高級化粧品は「マスク老け」撃退に効果あり?

肌の働きと漢方の視点で考える、今“本当に”必要なスキンケア

新型コロナウイルスの影響で、新しいライフスタイルが推奨されて早2年。
こまめな手洗いや消毒、「密」の回避などに加えて、外出時のマスクの着用もすっかりスタンダードになっています。

そんなマスク生活で気になるのが“マスクによる老化”。
「マスク老け」という言葉も生まれ、美容雑誌などではマスク老け対策の企画をよく見かけるようになりました。

「マスク老け」とは、マスクで隠れた口元やフェイスラインがたるんだり、摩擦によってシミができてしまったりと、知らないうちにエイジングが進んでいるという恐ろしい事態のことを指します。
普段はマスクで隠れているので、つい油断しがちな口元やフェイスライン。
しかし、食事などのふとしたタイミングで、人前でマスクを外す時にドキドキする…という方は多いのではないでしょうか。

また、マスクなしで鏡を見た時に、たるみやほうれい線に気づいてショック……という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時につい手を伸ばしがちなのが、美容成分たっぷりの高級美容液や、エイジングケアを謳ったスキンケア製品の数々。
即効性を求めて基礎化粧品に気を配り、つい外側からのフェイスケアばかりに目がいってしまうかもしれません。

しかし、果たして外側だけのケアで美肌は作れるものでしょうか?

肌の仕組みから知る、スキンケア製品の基本的な役割

肌のためになんの疑問もなく使っているスキンケア製品ですが、これらが肌にとってどんな役割を担っているか、ご存じでしょうか。

肌の奥深くまで浸透し、たるみやシワに直接アプローチしてくれる印象がありますが、実は洗顔や化粧水、乳液などの基礎化粧品ができることは、おおまかには「肌表面の洗浄・保湿・保護」のみ。
化粧品の働きは、肌の最も外側にある「角質層」までにとどまるのが基本で、高価格だからといって角質層よりも深い部分に浸透し、うるおいを届けてくれるということはあり得ません。

これは、肌本来の機能を考えると当然のこと。
私たちの肌は、外部からの刺激や異物からの侵入から肌を守る「バリア機能」の役割を主に担っています。
血管や神経といった大切な組織を外傷から守ってくれている部分でもあり、そこに水分や油分を一生懸命すり込んだり、保湿や保温をしたとしても、角質層より奥へは決して浸透しないのです。

もう一つ知っておきたいのが、肌のターンオーバーの仕組みについて。
人間の皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織という構造になっていて、最も外側にある表皮が、私たちが「肌」と呼んでいる部分です。
表皮の一番内側で生まれた細胞がどんどん分化していき、最終的に“死んだ細胞”となって角質層になることを「ターンオーバー」といい、約一か月かけてこのターンオーバーを繰り返し、細胞が生まれ変わっています。

角質層は一番外側にあり、シミやシワ、肌あれなどのトラブルが可視化される部分なので、様々なケア方法で回復させようとケアするものの、そもそも角質層はしばらくすると垢になって剥がれいってしまう部分。
死んでしまった細胞にどんなに丁寧にスキンケアをしても、肌を根本から美しく整えることは不可能なのです。

それよりも、不規則な生活習慣や食事、睡眠不足など、ターンオーバーの乱れにつながる原因を見直すとともに、肌本来のバリア機能を整えることが、遠いようで確実な美肌への近道です。

漢方で考える“美しい肌”とは

漢方では、シワやたるみといった不調は、肌に潤いをあたえる「血(けつ)」や、肌のハリを保つためのエネルギー「気」が足りない状態が引き起こすと考えます。

「血」が足りない方は漢方では「血虚(けっきょ)」といい、肌がうるおい不足でカサカサと乾き、小じわが多いのが特徴です。

たるみやフェイスラインの崩れが気になる方は、肌を持ち上げるエネルギーである「気」が足りない「気虚(ききょ)」タイプの方に多く、身体の疲れや冷えを抱えている方が多いです。

“肌は内臓の鏡”という言葉があるように、体調や心の安定が乱れると、肌の状態も悪化します。
一般的に、マスク老けは表情筋を使わないことによる筋肉の衰えが原因だと考えますが、長引くコロナ禍によるストレスや、食生活や生活スタイルの変化も大いに関係があるといえそうです。

