2020年1月から3年以上に渡り世界的に猛威を振るった新型コロナウイルス(COVID-19)。
2023年5月にはWHOから緊急事態宣言の終了が告げられ、私たちの日常も落ち着きを取り戻しつつあります。しかしながら、新型コロナウイルスは変異を繰り返す感染症であり、まだまだ油断はできません。
最近、新型コロナウイルスが妊活に及ぼす影響が少しずつ明らかになってきました。
この記事では、新型コロナウイルス感染症が男性の精液に与える影響と、男性不妊の改善に漢方薬を取り入れるメリットを解説します。
新型コロナウイルスが妊活に与える影響
妊活中の方、不妊治療を受けている方にとっては新型コロナウイルスが与える影響は非常に気になるところだと思います。
ムンプスウイルス(おたふく風邪)、B型・C型肝炎ウイルスなどは男性の精子に悪影響を及ぼすことは知られていますが、新型コロナウイルスはどのように影響するのでしょうか。
新型コロナウイルス感染後に精液の質が低下
新型コロナウイルス(COVID-19)に感染後の男性不妊に関する調査で、新型コロナウイルスに罹患した男性は、精子濃度、総精子数、運動率が健常者と比較して有意に低下することが判明しました。また、新型コロナウイルス感染症から回復した後、研究対象となった男性の25%は乏精子症であったという報告がされています。
その原因として、新型コロナウイルスは精子の元になる細胞や精子形成に関与する細胞に直接感染し、細胞が死滅することによって精子数が減少したり、濃度や運動率が低下してしまったりすることが考えられています。
精液の質を改善する治療薬はある?
男性不妊にも関与していることが分かった新型コロナウイルスですが、精液の質を改善させる治療薬はあるのでしょうか?
病院の検査で男性ホルモンや下垂体ホルモンが低下している場合には、ホルモン剤の服用や注射により、精子濃度が増える可能性があります。しかしホルモン値が正常の場合、残念ながら厚生労働省が認めた男性不妊治療薬はありません。
精子の質を良くする、精液の量を増やすとされているサプリメントや血流改善薬などを勧められる場合がありますが、明確な有効性が示されている治療法は少ないのが現状です。
男性不妊を改善する日常生活
精液の質の改善には、以下のような生活習慣と食生活の改善が有効とされています。
①生活習慣の改善
・有酸素運動を行う
・長時間のカイロの使用やサウナ等、精巣を過度に温めるような行動を控える
・最低6時間の睡眠を確保する
・過度の肥満は避ける(BMIが25以上で精液量や総精子数は減少傾向)
・長時間の座位は避ける(精巣の血流が慢性的に悪くなり精索静脈瘤を誘発する)
・禁煙をする
特に喫煙は、精液量・精子濃度・精子運動率・正常形態率に悪影響を及ぼすことが多くの研究で報告されており、改善すべき生活習慣です。
②食生活の改善
・トランス脂肪酸(マーガリン等)を避ける
・加工肉を避ける
・ビタミンB(緑黄色野菜、牡蠣、シジミ等)、ビタミンC(果物、ブロッコリー等)、ビタミンE(卵、アボカド、うなぎ等)が豊富な食物を積極的に摂取する
・亜鉛を積極的に摂取する(牡蠣、かつお等。精液を増やす効果あり)
・βカロテンやリコピンを摂取する(精子の質を良くする効果あり)
新型コロナ感染後の男性不妊は漢方薬の力で改善しましょう
上で述べたような生活習慣や食生活の改善が、新型コロナウイルス感染後の精液の質改善には有効です。
そしてさらに漢方薬を取り入れることで、より一層の効果を期待できます。
漢方薬は男性不妊にどのような効果をもたらすのでしょうか。
東洋医学における男性不妊とは
通常男性不妊の受診先は泌尿器科となりますが、東洋医学には男性不妊やEDを専門とした「中医男科」が存在し、古くから治療の研究がされてきました。
東洋医学では、男性不妊は主に「腎」の機能低下が原因と考えます。
腎は生命力に必要なエネルギーである「精」を貯蔵し、人の成長・発育・生殖を司る臓で、体に潤いと栄養を与える役割も担っています。
男性不妊の原因である精子の数や運動率の低下、形態の変化は、生殖機能を支える腎の状態によって大きく左右されると考えられています。
漢方薬が男性不妊を改善するしくみ
西洋医学では精子の濃度や運動率といった局所に着目し、薬物療法による改善が難しい場合は手術や人工授精などの手技で妊娠を目指します。
一方漢方薬をはじめとする東洋医学では、体全体のバランスを整えることによって腎の働きを高め、男性不妊の症状を改善します。
