【飲酒と漢方/札幌】百薬の長?アルコールが招くリスクとは

空気はまだひんやりしていますが、桜も開花し少しずつ春の訪れを感じる季節となりました。新年度が始まり歓迎会にお花見やバーベキューなど、お酒を摂取する機会も増えることでしょう。

でも「健康診断でひっかかってしまった‥」「ひょっとしてお酒飲み過ぎてる?」と内心気になっている方はおられませんか?

アルコールは料理を美味しくしたり、緊張をほぐしてストレスを緩和したり、会食の場を盛り上げコミュニケーションを円滑にしたりと、私たちにたくさんのメリットを与えてくれます。

しかし一方で、過剰な摂取は身体にダメージを与え、健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

今回はアルコールが与える健康への影響を改めて紹介し、その改善に漢方薬が有効であることをお伝えします。

知っておきたいアルコールと健康の関係

喫煙ががんの発症リスクを上昇させることはご存知の方も多いでしょう。

一方で、飲酒ががん発症にもたらす影響の大きさはあまり知られていないのが現状です。実はアルコールが原因の健康被害は肝臓の病気だけではありません。

「適度な量」のワインも発がんリスクになる

2019年にイギリスの大学で行われた研究によると、1週間にワイン1本程度の「適度な量」の飲酒でも発がんリスクがあり、男性ではタバコを週に5本、女性では週に10本吸った場合のリスクに相当することがわかりました。

男性では主に消化器系のがんの発症が、女性では乳がんの発症が顕著に増加することが判明したのです。

ポリフェノールが豊富で健康に良さそうなイメージのワイン。適量でも発がんリスクが上昇するというのは少し意外ですね。

しかし既に世界保健機関(WHO)など多くの機関は、「がんのリスクを上昇させない、完全に安全だと言える飲酒量はない」との見解を示しています。

アルコールの影響を受けた体を治すには

アルコールの過剰摂取は発がんリスクを上昇させるほか、肝臓や膵臓などの臓器や脳や精神にもダメージを与えます。

アルコールの恐ろしい所は、自分でも気づかないうちにじわじわと体を蝕んでいくということ。気づいた時には臓器が機能低下を起こしている状態であるということが少なくありません。健康診断の結果でも、去年までは正常範囲だったのに‥と思われる方も多いでしょう。

アルコール性脂肪肝の場合は禁酒すれば1~2ヶ月で改善します。しかし、肝硬変や肝炎まで進行してしまうと改善することは難しくなります。

アルコールが原因の急性膵炎の場合も、慢性膵炎にまで進行してしまうと基本的に完治は望めません。

アルコールによる脳萎縮は断酒により回復するとも言われていますが、飲酒がやめられず脳を萎縮させ続けているアルコール依存症の人は、20%が60歳を過ぎるとアルコール性認知症になるという統計もあります。認知症を完全に治す治療は存在しません。

このように、アルコールによる臓器のダメージは進行すると回復が困難となり、治療にはどの段階においても節酒、断酒、禁酒が基本となるのです。

とはいえ、職場や友人との付き合いもあり、完全にお酒を断つのは難しい場合もあるでしょう。お酒を減らしたのに思ったより検査結果が改善してこない、という方もおられるかもしれません。

実は、健康診断で要検査とされたお酒好きな人にとって漢方薬は健康をサポートする有効な手段の一つとなります。

お酒好きの健康対策に漢方薬を

‘酒は百薬の長’は本当?東洋医学的にみる飲酒

‘酒は百薬の長’という言葉を聞いたことがあるかと思います。この言葉をお酒を飲む口実にしてきた‥という方もおられるかもしれませんね。これは中国古代の史書「漢書」が出典の言葉ですが、実は続きがあります。

‘酒は百薬の長、されど過ぎたるは百薬の長ならず’

実際にはこのような文章になっていて、どんなお酒も飲み過ぎは良くないという意味になっています。約2000年前の書物にも過剰なアルコール摂取の危険性について記載され、注意喚起されていました。

東洋医学では飲酒をどのように捉えているのでしょうか。

東洋医学では、アルコールには余分な水分と熱を生み出す性質があると考えられており、‘火が潜む水’と言われることもあります。

飲酒によって熱と水分が体に過剰に入った状態を「酒毒」といい、酒毒の過剰な熱と水分が身体に様々な不調をもたらします。短期的な不調である頭痛、吐き気、食欲不振などの二日酔いの症状から、肝疾患や生活習慣病など長期的な不調まで現れてきます。

アルコールの影響を受けた体は漢方薬で改善しましょう

東洋医学では、人体を構成する重要な要素である「気(エネルギー)」「血(血液)」「水(血液以外の体液)」が、スムーズに体内を巡っている状態が健康であるとされています。

酒毒の状態に対し、漢方薬はどのように作用して健康へ導くのでしょうか。

そのポイントは「湿熱」を除去することにあります。

「湿熱」とは、アルコールの影響で体内に熱と水分が過剰に蓄積された状態をさします。湿熱の状態では熱と水分がドロドロと混ざり動きが悪くなり、気血が体内を巡ることができません。

