体が重くだるい、疲れやすい、白髪が増えた…。
年齢を重ねるごとに、これまでになかった体の不調や衰えを感じることが増えてきた、日常生活がうまく送れなくて悩んでいる、という方も多いのではないでしょうか。
病気とは異なる自然な”老い”は誰しもに訪れるものであり、完全に食い止めることは難しいものの、実は老化の速度を抑えていくことは可能なのです。
この記事では、日常の食生活と漢方、2つの観点からアンチエイジングの方法を解説します。
食と老化の密接な関係
まず、老化はどのようにして引き起こされるのでしょうか。
老化は、主に「酸化」が原因であるといわれています。
酸化とは、体の中で発生する活性酸素により、細胞のタンパク質やDNAを傷つけてしまう現象のことを指します。活性酸素は強い攻撃力を持っており、通常人間の体内には、この酸化を防ぐための「抗酸化酵素」があり、活性酸素に対抗することができます。
ですが、この抗酸化機能は40歳を過ぎると大きく低下してしまい、活性酸素で傷つく細胞が大幅に増えてしまうのです。また、活性酸素への抵抗能力の減少だけでなく、紫外線、ストレスや喫煙、飲酒などの日常的な習慣により活性酸素自体が増え、体の酸化を一層加速させてしまうことにつながります。
また、近年「糖化」も老化に関わることが判明しています。糖化とは、体の中にあるタンパク質や脂質が糖と結びつくことを指します。糖分の摂りすぎなどにより体内に余分な糖が多量に存在すると、タンパク質や脂質とくっつきやすくなります。糖化したタンパク質や脂質は、細胞を劣化させてしまう他、糖化のプロセスで発生する物質(AGEs:糖化最終生成物)も体内の組織に作用し、さまざまな疾患を引き起こすといわれているのです。
老化の発生や進行については、食べ物が良くも悪くも影響を与えることは、よく知られているところです。例えば、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノールなどの抗酸化作用を持つ食品の摂取を呼びかける記事は、雑誌やインターネット上でよくみられます。
これらの食品に含まれる特定の成分に加えて、近年では「摂取カロリー」が老化の進行速度に影響を与えていることも判明しています。
これまで動物実験では、摂取カロリーを制限することで寿命が延びることがわかっていましたが、今回の研究で人間でも同様の結果となることが明らかになりました。
カロリーが寿命にどのような影響を与えているのかは不明ですし、過度なカロリー制限はかえって健康を損なってしまうので注意が必要ですが、今後、老化予防にはある程度のカロリー制限も必要となるのかもしれませんね。
このように、食べ物と老化は切っても切り離せない関係にあり、食生活はエイジングケアを考える上で、とても重要な要素となっています。
東洋医学にとっての老化とは
さて一方で、老化について東洋医学ではどのように捉えているのでしょうか。
東洋医学では、老化は体を構成する五臓(肝・心・脾・肺・腎)の機能低下であり、中でも腎のはたらきが老化に最も影響を与えていると考えます。
腎には、”生命力を蓄える”という役割があります。そのため、腎が弱ることで蓄えられていた生命力が徐々に失われ、細胞や組織の働きが弱まり、老化が進んでいくのです。
この腎が弱った状態のことを”腎虚”といい、腎が司る器官(腎臓・泌尿器、骨、髪など)の弱まりがみられるようになります。腎虚はさらに細かく腎陽虚、腎陰虚に分かれていきますが、体に現れる具体的な症状としては、以下のようなものがあります。
腎陽虚:体の冷え、頻尿、腰痛、耳鳴り
腎陰虚:火照り、皮膚の乾燥、目の疲れ
東洋医学では、その腎が弱っている状態や体質を改善し、再び体に生命力を保持する力を持たせることで老化予防、あるいは老化の進行速度を緩やかにすることを目指していきます。お悩み(症状)そのものに加え、そのお悩みを生み出してしまう体質自体に着目し、改善を促していくのが東洋医学の大きな特徴です。
上記のように、腎虚により体に起こる症状はさまざまです。一口に”老化”といっても、どのような状態になるか、どのようなお悩みが出てくるかは個人によって大きく異なります。
東洋医学では、基本的に腎の機能低下が根本にあると考えつつも、問診や舌診などを通じてその方の体がどのような状態にあるのかを丁寧に診断します。
そして、数ある補腎剤(腎を補う漢方薬)の中から最も適した薬を処方することで、体に表れている症状の改善を図り、今後新たな症状の発症を予防していきます。またそれだけではなく、それらの症状を引き起こしている腎虚という体質を改善し、体を健康な状態に整えていきます。
東洋医学・漢方薬は、目に見える症状への対処療法ではなく、体質を改善することに重きを置いていますので、漢方薬を服用することで、老化に関するお悩みを根本的に改善・軽減していくことができます。
漢方薬を活用しながらアンチエイジングに取り組んでみましょう
アンチエイジング、すなわち老化の予防に取り組む場合、やはり食生活の改善は避けて通れません。
抗酸化作用を持つ食品を選ぶ、体の酸化・糖化を促しやすい食品を控える、日々の食事のカロリーを見直すなど、徐々に食生活を改めていきましょう。一度に全て変えてしまうとかえってストレスになり体に負担がかかりますので、無理なく改善できそうなところから少しずつ取り組むことが大事です。
さらに効果的にエイジングケアを進めていくためには、並行して漢方薬を活用することをおすすめします。食生活の改善は必須ですが即効性のあるものではなく、長い時間をかけて徐々にお悩みの改善を促すものです。また、食生活の改善だけで根本的な体質改善を期待することは難しくもあります。漢方薬を服用することで、老化現象を引き起こしている体質そのものにアプローチし、お悩みに対して一過的な対処ではなく、根本的な改善を期待することができます。
食生活と漢方薬、双方の取り組みを進めることによって、老化に関するお悩みで辛いと感じる時間を減らし、快適な日常生活を取り戻すことができる可能性が高まるのです。
漢方で老化を予防する場合の相談・購入先は?
漢方でアンチエイジングしたいとお考えの方は、ぜひお住まいの近くに煎じの漢方薬を処方してくれる病院や漢方薬局があるか探してみてください。すでに何かしらのお悩みで病院に通っていらっしゃる方は、その病院で煎じの漢方薬の処方が可能かどうか確認してみてください。
漢方薬には、顆粒や錠剤など様々な種類(剤型)がありますが、同じ漢方薬の中でも、特に有効成分が多く含まれているのは煎じの漢方薬ですので、折角漢方薬を服用いただくのであれば、より効果が高い”煎じ”の漢方薬をおすすめしています。問い合わせの際には、是非”煎じ”の漢方薬の取り扱いがあるかをご確認ください。
もしも、お近くにそのような病院・漢方薬局がない場合には、私たち漢方専門なつめ薬局で遠隔相談をお受けしていますので、私たちにご相談ください。