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からだの外側から訪れる、不調や病気の7つの原因

からだの外側から訪れる、不調や病気の7つの原因

東洋医学では、病気の原因には3つの種類があると考えます。

 

からだの外側から影響を及ぼすものを「外因(がいいん)」。

からだの内側から生じ影響を及ぼすものを「内因(ないいん)」。

外因にも内因にも属さない、社会生活を営む中で生じるものを「不内外因(ふないがいいん)」としています。

 

外因とは、「風・寒・暑・湿・燥・火」の六淫(ろくいん)と呼ばれる自然界の気候の変化が身体に病気を発生させる邪気となったものと、「疫癘(えきれい)」と呼ばれる強い伝染性・流行性をもつ邪気のことです。

 

この六淫が過剰になったり不足したり、あるいは季節に反して出現するなどの異常が起きたり、私たち自身のからだの適応力や抵抗力が衰えたりしていると、これらが発病因子となって不調や病気を招きます。

 

ここ数年、新型コロナウイルスの流行によって私たちの生活もガラッと変わりましたが、こういったはやり病も外因が原因となっているもののひとつです。

 

今回は、この『外因』についてくわしくお伝えしていきます。

 

 

病気の原因となる外邪のそれぞれの特徴

 

1.風

「風」は五行の季節では春に分類されますが、実際には年中、四季のすべてに現れ、外因の中では病気の原因となることがもっとも多いです。

風の邪気=風邪(ふうじゃ)は陽の性質を持つ邪気で、皮膚表面から人体に侵入することが多く、人体を栄養し正常に動かし、防衛する役割をもつ衛気(えき)の働きを阻害します。

五行では「木」、五臓では「肝」と深い関係があり、その症状には以下のような特徴があります。

 

  • 風邪は陽の邪気で上部を犯しやすい

風は上に上りやすい性質があるので、人体の上部に症状が現れやすくなります。たとえば、頭痛、鼻づまり、咽頭痛、顔面のむくみなどの症状です。

 

  • 風邪は衛気を犯す

風邪が人体に侵入すると外邪に対してからだの防衛的な役割を果たす衛気を乱すため、発熱や汗が出るなどの症状が現れます。

 

  • 風邪による病は遊走性があり変化しやすい

風は動きやすく変化しやすいという特徴があるため、風邪による病も症状やその部位が一定せず、動きやすいという特徴があります。また、時間の経過とともに症状が現れたり、隠れて落ち着いたりすることがあります。

 

  • 風邪は百病の長

風邪はもっともよくみられる発病の原因であり、その他の寒・暑・湿・燥・火と一緒に人体に侵入して病を引き起こすことが多くあります。風邪が寒とともにからだに入ると寒だけが侵入した時よりも激しい症状が現れます。風・寒・湿の三邪がともに襲うときは人体の下部から侵入するとことが多く、中医学用語の「痹(ひ)」、いわゆるリウマチを引き起こします。

 

  • 自然界以外の風邪

たとえばクーラーや扇風機、乗り物に乗っているときに受ける窓からの風。漢方や鍼灸などの古くからある古典の医学書が書かれた時代にはなかった人口的な風により、風邪による症状が現れることがあります。

 

 

2.寒

「寒」は冬の主な気であり、五行では「水」、五臓では「腎」との関係が深くあります。

気温が急に下がると寒の邪気が体内に侵入しやすくなります。冬以外でも雨にぬれたり、身体を動かした後にかいた汗が風によって冷やされたりすると、寒邪が入ってくる原因となります。

 

  • 寒邪は陰の邪気で、陽気を損傷しやすい

寒邪は陰の性質をもつので、人体に侵入すると相対的に陽気が衰え、体内の陰陽のバランスが崩れます。

陽気が損なわれると体温が低下したり、からだの防衛機能が損なわれたりするため、寒気や悪寒がします。

 

  • 寒邪は気血を渋滞させ痛みを引き起こす凝滞性をもつ

寒邪がからだに入ると陽気が損なわれるため、身体を温めて気血や津液を滞りなく運行させる働きが十分ではなくなります。そのため気や血が流れる経脈上に痛みが出現することがあります。

 

  • 寒邪は収縮・収斂(しゅうれん)という吸引性の特徴をもつ

寒邪が体内に侵入すると、寒い日に外に出た時に体が縮こまるように、気や血の流れる経脈や筋肉がキュッと引き締まります。また、寒邪が皮膚表面の皮毛にあたると、毛穴は収縮し閉ざされ悪寒、発熱、無汗などの症状が現れます。

 

  • 寒邪は臓腑を直接犯すことがある

たとえば、寒邪が脾胃に直接侵入するとお腹が冷えて痛み、下痢や嘔吐の原因となります。また、寒い時期にお手洗いが近くなることからもわかるように、腎や膀胱に入ると頻尿になります。

 

  • 自然界以外の寒邪

現代の人工的な、病を引き起こす可能性の高い邪気が寒邪です。クーラーの効きすぎによって季節に反して夏にも多くみられるようになり、夏の過ごし方が寒邪に対する養生としてとても重要な位置づけとなっています。

 

 

3.暑(熱)

「暑」は夏の主な気で、五行では「火」、五臓では「心」と深い関係があります。

暑邪は陽の邪気で、もっとも暑い盛夏(せいか)だけにみられ、からだを正しく働かせるエネルギーとなる生気を消耗させます。

 

  • 暑は「火」の邪気

暑邪は盛夏の時期に火熱から生じるので、体内に侵入すると高熱が出たり、顔が赤くなったり、大汗が出て、煩渇(はんかつ)といって強い喉の渇きを覚えたりします。

 

