妊活中に「妊娠するためにはコレがいい!」と言われるものがたくさんあり、さまざまな食品やサプリをとっている方がいるかもしれません。
しかし、実は摂らない方が妊娠に近づくものがあります。
甘いものがその一つです。「甘いもの」と言っても砂糖やはちみつ、人工甘味料などたくさんの種類があります。
その中でも精製糖(砂糖など)や人工甘味料など精製されたものを頻繁に食べている場合は、不妊の原因になっているかもしれません。
今回は「精製糖(砂糖など)」と「人工甘味料」が不妊の原因になるのか?についてお伝えしていきます。
甘いもの(精製糖・人工甘味料)の摂取が妊娠・出産率を下げる
甘いものは、「からだによくない」となんとなく聞いたことはあるかもしれません。
ですが、具体的になぜよくないのでしょうか。
そして、甘いものがなぜ不妊の原因になっているのでしょうか。
ブラジルの不妊専門施設で顕微授精を行った女性患者(752名)を対象とした実験結果があります。
この実験では、治療開始から過去半年間に「精製糖」「人工甘味料」を1週間あたりどれくらいの頻度で摂っていたかを調査し、妊娠率・出産率・流産率にどのように影響するかを分析しました。結果は下記の通りです。
精製糖を摂取 | 人工甘味料の摂取 | |||||
1週間あたりの摂取回数 | 妊娠率 | 出産率 | 流産率 | 妊娠率 | 出産率 | 流産率 |
なし | 45.2% | 39.3% | 10.5% | 37.2% | 34.0% | 8.4% |
2回まで | 35.0% | 30.9% | 11.9% | 26.3% | 21.1% | 20.0% |
3回から6回まで | 27.3% | 22.2% | 18.5% | 24.2% | 18.9% | 21.7% |
7回以上 | 18.7% | 13.6% | 18.9% | 26.2% | 19.8% | 18.2% |
<この調査からわかること>
・精製糖、人工甘味料を摂取していない人の妊娠率・出産率は摂取している人よりも高い
・精製糖、人工甘味料を摂取していない人の流産率は摂取している人よりも低い
この結果から、甘いものを摂取する習慣は妊活に影響があるということがわかります。
一部例外をのぞき、ほとんどの場合、精製糖や人工甘味料を摂取しない人や摂取回数がより少ない人の妊娠率や出産率が高くなっています。
では、甘いものを摂取することが具体的になぜ妊活に関係するのでしょうか。
精製糖を過剰摂取するとホルモンバランスが乱れる
精製糖をとりすぎるとホルモンバランスが乱れることがあります。そのキーワードは血糖値です。
血糖値とは血液に含まれるブドウ糖(グルコース)の量のことです。
精製糖(砂糖)の主成分である「ショ糖」は、「ブドウ糖+果糖」が結合してできています。
精製度が高い糖(炭水化物)は消化吸収されやすくなり、血糖値を急激に上げる働きがあります。
<血糖値があがった時に体内で起こっていること>
空腹時に精製された食べ物を食べる→血糖値が急に上昇する→血糖値下げるためにインスリンというホルモンが大量に放出される→血糖値が下がり安定する。
この血糖の調整機能が正常に働いている場合は問題がありません。
しかし、血糖値の急激な上昇と下降を繰り返すとインスリンが大量に必要となり、結果としてホルモンのバランスがくずれ、男女ともに生殖器に影響があります。
血糖値を上げるホルモンはいくつかありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンだけです。
女性は排卵障害や卵子の質にも影響があるといわれており、男性は精子の質の低下やED(勃起障害)の原因になるとも言われています。
妊活中の場合は男女ともに血糖値が大きく乱れる食生活は控えた方がよいでしょう。
インスリンは糖尿病にも関係するホルモンです。
糖尿病とは、「インスリンの量が十分ない」もしくは、「正常に働かない何らかの原因」があり、血糖値が高いまま下がらなくなる病気です。
精製糖などの過剰摂取を続け、血糖値の急上昇を続けていると血糖値をさげるのに必要なインスリンの量が増えつづけ、そのままにしておくとやがてインスリンを分泌することができなくなります。
血糖値が高い期間が長く続くと、血管にダメージがあり、さまざまな合併症を発症します。
妊娠中には胎盤から出るホルモンの影響からインスリンが効きづらくなり、一時的に「妊娠糖尿病」になることがあります。妊娠中に高血糖の状態が続いた場合、母体にも赤ちゃんにも影響があるのです。
妊活中から食生活を整え、血糖値の急上昇、急降下が起こらないような食事をこころがけましょう。
インスリンの分泌が多いと体脂肪も増える
インスリンには2つの働きがあります。
- 細胞に糖を貯蔵しておく働き
- 脂肪の分解を抑制する働き
たくさんの糖や炭水化物を摂取しつづけると、インスリンが分泌しつづけることになります。
空腹時間がない、つまり溜まった糖や体脂肪を使う時間がない場合、インスリンの2つの働きから、脂肪をたくさん蓄えることになり、太ってしまうこともあります。
BMI25以上の肥満体質にあるとき、「女性は代謝異常や脂質代謝異常から排卵がなくなってしまう」「男性は血流障害が原因で勃起不全(ED)や精子をつくるホルモンバランスの乱れが起こる」など、男女ともに不妊の原因になることもあります。
体脂肪が溜まらないようにするためにも
- 血糖値を下げるためにインスリンを大量に必要とする食事や甘いものは控える
- 寝る前に食事をしないなど、空腹時間を(特に夜に)作り、脂肪が溜まらないようにする
など、食生活を整えることが大切です。
人工甘味料は血糖値が上がらないから精製糖よりも体にいいって本当?
