリーでも痛みや発生の仕方は人それぞれなので、それに合わせて様々な漢方薬で対応可能なこともポイントです。

今回は東洋医学でどのように腰痛をとらえているかお話しします。

ストレスで気が滞った腰痛【肝鬱タイプ】

東洋医学において、五臓(肝・心・脾・肺・腎)の中でストレスに関係が深いのは肝です。

東洋医学ではその働きをイメージしやすいように臓腑に官職名がつけられていて、肝は「将軍」にたとえられています。
「将軍」は野心にあふれ、行動力や向上心がありポジティブです。
一生懸命に勉強したり、上のポジションを目指して仕事をしたり、家族のために家事・育児・介護を頑張っている人は「将軍」である「肝」がフルパワーで活躍しているのです。

こんな頑張り屋さんである「肝」の弱点は「気が余り、血が不足」しやすいことです。
気はエネルギーのことですが、肝の気は「やる気」です。
向上心のある人は無限にやる気が膨らむのですが、そのやる気を支える血(栄養)は無限ではありません。
「やる気はあるけれど身体がついてこない」、いわゆるストレスを受けている状態になっています。

「気」が余り「血」が足りないと、「気」だけがあふれて様々なところで渋滞して詰まります。
東洋医学ではこの渋滞した状態を「肝鬱(かんうつ)」や「気滞(きたい)」と呼びます。
「気」が肩で滞れば肩こりで、腰で滞れば腰痛です。

「気」には様々な働きの中に身体を温める作用もあるので、「気」が停滞している先には「温かさ」が運ばれず、冷えが生じるのです。
腰で気が滞り腰痛になる人は、お尻や太ももの外側が冷えています。

「肝鬱」の腰痛は「気」の詰まりが原因なので、張ったような痛みになります。
また「気」は動く性質があるため様々なところで詰まってしまい、ある日は腰痛、またある日は肩こりと様々な場所が痛みます。

「肝鬱タイプ」は、気の滞りを解消する漢方薬を使うと腰痛も緩和しますし、冷えやほかの痛みも改善します。

ストレスによる血行不良の腰痛【瘀血タイプ】

先ほどストレスがあると、「気」が余り渋滞を起こし「肝鬱」になると述べました。
「気」と「血」は一緒に動いているので、「気」が詰まると「血」の流れも滞ります。
流れが悪くなり、使えなくなった「血」のことを、東洋医学では「瘀血(おけつ)」と呼びます。

「肝鬱タイプ」の場合、痛みは張ったような感じで、日によって痛みの場所が違うという特徴がありました。
「瘀血タイプ」では、留まった血は移動しないので痛む場所は固定されますし、針で刺されたような痛みになります。
また「気」と同じように「血」が滞ると、やはりその部位から先は冷えます。

この場合は、血の滞りを解消する漢方薬を使うと腰痛とともに冷えも解消します。
また、必要に応じて気の滞りを緩和する漢方薬も併用します。

ストレスによるむくみの腰痛【内湿タイプ】

ストレスによるむくみには、2パターンの作られ方があります。

1つは、ストレスで「気」が余って渋滞したことにより、身体の水分の流れが悪くなりむくみになった場合です。
もう1つは、ストレスで「血」が足りなくなったので、「肝」が胃腸にたくさんの「血」を作らせようとした結果、胃腸が弱り過食や食欲不振を引き起こした場合です。
胃腸が弱ると不良品の水分ができてしまいます。

東洋医学では、むくみや不良品の水分を「内湿(ないしつ)」「痰飲(たんいん)」「痰湿(たんしつ)」などと呼びます。
水は冷えやすいので「内湿」が冷えの原因になります。
「内湿」タイプの痛みは、重だるいという特徴があります。

「内湿タイプ」には、「肝」の働きを正常にして気の流れをスムーズにする漢方薬を使ったり、胃腸を丈夫にして「内湿」ができないようにする漢方薬を使ったり、両者を併用する場合もあります。

ストレスで食欲不振になり冷えた腰痛【陽虚タイプ】

胃腸が弱い人はストレスを受けると食欲不振になりがちです。
胃腸がストレスで疲れるので、少なからず不良品の水分である「内湿」ができるのです。

このタイプは「内湿」ができるだけでなく、食べられないことで気血が不足して「血虚(けっきょ)」や「気血両虚(きけつりょうきょ)」になります。
決が不足すると身体が動かなくなりますし、気のエネルギーが不足するとやる気がなくなります。