漢方では、肌そのものではなく、肌トラブルの原因を探り、身体の中から美しくしていこうと考えます。
外側からのケア以上に、内側から全身を健康にしていくことを重要視しましょう。

特に女性は「気」や「血」を補う生活習慣ができているかどうかで、同じ世代でも10歳差が出ると言っても言い過ぎではありません。
漢方の知恵を生かしたケアで、肌をイキイキ元気によみがえらせましょう。

ポイントは「気」「血」の充実! 漢方で考える、マスク老け解消レシピ

ここからは、漢方の視点で見た美肌づくりにおすすめのライフケアをご紹介します。

漢方といっても、特別な素材を使ったり、難しい技術が必要なものはなく、どれも手軽に実践できるものばかりです。
まずはできることから取り入れてみてください。

・美肌にいい食べ物を知る

毎日の食事で何をどう食べるかは、健康の基本であるとともに、肌の状態も大きく左右します。

うるおいやツヤをもたらすものや、気血を補ってくれる食べ物を積極的に取り入れましょう。
水分はなるべく常温以上のものか白湯を飲んで、冷えない体づくりを行うこともポイントです。

<肌ツヤアップ食材>
鶏手羽先、牛すじ、れんこん、白きくらげ、白ごま、ナッツ類、松の実、ごま油、蜂蜜など

<気(エネルギー)を補う食材>
穀物(ひえ、きび、あわ)、山いも、じゃがいも、豚肉、豆類、梅、えび、あなごなど

<血(うるおい)を補う食材>
ほうれん草、レバー、にんじん、まぐろ、プルーン、クコの実、牡蠣、黒豆など

・目の使い過ぎには注意!

漢方では、目や頭を使いすぎることは「血」を消耗すると考えます。
パソコンのモニターやスマホ、テレビを長時間見続けることは控えましょう。

特に寝る前のスマホチェックは、目に悪いだけでなく、美肌作りの大きなガキとなる睡眠の質を低下させる原因にもつながります。
睡眠2時間前はスマホを見ないように心がけたり、21時以降は画面の明るさを暗く設定したりと、使用環境をコントロールしましょう。

また、考えごとを抱え思い悩むことも「血」を消耗させます。
忙しい現代社会ではありますが、こまめな休憩を取り入れたり、自分に合ったストレス解消法を見つけたりで、内側にため込まない生活を送りましょう。

・適度な運動を習慣に

全身に栄養やうるおいをもたらす「血」の巡りが悪くなると、顔色がくすみがちになり、シミやクマも濃くなります。
マスクをしていると目が協調されるので、クマのないすっきりとした目もとは若々しい印象をもたらしてくれます。

全身の血行をよくするためには、適度な運動が不可欠。軽い散歩やウォーキングなど、体に負荷のかからない運動でも十分効果的です。
また、長時間座りっぱなしの時は、1~2時間に一度は立ち上がり、足踏みをしたり腕を振ったりして血液の滞りを防ぎましょう。

漢方と聞くと、深刻な不調がある人が使う薬という印象を持つ人も多いですが、実は美容・エイジングのお悩み解決としても有効です。

どんな悩みにも共通していえることは、漢方はすでに出ている症状を抑えることはもちろん、体質改善によって症状を根本から改善することができるということ。
とはいえ、肌タイプやお悩みによってその方に合った漢方薬はそれぞれなので、ドラッグストアで安易に処方を選ぶことはおすすめしません。
まずはお近くの漢方専門薬局などでしっかりとカウンセリングを受けたうえで、ご自身の体質に沿った処方を選定してもらいましょう。

近隣に漢方薬局が見つからない方や、外出が難しいという方は、なつめ薬局のオンライン相談をご活用ください。
対面と変わらない本格的なカウンセリングの後、オーダーメイドの漢方薬と、体質に合ったライフスタイルをご提案します。

長引くマスク生活に加えて、冬の寒さと乾燥で肌のエイジングが一気に進みやすい時期です。
漢方の肌養生を暮らしに取り入れて、内側から輝く美肌を目指しましょう。

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