男性不妊の原因となる腎の機能低下は「腎虚」と呼ばれ、「腎陰虚」「腎陽虚」の2つのタイプがあります。
・腎陰虚タイプ
精子の数が少ない、体がほてりやすいという場合は腎陰虚の可能性があります。
腎の機能低下から体内の潤いが不足し、余分な熱が体内に生まれている状態です。精巣に熱がこもることで精液の質の低下につながります。
漢方薬による治療では、ほてりやのぼせを体の内側からおさめます。体に不足している潤いを補い、身体の熱症状を抑えることで精液の質を改善します。
・腎陽虚タイプ
精子の運動率が良くない、体が冷えやすいという場合は腎陽虚が考えられます。
腎の機能低下から体を温める働きである温煦(おんく)作用が充分に発揮できなくなった状態です。冷えから性機能やホルモン内分泌機能が低下し、精子の機能も衰え、男性不妊症につながります。
漢方薬による治療では、腎の働きを高めて体全体を温める作用のある生薬が含まれたものを使います。体の中から温め新陳代謝を活性化することで、ホルモン分泌や精子の運動能を改善します。
さらに腎の機能低下のみでなく、血流が滞ることも男性不妊の原因となることもあります。
・気滞血瘀(きたいけつお)タイプ
体中にきれいな血液を行き渡らせるために「気」と「血(けつ)」が巡ることが必要です。
「気」は体を動かし生命を維持するエネルギーを指し、「血」は血液そのものを指します。
精神的ストレスやプレッシャーを受けたり疲労が蓄積したりすると気が巡らず「気滞」という状態になり、気滞が長く続くと血の巡りにまで影響し「血瘀(けつお)」という状態を招きます。
気滞血瘀は、言わば川幅が狭くなり川水が流れにくくなった状態。
血管が収縮し、血流が滞ることにより陰部の血流が悪化し、精索静脈瘤の原因になります。また性欲の減退やED、閉塞性無精子症、乏精子症、精管の詰まりにもつながります。
漢方薬による治療では、気の流れを改善する「理気薬」と血の流れを よくする「活血薬」を用いて気血の巡りを改善し、精巣周囲の血流改善を目指します。
男性不妊に漢方薬を取り入れるメリット
不妊治療というと女性がメインにするというイメージがありますが、不妊の原因の50%は男性側にあると言われています。
そして精子の数が少ない、運動率が悪い、奇形などの造精機能障害の原因は不明である場合が多く、精索静脈瘤が原因の場合も手術が必要になります。人工授精、体外受精といった治療に踏み切ることも多く、身体的、経済的な負担が大きなものとなります。
漢方薬による治療では、体内のバランスを整えることによって症状を改善します。
西洋医学では対応が難しい原因の分からない造精機能障害も、漢方薬であれば体の内側から体質そのものを改善することで機能回復が期待できます。
男性不妊に漢方薬を取り入れることで、男性が本来持つ生殖能力を最大限に引き出し、体に負担をかけず妊娠の可能性を高めることができるのです。
漢方薬で男性不妊を改善したいときの相談・購入先は?
新型コロナウイルスと共存する現代、罹患してしまった方はぜひ男性不妊の治療に漢方薬を取り入れてみることをおすすめします。
漢方薬を使いたいと思われた方は、かかりつけの泌尿器科や産婦人科で相談してみるのが良いでしょう。
その際、漢方薬を煎じ薬で処方できるかどうかがポイントです。煎じの漢方薬は、生薬を煮出して作る飲み薬のことで、顆粒やシロップタイプのものと比べて薬効成分が効率よく抽出され体内に吸収されやすくなります。
しかし、煎じの漢方薬を処方できる泌尿器科や産婦人科は多くありません。かかりつけ医で処方できない場合は近くの漢方専門薬局に問い合わせてみましょう。
それでも難しい場合は私たちなつめ薬局にご相談ください。
なつめ薬局は、漢方薬を厳選生薬から自社製造で提供する完全予約制の漢方専門薬局です。
カウンセリングに重きを置いており、患者さん一人ひとりを十分に診察してその方に合った煎じ漢方薬を処方いたします。
「これまで男性不妊に病院で処方された漢方薬を服用してきたけれど効果を感じられなかった」という方も、ぜひ自社製造の煎じ薬にステップアップしてみることをおすすめします。体に負担なく高い効果を実感できることでしょう。
なつめ薬局は札幌にある薬局です。対面だけでなく電話やオンラインを活用したリモート相談も承っておりますので、遠方の方も天候や体調により来局が難しい方もお気軽にお問合せください。
新型コロナウイルスに負けず男性不妊を改善し、元気な赤ちゃんを授かるためにぜひなつめ薬局にご相談くださいね。