「気」のエネルギーが不足すると温める力が低下し全身が冷えます。
これを「陽虚(ようきょ)」と呼びます。
全身が冷えると、当然腰も冷え腰痛につながります。

この場合は、身体を温めて胃腸を丈夫にする漢方薬が必要になります。

気候による二次的影響【寒湿タイプ】

最後にストレス以外の原因である、外から体に悪さをする「邪(じゃ)」について述べておきます。

外から体内に侵入してくる過剰な湿気を東洋医学では「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。
日本は特に海に囲まれた島国なので「湿邪」の影響が深刻です。

期の停滞や食生活のトラブルで生まれた「内湿」が多い人は、外から入ってくる「湿邪」によりむくみが悪化しやすいです。
梅雨や秋の長雨など少し寒い時期には「湿邪」とともに「寒邪(かんじゃ)」も存在します。
ここに「風邪(ふうじゃ)」が加わると、より体内に侵入しやすくなります。

「風邪」はいわゆる感冒・カゼですが、東洋医学では考え方が少し違い、単体で体内に侵入するだけでなく、他の邪を連れてくる性質があります。
「風邪」は口や鼻からだけでなく「腠理(そうり)」と呼ばれる肌の穴から侵入すると考えられています。
ですので「風寒湿」邪が皮膚から体内に侵入すると、手足などにだるく痺れるような痛みが生じます。
これを東洋医学では「痺症(ひしょう)」と呼びます。

雨が続くと腰が痛いという場合は「痺症」が考えられます。
扇風機やクーラーの風にあたって足腰がだる痛い場合も、「風邪」「寒邪」「湿邪」による「痺症」と考えられます。

このような場合には、身体から邪を追い出す漢方薬が必要です。

腰痛の漢方薬で起こるうれしい副産物

以上、腰痛について東洋医学の視点でみてきました。
西洋医学の検査では原因がわからなくても、漢方薬ではこのように治療ができるのです。

ストレスによる「肝鬱」が根本原因で気の流れを詰まらせるため腰痛を招き、流れが詰まることで冷えになる場合もあり、より腰痛を悪化させています。
これは漢方薬を使い「肝鬱」を緩和することで腰痛が改善しますが、それだけでなく、むくみが解消されて下半身がほっそりしたり、血流がよくなり生理痛が緩和したりする方もおられます。

「内湿」を改善する漢方薬のうれしい副産物としては、だらだらと長引く生理期間がコンパクトに正常になったり、おりものが少なくなったりします。
「陽虚」緩和の漢方薬は、腰痛や冷えが緩和するだけでなく、胃腸が丈夫になるので疲れにくくなり、やる気が出ます。
また自分に合う「寒湿」の漢方薬を知っていると、梅雨や長雨の時期の不快な痛みで不安にならずに過ごせます。

つまり自分に合う漢方薬を使うことは、腰痛の解消だけでなく体質改善にもつながり、他の悩みも解消する可能性があるのです。

腰痛に漢方薬を使いたい場合はどうすればいいのか?

漢方薬は自分の今の状態にあったものを選ばなくては効果はありません。
同じ腰痛でも、原因・k氏悦・状況によって使う漢方薬が違います。

気の渋滞を緩和するのか、血行を良くするのか、むくみを取るのか、胃腸を正常にするのか、外邪をやっつけるのか、それとも他に原因があるのか。

今回はご紹介しませんでしたが、加齢によるものや、生殖器や他の内臓に原因があるもの、整形外科疾患による腰痛にももちろん漢方薬は効果的です。

しかし、どこにどんな原因があって、どの漢方薬を使うかを判断するには、専門の知識が必要になります。

まずはご近所でしっかり話しを聞いてくれるクリニック・薬局を探し、専門家に適切な漢方薬を選んでもらいましょう。
ご近所にそのようなところがない場合には、私たち漢方専門 なつめ薬局でも電話での相談や、ズームやラインを活用したビデオ通話でのリモート相談を承っています。

私たちは、患者さんおひとりおひとりにあった漢方薬を、厳選した生薬から自社製造してご提供しています。
なつめ薬局で自社製造する漢方薬は煎じタイプです。
顆粒や錠剤・シロップタイプの漢方薬と比べると、同じ名称の漢方薬でも効果がしっかりしているのが特徴です。

ご相談は予約制になっており大変混雑していますので、漢方治療を始めたい方は、お早目のご連絡をお勧めいたします。
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