エネルギーと血液が巡ることができないため老廃物や毒素が体内に溜まり、がんや糖尿病、高血圧、脂質異常症、心筋梗塞、脳卒中など重篤な疾患につながります。

このような湿熱の状態には、熱を取り除き水分を調整する漢方薬で体の余分な熱と水分を体外に排出させ、老廃物や毒素の排泄を手助けします。

気血の巡りを改善することで代謝や臓器の働きを向上させ、がんや肝臓の機能障害、生活習慣病を予防します。

酒毒や湿熱の際にみられる主なタイプをみていきましょう。

・肝胆湿熱

長期間の飲酒によって肝が湿熱を生じた状態で、アルコール性肝障害の初期段階である脂肪肝の状態に相当します。

五臓の中でも肝は、全身の気を巡らせる疏泄(そせつ)という重要な働きをしています。精神面の安定をはじめ、代謝機能や消化を助ける胆汁の分泌もこの働きによって行われているので、疏泄作用が低下すると胆汁の正常な生成や排泄を上手く行うことができません。

その結果、尿の色が濃くなり、口が苦い、喉が渇くなどの症状がみられますが、その症状に気が付かない人も多いようです。

漢方薬による治療では、まず肝に停滞している熱を冷まして余分な水分を除去します。肝の疏泄作用を改善させるよう肝機能の回復を目指します。黄疸が見られる場合には胆汁の分泌を促して黄疸を改善させる利胆消黄作用のある薬を加え治療を行います。

・肝気鬱帯、脾胃湿熱

肝胆湿熱が改善されないまま持続し、さらに気と血が巡らず肝機能が低下した状態です。アルコール性肝障害が進行した肝炎に相当します。

肝気の鬱帯が長引くと、次に肝と密接な関係がある脾胃の働きが障害されます。脾は食物を摂取することで気・血を生み出す働きがあります。脾の働きが低下することで食欲不振、胃部膨満感、胸やけ、便秘や下痢、全身倦怠感といった症状があらわれます。

治療では、肝気を巡らせ気を整える疏肝理気作用のある漢方薬を使用します。肝機能を改善する効果があり、肝炎の進行を抑制する効果が期待できます。そして脾胃の湿熱を取り去る漢方薬を用いて働きを改善し、消化機能を改善します。

・肝腎陰虚

肝炎がさらに進行し肝硬変へ移行すると全身の血流が低下します。腎臓へ流入する血流も低下し腎機能が悪化するという病態を呈します。

東洋医学において腎は、成長・発達・生殖機能を司る働きをはじめ、尿を作り体内の水分を調整しています。肝と腎は密接な関係にあり互いに助け合っています。肝の働きが悪くなるのに連動して腎の働きも低下した状態を、肝腎陰虚といいます。

肝腎陰虚により血の流れや水分の調整がうまくいかず、体が浮腫む、めまい、強い倦怠感などの症状が現れます。このような全身の血流が低下し酸素や栄養が運ばれづらくなった状態を「血瘀(けつお)」といい、皮膚が赤黒くガサガサしてきます。

ここまで進行してしまうと、肝腎陰虚と血瘀による全身の症状で複雑な病態となります。漢方薬による治療では肝と腎の働きを回復する処方を基本とし、水分バランスを整える漢方薬や血液の循環を整え血瘀を改善する活血化瘀薬などを使用します。

アルコールが原因の不調に対する治療は、西洋医学では服薬や食事制限等の生活習慣の改善が中心で、ダメージを受けた臓器そのものを治すことは困難です。

一方で、東洋医学の治療では気血水のバランスが崩れているところを見つけ出し、複数の生薬を組み合わせた漢方薬でいくつかのポイントから体内のバランスを整えます。人間が本来持つ生命力を引き出すことを目的としており、アルコールでダメージを受けた肝臓を中心に全身の臓器を回復させることが可能です。

健康診断で悪化してきた肝臓の数値をなんとか食い止めたい、肝硬変に移行しないように慢性肝炎を良くしたいという方は、生活習慣の改善と共に漢方薬を取り入れてみてはいかがでしょうか。

体に負担のかからない穏やかな効き目で、病院に行くほどでもない、何となく感じていた不調までも緩和されていくのを実感することができるでしょう。

健康維持のために漢方薬を取り入れてみたいときは

お酒による健康へのダメージが気になってきた方、病院での治療や生活習慣の改善に加えて漢方薬を使いたいと思った方へ、漢方薬を購入する際のポイントをご紹介します。

まずは近所の薬局で相談してみましょう。その際、漢方薬を専門で取り扱っている漢方薬局で相談するのがおすすめです。漢方薬局には漢方薬を専門とする薬剤師がおり、漢方医学に基づいた深い知識で不調の根底にある原因を見極め、漢方薬を処方します。

煎じタイプの漢方薬を処方してくれる薬局だとなお良いでしょう。

煎じ薬は生薬をじっくり煮出して作る液体の漢方薬で、顆粒や錠剤のものと比べると有効成分がしっかりと含まれています。

私たちなつめ薬局では、煎じタイプの漢方薬を自社で製造しています。

カウンセリングを重点的に行っており、患者様の症状から生活環境まで丁寧に問診し、その方に合った漢方薬を処方するので効果をより実感できるでしょう。

遠方等の理由で来局が難しい方には、オンラインや電話でのご相談も承っております。完全予約制で時間を気にせずに相談していただけます。

健康診断の結果が気になっている方、ぜひお気軽にご相談ください。

自信を持って健康診断を受けられるよう、なつめ薬局が処方する漢方薬でサポートします。

問い合わせバナー

関連記事

TOP