【糖尿病治療と漢方/札幌】糖尿病性腎臓病への進行をストップ!

腎不全末期の患者が生き延びる術のひとつである人工透析。

我が国の人工透析患者数は現在約35万人にまで達し、中でも糖尿病性腎臓病(糖尿病性腎症)は透析導入原因の第1位となっています。

透析は腎臓の働きを代替する一方で体に大きく負担がかかる医療であり、日本の透析患者の平均余命は一般の平均余命と比較すると約10年~15年短くなっています。

糖尿病患者が病気と共に長生きするためには、薬物療法や食事・運動療法を通して糖尿病性腎臓病になることを防ぎ、いかに人工透析を受けずに済むようにするかが大切です。

今回は、最近の研究で明らかになった糖尿病性腎臓病を悪化させる要因と、糖尿病性腎臓病への進行を食い止める東洋医学の概念や漢方薬の力についてご紹介します。

命に関わる糖尿病の合併症

糖尿病は、血糖値を下げるインスリンが膵臓から十分に分泌されないために血液中の糖分が増えてしまう病気です。血液中の多量の糖分が、微細な血管を傷つけたり詰まらせたりして血行障害や神経障害を引き起こします。

糖尿病の代表的な合併症のひとつである糖尿病性腎臓病。

腎臓の濾過装置である糸球体は細い血管のかたまりで、糖尿病により糸球体の血管が傷むと、体の余分な水分や老廃物を尿として排泄することができなくなります。腎臓の働きが悪くなるため、放置すれば死につながる恐ろしい合併症です。

糖尿病性腎臓病になると

前述した通り、糖尿病性腎臓病により腎機能が低下すると、本来尿として排泄されるはずの水分や老廃物、毒素が体に蓄積されます。その結果、浮腫みや呼吸困難、致死性不整脈が引き起こされます。

腎機能がさらに悪化し末期腎不全に至ると、腎臓の機能を代行する治療である人工透析が必要になります。

人工透析には、週3日、3~4時間透析病院に通う必要があります。その拘束時間もさることながら、食事制限や水分制限、シャント(透析を行うためにつなぎ合わせた血管)の管理など、多くの制限が必要となります。

糖尿病性腎臓病に影響する腸内の毒素と栄養素

東北大学で行われた研究(2022)では、腸管での糖分吸収を阻害することで腎機能を悪化させる尿毒素が減少し、腎機能が改善することが明らかになりました。

また、その尿毒素を生産するチロシンを含む食事を制限することで、糖尿病性腎臓病への進展が抑えられる可能性も示唆されました。

これまでは薬物治療や食事制限、運動を行うことで血糖値をコントロールし、糖尿病性腎臓病への進行を防ぐ治療がなされてきました。

しかし、こういった研究が進み、内服薬や栄養指導でも糖尿病性腎臓病を未然に防ぐことができるようになる未来もそう遠くは無いのかもしれません。

東洋医学と糖尿病

現代病のような印象のある糖尿病ですが、東洋医学ではどのように解釈されているのでしょうか。

実は今から二千年以上前に編纂された中国最古の医学書物「黄帝内経」には、早くも糖尿病を示す病気が登場していました。

「消渇(しょうかつ)」と呼ばれ、「消」は痩せる、「渇」は口が渇くという糖尿病の症状を表しています。

普段の生活から体を整える‘養生’

東洋医学には、「養生」という概念があります。養生とは生命を養うことです。

食事、運動、睡眠といった日常生活を健康的に過ごす養生を日々積み重ねることで、病気を未然に防いだり悪化することを防いだりできると考えられています。

もちろん糖尿病も例外ではありません。

古代中国の医学書には、消渇(糖尿病)に対する養生について

『導引(中国の健康法)が終わったらまず百二十歩、多い時には千歩ほど歩いた後に食物をとるのがよい。原則として導引の前後には寒性の強い食品や熱性の強い食品を使わず、五味の調和した食べ物を食べるべきである。』

とあり、適切な食事と運動が有効であると述べています。

なかでも最後の一文にもあるように、五味の調和した食べ物を摂ることを重視しています。

東洋医学では『五味(甘、酸、苦、辛、塩)が五臓(心、肺、肝、脾、腎)を養う』と言われています。

色々な味をバランスよく摂ることが健康を保つ(身体の調和を保つ)ので、ひとつの味だけに偏って食べていると五臓が損なわれるということです。

現代医学の食事療法で重視されている塩分や糖分、カロリーのみでなく、多くの食材をバランスよく摂るということも食事療法で意識してみると良いでしょう。

漢方薬によるサポートで糖尿病を改善

養生で健康的な日常生活を送り、糖尿病にならない、悪化させないことを紹介しました。それでも血糖値のコントロールがうまくいかない場合は、漢方薬でサポートをするのがおすすめです。