  • 暑邪は陽の性質で、上昇し発散する炎上性と開泄性をもっている

暑邪は陽熱の邪気で、体内に入ると汗が出るための腠理(そうり)が開くので、通常より汗が多くなります。汗が多く出すぎてしまうと身体のエネルギーとなる気と潤す役割をもつ津液を消耗するため、からだが熱くなり、多汗やのどの渇き、脱力感などが現れます。

 

  • 暑邪は湿邪を伴うことが多い

東洋医学が発展する日本を含むアジア圏の夏の気候は暑く、雨が多く湿度が高いという特徴があります。そのため、暑邪と湿邪は同時に身体に影響を及ぼすことが多くなります。暑邪+湿邪により、四肢の倦怠感、胸苦しさ、吐き気、下痢などの症状が現れます。

 

 

4.湿

湿邪は夏の終わりの1か月ほどを指す長夏(ちょうか)の主な気です。しかし、漢方医学はもともと広大な土地のある中国がもとになっているので、四方を海に囲まれた島国である日本の気候とは異なる部分があります。わたしたちが暮らす日本では、梅雨や秋の長雨の時期に湿邪に影響されることが多くあります。

五行では「土」。五臓では「脾」と深い関係があります。

 

  • 湿邪は陰性の邪気で人体の下部を犯しやすい下注性がある

湿邪は水に似た性質があるため、下に流れます。そのため人体の下部に症状が現れ、下肢がひどくむくんだり、女子の場合おりものが増えたり、下したりします。

 

  • 湿邪は重く、停滞する重濁性と粘滞性をもつ

湿邪が身体に入り陽気が損なわれると、身体や頭が重く、四肢がだるいなどの症状が現れます。また湿邪が関節に滞ると関節が痛み腫れ、体重節痛(たいじゅうせつつう)という状態になります。湿邪には動きが遅く停滞する性質があるので、湿邪による病は治りにくく、繰り返し再発することがあります。

 

  • 湿邪は脾胃を犯しやすい

湿邪が脾胃の働きに影響すると、消化吸収の能力を損ない、津液を運ぶ機能が低下し、下痢、尿量減少、腹水、むくみなどの症状が現れます。

蒸し暑い夏の日に食欲がなんとなく湧かないのは、この湿邪が影響しているからにほかなりません。

 

  • 自然界以外の湿邪

汗でぬれた下着や洋服を長く来ていた場合にも湿邪による不調が現れることがあります。とくに、化学繊維で汗を吸いとりにくいインナーやストッキングなどの着用によって、湿邪による病が引き起こされることがあるので注意が必要です。

 

 

5.燥

「燥」は秋の主な気です。五行では「金」、五臓では「肺」と深い関係があります。

燥邪は陽の邪気で、口や鼻から入り肺を犯すことが多くあります。

 

  • 燥邪は乾燥させる働きがあり津液を損傷しやすい乾燥性の性質がある

燥邪がからだに入ると津液を消耗させ、津液の不足から“乾く”症状が現れます。口や鼻が乾いたり、喉が渇いて水分をいつもより多く欲しがったり、皮膚が乾燥してカサカサしたりひび割れたり、髪に潤いがなくなったりします。

 

  • 燥邪は肺を傷つけやすい

肺は湿を好み、燥を嫌う性質があります。燥邪が鼻や口から入ると肺の呼吸をつかさどる働きが低下し、痰が出ないか、粘り気のある少量の痰を伴う咳が起こります。また、喘息、胸の痛みを引き起こすこともあります。

 

 

6.火

火邪は外因性のものと内因性のものがあります。外因性の火邪は「暑」以外の外熱をいい、内因性の火邪は体内の熱が盛んになりすぎたものをいいます。

五行では「火」、五臓では「心」と深い関係があります。

 

  • 火邪は陽性の邪気で上昇しやすい炎上性がある

炎がめらめらと上にむかって立ち昇るように、火には上に向かう性質があるので、高熱や強い喉の渇き、顔がほてる、目の充血などの症状があらわれます。

心に影響すると胸苦しさや不眠、パニック、意識障害、うわごとを言うなどの症状が現れます。また、火邪が気血の通る経脈を損傷すると、吐血や鼻血、血尿、血便などの異常出血が起こります。

 

  • 気や津液を損傷しやすい

火邪は人体の津液を消耗しやすいため、喉の渇き、唇の乾燥、口の渇き、尿の量が少なく色が濃い、便秘などの症状が現れやすくなります。また、気を消耗すると倦怠感や脱力感などが現れます。

 

  • 腫瘍を形成しやすい

火邪が深く人体に入り込み、ある一定箇所に集まり滞った結果、腫瘍が起こります。

 

 

7.六淫以外の外邪=疫癘(えきれい)

疫癘は強い伝染性、流行性をもつ外邪で、疫気、癘気、疫毒、疫邪、毒気などとも呼ばれます。現代の代表的な疫癘には、ジフテリアや耳下腺炎、コレラ、ペストなどがあげられます。

疫癘は空気、水、食物を通じて口や鼻から体内に入り病を引き起こします。

 

 

漢方の礎となった古代中国の医学が体系化された時代と比べて、今の私たちの暮らしは便利になった分、単に季節の影響だけではなく冷房や洋服などの生活環境も外因となる時代になりました。

昔の知識を生かしながら、今の時代に合った養生をすることが現代の私たちに課された課題ではないでしょうか。

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