乳がん手術後のつらい痛みやむくみに漢方薬でアプローチ

乳がんは日本人女性がかかるがんの1位で、女性のうち9人に1人が乳がんにかかるというデータがあります。

乳がんと診断されて手術を受けたけれども、
「手術部位の痛みが続いている」
「リンパ節郭清をして腕のむくみが気になる」
「手術後の体力回復が進まない」
など深刻な悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

今回は乳がん手術後の後遺症について、東洋医学の見解と漢方薬での治し方について解説します。

またがんに対して東洋医学や漢方薬がどのように役立つかもご紹介します。
ぜひ最後までご覧になって、乳がん療養中の参考にしていただければうれしいです。

乳がん手術後の後遺症の種類

乳がん手術後によくみられる後遺症は、上肢リンパ浮腫・手術部位の皮膚炎・乳房切除後疼痛症候群(PMPS)です。それぞれの原因や一般的な治療法について解説します。

  • 上肢リンパ浮腫

上肢リンパ浮腫は、手術の際にがんだけではなく周りのリンパ節も切除したり、放射線治療を行ったりした場合に、リンパ液がたまってしまうことで発症します。
予防策として、手術後に重いものを持つ・腕を強く振るなどの動きは控えます。
また締めつけ感の強い下着や衣服も避けるようにします。
それでも浮腫が改善しない場合は、弾性包帯や弾性スリーブなどによる圧迫療法や専門医療機関でのリンパドレナージを行います。

  • 手術部位の皮膚炎

乳がん手術で近年は、皮膚の真皮部分を自然に溶ける糸で縫合し、表皮部分は皮膚用接着剤を使って傷を整えることが多くなっています。
手術後3日ほどで傷口はふさがってきますが、内側が治るまでに1~3ヶ月ほどかかります。
手術部位の傷あとを目立たなくするために、手術後3ヶ月間ほどは医療用テープで縫合した部分を固定・保護します。
なかには傷あと対策を行っていても、体質が原因で皮膚が盛り上がってかゆみや赤みが生じてしまうことがあります。

  • 乳房切除後疼痛症候群(PMPS)

乳房切除後疼痛症候群(PMPS)は手術した側の胸まわりやわきの下などにピリピリ、チクチクした痛みが続いて、人によっては衣服が触れるだけでも痛みが出てしまうケースがあります。
発症の原因ははっきり解明されていませんが、乳がん手術で神経に傷がついたり、術部の炎症が長期化したりするのが引き金ではないかと考えられています。
一般的な治療としては、麻酔科やペインクリニックでの抗うつ薬や抗けいれん薬の投与が推奨されていますが、薬の効果がなかなか現れないケースも多々みられます。

東洋医学からみた乳がん手術後の後遺症と漢方治療

上記で挙げた乳がん手術後の後遺症について、東洋医学の考え方と漢方薬での治し方をみていきましょう。

  • 上肢リンパ浮腫

浮腫が目に見えて現れている場合は「湿証」で、体を巡る水が滞るため生じると捉えます。
水の巡りに関わる五臓の肺・脾・腎が不調を起こしていることが原因として多くみられます。

漢方薬では水腫を取りのぞくものを使って治療します。
水分代謝を促す、胃腸の働きを高めて余分な水分を流す、体を温めるなど失調している臓に合わせて漢方薬を選びます。

  • 手術部位の皮膚炎

手術部位に赤み・かゆみ・かさつきがあるときは「血虚証」「血熱証」です。
血虚証は血の量が不足し、体に十分な栄養が行き届かない状態をいいます。
血熱証は体のなかに熱がこもることで血も熱を持つようになった状態を指します。
血虚証と血熱証は単独ではなく、同時に現れることもあります。

漢方薬では血を補ったり、こもった熱を冷ましたりするものを体質に合わせて用いていきます。

  • 乳房切除後疼痛症候群(PMPS)