糖尿病は、五臓の中でも肺、脾(胃)、腎と関わりが深く、体内にこもった熱がそれぞれの臓腑に悪影響を与えていると考えられています。

病因の進行によって上消・中消・下消の3つに分類され、上から下になるにつれ重症となります。

消渇に対し漢方薬がどのように作用するのかみていきましょう。

① <上消> 肺熱津傷

東洋医学における「肺」は呼吸だけでなく、体液を巡らせたり全身に分散させたりする働きがあり、それにより体の臓腑に栄養と潤いを与えます。上消では肺に熱がこもり潤い(体液)が消耗されるため、喉の渇きを感じます。水を飲むことが多く、多飲・多尿となっている状態です。

清熱潤肺作用のある漢方薬を用いて肺の熱を冷まし潤わせることで働きを改善して、全身に体液と栄養を巡らせます。

また生津止渇作用のある漢方薬で唾液の分泌を促進し、口の渇きを緩和して多飲を防ぎます。

② <中消> 胃熱熾盛

「脾(胃)」は消化吸収に関わる働きをしています。中消は脾が熱を持つことで機能が亢進し、食欲が異常に増している状態です。脾は体を構成する成分である気血水を作り出す働きがありますが、熱により血や水(血液や体液)が消費されるので、栄養が筋肉にまで行き渡りません。食欲がたかぶりいくら食べても空腹感を感じる一方で、食べても食べても痩せていきます。

漢方薬による治療では胃の熱を冷まし暴飲暴食を抑制しながら、血液や体液を増やして全身に栄養を与えていきます。

③ <下消> 腎陰虚

「腎」は五臓の中でも生命力や生殖・成長に関わる多くの働きを担っており、水分の代謝もそのうちのひとつです。尿の量を調整したり必要な栄養分は再吸収したりして、体内の水分の調整を行っています。

下消は腎が熱を持つことで尿量の調整ができず、多尿となっている状態です。体に必要な水分を蓄えられず栄養分も排泄されてしまうことで、濁った尿になります。

このような場合には、潤いや冷やす力を補充する滋陰作用のある漢方薬を用いて治療します。

場合によっては身体に必要なものが漏れ出ないようにしっかり留める固摂作用を回復させる漢方薬も使用します。そうすることで腎の働きを改善させ、尿量を正常に調整します。

以上のように漢方薬による治療では体が持つ熱に着目し、それを除去することで臓器の働きを整え、改善に導きます。

西洋医学では薬剤によって血糖値を下げる治療が行われますが、その効果は一時的です。

一方で、漢方薬は体質そのものを改善することによって糖尿病の症状を根本的に改善します。

血糖値は食生活や運動不足だけでなく、日々積み重なる疲労やストレスなどによってもデリケートに変動し、人によってその原因は様々です。

漢方薬により血糖値が上昇する原因を根本から解消することで、糖尿病そのものからくる症状や合併症の症状など、多岐に渡る不調も改善されていきます。

食事療法も運動療法も頑張っている。病院で処方された薬も飲んでいるのに血糖値が安定しない。このまま一生薬を飲み続けるのか?と悩んでおられる方、ぜひそれにプラスして漢方薬を取り入れてみてください。

全身のバランスを整え自然治癒力を高め病気を改善していくのが漢方薬の特徴です。根気強く漢方薬を続けることで、糖尿病のみならず、全身の不調が改善されていくのを実感できるでしょう。

糖尿病性腎臓病が心配な方の漢方の購入方法は

糖尿病性腎臓病が恐ろしい合併症であること、糖尿病を進行させないためには養生による日常生活の見直しや漢方薬が有効であることを紹介しました。

漢方薬は病院で処方してもらうか、ドラッグストアで購入することも可能です。

ですが、数百種類ある生薬を組み合わせて作られたたくさんの種類の漢方薬の中から、自分にぴったりと合うものを選ぶのは困難です。あなたのタイプに合わないとせっかくの漢方薬も効果を発揮できません。

おすすめは漢方専門の調剤薬局で購入する方法です。

漢方薬局には漢方薬に精通した薬剤師がおり、その深い知識であなたの症状に合わせた漢方薬を選んでくれます。

そしてできれば煎じの漢方薬を処方できる薬局を選びましょう。煎じ薬は既製品の粉末や錠剤の漢方薬とは違い、生薬をじっくり煮出すことで有効成分が最大限に抽出されています。

まずは自宅近くの煎じ薬を処方できる漢方薬局を探して相談してみましょう。

もし近くにそのような薬局が見つからない場合は、私たち漢方専門なつめ薬局にご相談ください。

私たちはカウンセリングを丁寧に行っており、日々の養生のアドバイスはもちろん、糖尿病を引き起こしている原因や体質を見極め、自社で製造した効果の高い煎じの漢方薬をご用意しています。

電話やオンラインによる遠隔相談も承っております。来局が難しい方もお気軽にご相談ください。

糖尿病に対する不安を解消し、健康な体に近づける漢方薬のご相談はなつめ薬局にぜひお任せください。

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