【不眠と漢方/札幌】リモートワークで増えている不眠を解消しよう!

札幌の漢方専門 なつめ薬局の阿部です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、リモートワークを初めて経験した方も多いのではないでしょうか?

そもそも、会社など決まった場所以外で仕事をするリモートワーク・テレワークは、働き方改革や東京オリンピック・パラリンピックの開催などを理由に推奨されていましたが、なかなか浸透しないのが現実でした。

ところがCOVID-19の流行で、一気に導入する会社が増えています。
厚生労働省が発表した「新しい生活様式」から考えても、コロナ禍前よりリモートワークやテレワークの割合を増やす企業は、今後増えていくでしょう。
すでに大手菓子メーカーのカルビーは、オフィスで働く人を原則テレワークにしています。

一般的になりつつあるリモートワークですが、続けているうちに体に不調を感じたという方もいるのではないでしょうか?
リモートワークが原因で、睡眠障害に悩まされている人も少なくありません。

リモートワークで不眠になる!?

職場に出向かないで自宅で仕事をしていると、睡眠障害になりがちです。
原因は、大きく分けて3つあります。

1.運動不足

1つ目の原因は、運動不足です。
通勤がなくなり楽になった!と感じるかもしれませんが、その分動かなくなりました。
車通勤の方でも、玄関から駐車場、職場の駐車場から自分のデスクまで歩いていたでしょう。

これまで営業や出張で社外に出向くことが多かった人にとって、在宅勤務による運動不足の影響は大きなものです。

筑波大学とタニタが都内の会社員を対象に行った調査によると、COVID-19の影響によるテレワークで歩数が約3割減ったことが分かりました。中には7割減った人もいたそうです。

体を動かすことと睡眠の質には、大きな関係があるといわれています。
運動の習慣がある人は、ない人と比べて寝つきが良く、眠りが深いと報告されています。

また運動不足や慣れない机や椅子の使用により、リモートワーク中に肩・首・腰が痛くなったという人もいるでしょう。
痛みがあると質の良い睡眠ができず不眠につながります。

2.モニター刺激

2つ目の原因は、パソコンなどの見過ぎによるモニター刺激です。
自宅での業務時間中は、基本的にすべてパソコンの画面を見ているという人も多いでしょう。

また、リモートワークは長時間労働になりやすいといわれていますし、1人で仕事をするのでじゃまが入らない分、集中しすぎて長時間休みなしで働きがちです。

パソコンやスマートフォンからは、ブルーライトが出ています。
ブルーライトを見ていると、目が疲れやすく、睡眠のリズムも崩れることが分かっています。
寝る直前まで仕事をしてしまうとブルーライトの睡眠への影響がより大きくなるので、注意が必要です。

3.メリハリのない生活

人間の身体は、活動モードの交感神経とリラックスモードの副交感神経がバランスよく働くことで機能しています。副交感神経が優位にならないと、ぐっすり眠ることができません。

ところが、メリハリのない生活をしていると、2つの切り替えがうまくいかなくなり、眠ろうとする時間になっても交感神経が活発なままです。

在宅勤務では、オンとオフの切り替えがあいまいになっている方も多いのではないでしょうか。

これまでは、起きて、身支度をして、職場まで移動して、仕事を始めるというルーチンがありました。
その間に、気持ちは自然と仕事に向かっていきます。

仕事が終わったあとも同様です。
一日の仕事が終わり家に帰るまでの間に、頭の中の仕事モードはリセットされていたことでしょう。
行きつけの店によってから帰ることでリフレッシュしたり、あえて職場から少し離れた場所を自宅に選んだりして、オンオフの切り替えをするという人もいます。

ところがリモートになったことで、仕事とプライベートの空間が一緒になってしまいました。
仕事中もプライベートが気になり、働いていない間も仕事のことが頭から離れない人もいるかもしれません。

起きているとときは交感神経が、休むときは副交感神経が優位であることが理想です。
このメリハリがついていないと、不眠の原因になってしまいます。

一度崩れてしまった睡眠習慣は、もとに戻すのが大変です。
睡眠にトラブルがあると感じたら、早めに解消していきましょう。

漢方的な不眠の考え方

不眠に悩んで病院に行くと、寝つきが悪かったり眠りが浅かったりする症状から、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒といった病名がつけられます。
病名に応じて薬が処方されることになります。

けれども、漢方的には病名は重要ではありません。
体内のバランスが整っていけば、自然と眠れるようになるのです。体全体でどのようにバランスが崩れているのかを見極めることが大切です。

病院で処方される睡眠導入剤などのおかげで眠れたとしても、根本的な解決にはなっていません。
いつまでも薬が手放せなくなってしまう可能性もあります。

漢方では、不眠症は、五臓のうち「心・肝・脾」とのかかわりが強いと考えます。

漢方でいう「心」には、全身に血をめぐらせるポンプの働きだけでなく、精神や思考の活動をつかさどる役目があります。

心が不調になると、精神的に不安になってしまいます。
頭の中が心配ごとでいっぱいになると、眠りの質が悪くなる経験のある方も多いのではないでしょうか。

「肝」には蔵血作用があり、心とともに血に深く関係しています。怒りやストレスなどの影響を受けやすく、バランスが崩れると情緒面での症状が出やすくなります。

「脾」は、体にとりいれた栄養からエネルギー源である気・血を作りだします。
脾の働きが弱ってしまうと、体の中に十分な気や血が行きわたりません。

血が不足すると、血を循環させる心や、血を蓄える肝の働きも悪くなります。
結果として、心や肝の機能が弱まり、不眠へとつながるのです。

漢方では精神と肉体を分けて考えませんので、身体のバランスを整えることで、精神面の落ち着きも目指します。

不眠に悩んでいる方の場合、心・肝・脾の働きが、どのようにバランスを崩しているのかを確かめて、弱い部分を補うように漢方を処方します。

バランスが整うことで、眠りにつきやすくなり、ぐっすりと熟睡できるようになっていくでしょう。

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