体に痛みやしびれを生じているときは「痺証(ひしょう)」です。気や血が滞って流れが悪くなり、筋肉や関節に痛みが現れる状態をいいます。

漢方薬では、冷えや湿気を取りのぞいて体を温めたり、気や血の巡りを改善したりするものを体のバランスを確かめて選びます。

がんに対する東洋医学の考え方

東洋医学の治療原則に「扶正祛邪」というものがあります。
「扶正」とは人が持っている体力や抵抗力を高めることで、「祛邪」は体に害となるものを取りのぞくことです。

次は、東洋医学からみたがんの「扶正祛邪」についてみていきましょう。

がんの扶正祛邪とは

がん治療でいえば、「祛邪」はがん細胞に直接作用する手段です。
漢方薬にもがん細胞を攻撃するものがありますが、西洋医学の抗がん剤や手術、放射線治療の方が効果は確実でしょう。

漢方薬ががん治療で得意としているのは「扶正」で、がんに抵抗する力を引き上げます。

たとえば漢方薬で患者さんの免疫機能を改善すると、がんの再発や転移の予防が見込めます。
手術や抗がん剤などで体力が低下した患者さんの活力を取り戻すのにも漢方薬が役立ちます。
また漢方薬は抗がん剤や放射線治療による副作用をやわらげる手助けもします。

がんの扶正で漢方薬ができること

それでは、がんに対する扶正で漢方薬はどのようなことができるでしょうか。

  • 免疫機能の改善

がんそのものや治療によって全体的に衰弱しているときは、気・血・水の様子や五臓のバランスをみて、どの要素が不調を起こしているかを見極めて調整していきます。よくみられる証には気血両虚があります。
気と血の両方を補う漢方薬を使って、体力や免疫力のアップを図ります。

  • 血液障害の改善

貧血や白血球数減少など血液障害がみられるときは、造血に関わっている脾と腎のバランスを確かめます。
貧血でみられる証のひとつに腎陰虚があり、気や血の生成に関わる精が減ることで貧血を発症します。
腎陰を補う漢方薬で造血機能を改善していきます。

  • 胃腸障害の改善

食欲低下や吐き気などの胃腸障害が現れているときは、消化吸収にかかわりのある五臓のなかで脾と胃の機能を確認します。
よくみられる証は脾気陰両虚です。
脾のエネルギーが不足し消化吸収力が低下した状態が長引き、口の乾き・腹部膨満感・体重の減少が起こります。
脾気と陰液を補う漢方薬で治していきます。

乳がん手術後の後遺症と回復期は漢方薬が役に立つ!

乳がん手術後は、がん腫瘍の切除のため体に大きく負担がかかり、体力や免疫力も衰えているため、痛みやむくみなどの後遺症が長引きやすくなっています。

漢方薬が乳がんの治療で真価を発揮するのはそのようなときです。
手術をしたあとに、身体の消耗したり不足したりしたものを補い、自然治癒力を高めて、回復の手助けをします。
手術や抗がん剤などによって乱れた体のバランスを整えて、痛みやむくみといった症状をやわらげるのに漢方薬は多く使われています。

乳がん手術後の後遺症や体力回復に漢方薬をと考えている方は、次の2点を重視している医療施設を選ぶと良いでしょう。
ひとつはカウンセリングに時間をかけているところ、もうひとつは煎じの漢方薬を自社製造しているところです。

乳がんの種類や進行のステージは個人によって異なるため、体質を見極めるには丁寧に患者さんの話を聞くことが必要になります。
乳がん療養中は体や心の変化がたびたびみられるため、製品化された漢方薬を漠然と使うより、その都度カウンセリングをして調整できる方が安心です。

また、保険適用外のものも幅広く選択できるため、自分の状態にぴったりと合った漢方薬を処方してもらうことができます。
さらに、煎じの漢方薬は加工された錠剤やエキス剤よりも有効成分をしっかりと取り入れることができるので、より効果を感じることができるでしょう。

お近くにそのような医療施設がないときは、私たち「漢方専門なつめ薬局」にご相談ください。
なつめ薬局では対面のほかに電話やオンラインによるご相談も受け付けております。

どのような相談方法でも親身になってカウンセリングを行いますのでご安心ください。
手間のかかる煎じの作業をこちらで行い、一回分ずつパックしてお渡しするので、本格的な煎じの漢方薬をお手軽に飲むことができます。

乳がんの療養中でお悩みの症状があれば、ぜひ漢方専門なつめ薬局までご連絡ください。
つらい症状をやわらげるお手伝いをいたします。

関連記事

TOP