人工甘味料とは砂糖の代わりに人工的に作られた糖のことです。
血糖値をあげないと言われており、糖質オフとしてお菓子や清涼飲料水、ビールなどさまざまな商品に使用されています。
人工甘味料といっても「アスパルテーム」「スクラロース」「アセスルファムK」「サッカリン」などいくつか種類があります。
白砂糖と比較して数百倍〜数千倍の甘さがあることから、使用量を少なくしても甘さを確保できるので、摂取する糖質を抑えられると言われています。
一見、人工甘味料はいいことずくめに見えます。
しかし、人工甘味料について「脳はカロリーがない人工甘味料では満足できず、さらに食欲を増進させる」「腸内細菌に悪影響を与え、最終的には肥満や血糖値が上昇する」「肝臓や腎臓に悪い影響がある」などの研究結果もあるため、注意が必要です。
人工甘味料ではないけれど注意が必要なもの
人工甘味料ではないですが、「異性化糖」というブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)を主成分とした甘味料があります。
「果糖ブドウ糖液糖」や「ブドウ糖果糖液糖」という名前でよく目にするかもしれません。
これは、とうもろこしやさつまいものデンプンを原料として3種類の酵素により、精製した甘味料です。
お菓子だけでなく、清涼飲料水やたくさんの食品に使われています。
しかし、主成分の果糖は体内でタンパク質と結びつくことで、老化を促す物質(AGEs)が作られやすくなり、血管が老化して硬くなることでさまざまな病気を引き起こすことがわかってきています。
妊活中は子宮や卵子や精子の老化を早める原因となりうる「異性化糖」は避けることをおすすめします。
中医学から考える甘いものと妊娠率低下の原因
砂糖には、渇きを止めて潤す「潤燥作用」があります。
砂糖を少しだけ摂取するのは良いのですが、過剰摂取になると体の中の水分を集めて溜める作用が強く働き「水毒」となります。
水毒とは、体の中の「水(血液以外で体の中を流れる汗やリンパ液などの無色透明の体液のこと)」が過剰にあるか、不足して体内の「水」のバランスが崩れている状態のことです。
中医学では、人間の生命活動のもとである「気・血・水」のバランスを大切にします。
この「気・血・水」は互いにバランスを保っており、この均衡が乱れると、病気になると考えられているのです。
砂糖を過剰に摂取することで、下記サイクルに陥り、「血・水」のバランスが乱れ、不妊の原因となることがあります。
<砂糖過剰摂取によって不妊につながるサイクル>
砂糖をとりすぎる→体が水毒(今回は水が過剰にある状態)となる→運動で汗をたくさんかくことが少ない→女性は男性より筋肉量が少ないため、体内にたまる水を筋肉のポンプ作用で流しづらい→「水」の流れが悪くなる→老廃物が流れず、「血」の流れが悪化する→血が停滞し澱む「瘀血」の状態になる→冷えにつながる→悪化すると不妊の原因につながる
不妊の原因は、血の巡りが滞る「瘀血」や冷えの影響が大きいと言われています。
砂糖自体で不妊になるわけではありませんが、過剰摂取となり運動不足が重なると不妊の原因にもなりうるのです。
なぜ甘いものを欲するのか?その対策は?
わかっていても、ついつい甘いものを食べすぎるのには理由があります。
それは「幸福感」と「中毒性」です。
甘いものを食べると「幸せ」「おいしい」と感じ、脳が簡単に幸福感を味わえるからです。
日常生活でストレスが多く、その発散方法が「日常的に甘いものを食べる」となっている場合は、体への負担が大きくなります。
精製糖や人工甘味料には中毒性があるので、常食が習慣化している人は、やめたいと思っていてもなかなか難しい場合もあります。
甘いものを減らすことは大切ですが、食べたい気持ちを無理に我慢しすぎると逆にストレスとなり、体にとってよくありません。
まずは、段階的に甘いものを減らすようにしていきましょう。
甘いものを食べるときは、精製された人工甘味料や異性化糖などは避け、自然由来のミネラルが含まれているもの(きび糖、てんさい糖、黒糖など)を使ったものを選ぶことをおすすめします。
その他、甘酒で代用するなど砂糖を避けた料理にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
また、甘いものを習慣的に食べる原因が、ストレスを解消するために食べている場合は、食べる以外のストレス解消方法を探してみたり、ストレスの原因を根本的に解決したりすることで、甘いものを食べる頻度を減らせることもあるのです。
すでに、甘いものの食べ過ぎで体や臓器が弱っているときは、漢方で弱っている臓器の回復や自己治癒力の底上げをすることができます。
そして、水毒の状態にある場合でも、その方の症状にあわせて体のバランスを整えられるのが漢方の力なのです。
漢方をとるだけでなく、生活習慣の改善とセットで行えば、より早いスピードで体を整えることができます。
一人で現在の体の状態を見極め、生活習慣の改善まで行うのは難しいことが多いです。
そこで、丁寧にカウンセリングを行い、妊娠に向けて食生活や生活習慣の改善を含めたアドバイスをしてくれるお近くの漢方薬局への相談をおすすめします。
漢方薬局を選ぶポイントは
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