【妊活と漢方/札幌】卵子や精子の質を守る!気をつけたい野菜の食べ方4ポイント

漢方薬生薬認定薬剤師の阿部です。

妊娠を希望しているのなら、卵子や精子が若々しい状態を保っているか気になるものではないでしょうか。
最近の研究では、卵子や精子の機能の低下に活性酸素がかかわっていることが証明されています。

それでは、活性酸素を減らすために自分でできることはあるのでしょうか?
ここでは、活性酸素を取りのぞく成分が多く含まれる野菜を、より効果的に食べる方法をご紹介します。

活性酸素とは体の老化に関係している

活性酸素は、ほかの物質を酸化させる力がとても強い物質です。
名前を聞いたことのある人であれば、悪者としてのイメージ大きいかもしれませんね。
しかし、実際は体内に侵入した細菌などの異物を攻撃するなど、体にとってよい役割も持っています。

ただし、活性酸素が増えすぎると攻撃してほしくない人間の体にもダメージを与えてしまうのです。
そのため、老化やがんなどの病気、卵子や精子の機能低下、しわやシミの発生の原因になってしまいます。

活性酸素は、活性酸素を分解する酵素や、抗酸化物質とよばれる成分によって体から取りのぞかれます。
ところが、体内で作られる活性酸素除去酵素は、年齢が上がるとともに作られる力が弱まり減少してしまうのです。

一方で、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール、亜鉛などの抗酸化物質とよばれる成分は、食品から取り入れることが可能です。

体内に取り込まれた抗酸化物質は、それぞれが独自に働くのではなく、抗酸化ネットワークとよばれるネットワークで共同して働くと強力な抗酸化作用を発揮することが科学的に明らかになっています。

そこで、抗酸化作用の成分が含まれる食品を食べることによって体内の活性酸素を減らし、卵子や精子へのダメージを防いでいこうと考えが生まれるのです。

抗酸化物質を毎日の食事でとりたいときに、おすすめの食材は野菜です。
とはいえ、野菜を食べればなんでもよい、というわけではありません。
効果的に抗酸化物質を摂取できる野菜の食べ方を見ていきましょう。

抗酸化物質を効率よくとるために気をつけたいこと

〇抗酸化物質の種類を増やそう!

先ほども書いたように、抗酸化物質にはさまざまな種類があり、それらが協力して大きな力を持ちます。
そのため多くの種類の抗酸化物質を体内に入れることが重要です。

バラエティ豊かな抗酸化物質を取り入れるためにしたいことは2つ。

  1. 多くの種類の野菜を食べる
  2. いろいろな色の野菜を食べる

それぞれの野菜には、含まれる抗酸化物質の種類は決まっています。複数の野菜を食べれば、1つの野菜ばかりを食べるよりも多種の抗酸化物質を取り入れられるということです。

さらに、色の違う野菜を選んで食べれば、同じような抗酸化物質に偏るのを防げます。
というのも、抗酸化力のあるファイトケミカルとよばれる成分は、色や香り、辛味やネバネバの元になっているんですね。
たとえば、ブルーベリーに含まれるアントシアニンはポリフェノールの一種でファイトケミカルです。

ですから、色の違う野菜を選べば含まれるファイトケミカルの種類が違うということになり、自然と種類の違う抗酸化物質が食べられるというわけです。

〇量を考えるなら鮮度が大切

体のことを思い積極的に野菜を食べている人でも、忙しい毎日のなか、冷凍野菜や総菜、市販の野菜ジュースなどを利用している人もいるのではないでしょうか。
しかし、これらの加工野菜は、生鮮野菜と比べると栄養素の量が減少しているという報告もあります。

また、野菜はカットすると酸化酵素が働いて栄養素が酸化してしまい、性質が変わります。
リンゴなどは切ったとたんに色が変わるので、わかりやすいですよね。
切り口にレモン汁をかけると茶色に変化しないのは、レモンのもつ抗酸化作用が働いているからです。

そのため、生野菜を直前に調理したときと同じだけの抗酸化物質を取るためには、加工野菜やカット野菜であればたくさん食べなくてはいけません。
効率よく抗酸化物質を取りたいのなら、すでに加工されている食品ではなく生の野菜を買ってきて自分で調理するとよいですね。

〇長時間加熱しない ゆで汁も食べる

調理法にも気をつかう必要があります。

抗酸化物質のなかには熱に弱いものもあり、それらは加熱することで性質が変わってしまいます。
加熱時間が長ければ長いほど、抗酸化作用はどんどん減ってしまうので、不必要に長時間加熱するのは避けましょう。

それでは野菜は、サラダのように生で食べたらよいのではないか?と考えるかもしれません。
たしかに、抗酸化物質のことだけを考えるなら、温野菜より生野菜の方が多く含まれます。

ところが、ここでひとつ問題が出てきます。というのも、生野菜には体を冷やしてしまう作用があるのです。
体全体のことを考えると、生野菜ばかりを食べることはおすすめできません。

そこで、抗酸化物質が壊れる量をできるだけ少なくするために、必要以上に長い時間加熱しないように気をつけて、火を通した温かい野菜を食べるようにしましょう。
火を通すと、野菜のかさが減るので、たくさんの量を食べられるのがメリットです。

また、ビタミンCなど水溶性の抗酸化物質は、ゆでるとゆで汁のなかに出てしまいます。
下ゆでに使ったゆで汁も、スープや煮汁に使うとよいでしょう。
食材を水のなかに長時間さらしておくのも、あまりお勧めいたしません。

〇旬の野菜を食べる

品質改良や技術が発達して、さまざまな野菜を一年中食べられるようになりました。
好きな野菜を好きなときに食べられるのは嬉しいことです。

ところが、栄養の面から見ると疑問が残ります。
見た目は同じ野菜でも、旬の野菜にはより多くの抗酸化作用が含まれているからです。

また、漢方の世界でも、その土地でその時季にとれる食べ物は住んでいる人の体に合っている、という考えがあります。夏には夏野菜を、冬には冬野菜を食べることで、季節にあった体の調節を助けてくれるのです。

旬の野菜は、野菜売り場に行けば多く出回っています。
難しいことはありませんので、ぜひ季節の野菜を食べるようにしましょう。

妊活は時間との競争。食習慣の改善にプラス漢方。

ここまで活性酸素の働きを抑える抗酸化物質を効果的に取る方法をご紹介しました。

さまざまな種類の新鮮な野菜を適切な調理法で食べることで、強力な抗酸化ネットワークが体の中で働きます。

子どものいる生活を望んでいる方は、これを機に野菜の食べ方をこれまでと変えてみてはいかがでしょうか。

とはいえ、妊活を成功させる体づくりというものは、こういった日常生活の注意をきびしく行ったからといって必ずしも結果につながるものではありません。
また、生活習慣の改善だけでは、体質改善までに大切な時間をロスしてしまいます。

そもそものお話として、ここに書いた野菜の摂取方法を毎日ストイックに守ることは、厳しいという方も多いのではないでしょうか……。

食事の面で気をつけていてもなかなか赤ちゃんが授からないという人は、漢方で妊娠しやすい体づくりをしていくという方法もあります。
食生活を整えながら漢方の力を借りて、不妊症を乗り越えた方々もいらっしゃいます。

生活習慣を改めることと漢方で体質改善をめざすこと、この両方で妊娠力アップをめざすことが、時間を無駄にせずに、効率よく、不妊を乗り越え、妊娠・出産に至る最短ルートです。

関連記事

TOP