糖尿病の方からのご相談はかなり多い札幌の漢方専門薬局です。
血糖値やヘモグロビンA1cでお悩みの方に共通して見られるのが、
「食事や運動は自分なりに気をつけているのに、数値が安定しない」という悩みです。
その背景のひとつにあるのが『睡眠の質』
西洋医学的にも、睡眠不足や深い眠りの欠如はインスリン感受性を低下させ、血糖値を不安定にさせることが報告されています。
エビデンスから見る「睡眠と血糖・ヘモグロビンA1c」
- 短時間睡眠の影響
健常男性において、1週間・5時間睡眠を続けただけでインスリン感受性が低下したという報告があります(Spiegel et al., Diabetes 2010)。 - 深い眠りの重要性
深い眠り(徐波睡眠)を選択的に削る実験では、総睡眠時間が同じでも耐糖能が悪化しました(Tasali et al., PNAS 2008)。 - 睡眠時間と糖尿病リスクの関係
大規模コホート研究(UK Biobank)では、睡眠時間と糖尿病リスクはU字型の関係を示し、7〜8時間の睡眠でリスクが最も低いとされています。
つまり睡眠は「量」も「質」も、血糖コントロールには欠かせないのです。
漢方的な睡眠と代謝の関係
漢方では「睡眠」は単なる休息ではなく、気・血・津液の回復と調整の時間と考えます。
- 心の不安定:心神が安まらず、不眠や浅眠となる。「心脾両虚」「心腎不交」などの病機。
- 腎の弱り:腎陰不足 → 夜中の目覚め、腎陽不足 → 熟睡できず朝に倦怠感。
- 肝の失調:ストレスで肝気が滞ると、気血の流れが妨げられ、睡眠も代謝も不安定になる。
結果として、脾胃の働きが弱まり、糖代謝が滞りやすくなるのです。
漢方弁証の視点
糖尿病予備軍に多く見られるのは:
- 脾気虚型
日中も疲れやすく、食後の眠気が強い。浅い眠り。 - 肝鬱気滞型
ストレスで甘い物を欲しやすい。不眠や夢が多い。 - 腎陰虚型
夜間の目覚め、のぼせ、口渇を伴い、血糖値が不安定。
弁証論治の観点で睡眠を整えることが、血糖コントロールの底支えになります。
漢方養生実践のヒント
- 就寝前はデジタル刺激を避け、静かな環境をつくる
- 夜は温かい飲み物で脾胃を守る(麦茶・はとむぎ茶など)
- 香りのある食材(陳皮・しそ・柑橘類など)で肝気を巡らせる
- 7〜8時間の睡眠を目安に、量と質を確保する
まとめ
- 睡眠は血糖コントロールに直結する「生活習慣の柱」
- 研究データでも「短い睡眠」「浅い睡眠」がインスリン抵抗性を悪化させることが確認されている
- 漢方的には「心・腎・肝・脾」の調和が睡眠と代謝を結びつけている
札幌の漢方専門 なつめ薬局は糖尿病もしくは予備軍の方からのご相談も多数受けております。
- ヘモグロビンA1cを安定させたい
- 腎機能を維持したい
- 透析は嫌
- インスリン注射は受けたくない。
- 手足にしびれを感じる
など、様々な方がご相談に訪れています。お困りでしたらご相談ください。