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【不妊と漢方/札幌】子宮の中に細菌が!?妊娠・出産との関連とは!?

【不妊と漢方/札幌】子宮の中に細菌が!?妊娠・出産との関連とは!?

漢方薬・生薬認定薬剤師の阿部祐哉/札幌です。

「細菌が妊娠に影響をあたえているかもしれない・・・」
と聞くとどのような印象を受けるでしょうか?良い印象を受ける方は少ないかもしれませんね。

ところが、近年では膣や子宮に住んでいる細菌の種類が、妊娠・出産に影響をあたえているという事がわかってきました。

妊活の一環として、日ごろから掃除や除菌に手をかけている人には、驚きの記事になるかもしれません。

では、いったい、どういうことなのでしょう?

わたしたちのカラダの中で細菌たちは生きている

わたしたちの人間のカラダには、つねに多くの細菌が住みついており、健康にかかわっています。一説によると、人間ひとりの常在菌は約1,000兆個、種類も約1,000にのぼるそうです。

近年、ホットな話題となった腸内細菌については、耳にしたことがある方も多いかもしれません。

腸内を顕微鏡で拡大して見てみると、細菌は種類ごとに固まってびっしりと生息しています。まるで、さまざまな植物が群れをなして生えているように見えることから、腸内フローラ(お花畑)とよばれています。

これらの細菌は、自分たちの種類を優勢にしようと、日夜しれつな勢力争いをしているのです。

口や耳の中、皮膚や腸内など、カラダのあらゆるところにいる細菌は、膣や子宮の中にも存在します。

実は、長い間、子宮の中に細菌はいないと考えられていました。ところが、最近の進んだ技術により子宮内にも細菌がいることがわかってきたのです。

そのため、「膣や生殖菅、子宮など生殖器に存在する細菌」と、妊娠や流産、早産などの関係を調べた報告が増えています。

ここからは、具体的にどういう関係があるのかを見ていきましょう。

膣内フローラは外からの雑菌を防いでいる

外界から近い膣には多くの微生物が住みついていることが以前から知られていました。

膣や子宮のフローラは、多種類の微生物が入り乱れている腸内フローラとちがい、多くがラクトバチルス属という乳酸菌の一種です。ヨーグルトをつくる菌でもあるので、聞いたことのある方もいるかもしれませんね。

ヨーグルトがすっぱいのは乳酸菌のはたらきです。これと同じように、ラクトバチルスのおかげで膣内は酸性に保たれています。

感染症を引き起こす悪玉菌の多くは酸性状態が苦手なので、ラクトバチルスが多いと雑菌は増えられません。

ところが、なんらかの原因で膣内フローラのバランスが崩れ、ラクトバチルスが減ってしまうと、悪玉菌が増えてきて細菌性窒症にかかりやすくなってしまうのです。

そして、細菌性膣症になってしまうと、不妊症や流産、早産になる可能性が高くなることがわかっています。

また、2017年に中国で行われた研究では、膣内フローラの状態が、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜症を原因とする不妊症に関係していることが報告されました。

子宮内フローラの9割以上がラクトバチルスだと不妊治療成績がアップ!

子宮内フローラは、ほとんどがラクトバチルスであると考えられています。

不妊治療中の人を対象に、子宮内フローラと妊娠・出産についての関係を調べた2016年のスペインの報告があります。

その結果、子宮内フローラのうち9割以上がラクトバチルスである人は、9割未満の人と比べて体外受精による妊娠・出産に成功した人が多いことがわかりました。

ラクトバチルス9割以上のグループの治療成功率は、着床率で約3倍、妊娠率で約2倍、妊娠継続率で4倍です。

出産まで至り子どもを授かることのできた人の割合は、ラクトバチルス9割未満の人のなんと8倍にまでなったのです!

子宮内フローラと妊娠・出産の研究ははじまったばかりではありますが、現時点で、これほどの違いがあるのであれば、子どもがほしいと願っているご夫婦にとっては、不妊の改善のためにも、子宮内のラクトバチルスを増やすことを意識してもよいと考えます。

子宮内フローラのラクトバチルスを増やしたい!

膣内や子宮内フローラのバランスと妊娠・出産は関係していることがわかりました。それでは、子宮内フローラをラクトバチルス優勢にするにはどうしたらいいのでしょうか?

治療により増やす

最近では、子宮内フローラを調べることのできるクリニックが増えています。調べた結果ラクトバチルスの割合が少なければ、増やす治療を行うそうです。

治療には、いくつかの方法があります。

ひとつめは、抗生剤を服用して増えている悪玉菌を退治する方法です。この方法は、増えて欲しくない種類の微生物を減らすことができますが、同時に残ってほしい菌もやっつけてしまうのが悩ましいところです。

もうひとつの方法は、善玉菌を増やすことを目的とします。乳酸菌やビフィズス菌など増えて欲しい微生物そのものを、サプリメントや薬剤として口から摂取したり膣に投与したりします。増やしたい微生物を直接カラダの中に取り込むこの方法を、プロバイオティクスといいます。

また、善玉菌が増えやすい環境を整える食品などを摂取することを、プレバイオティクスといいます。増えて欲しい微生物の好物をあたえて、元気になってもらうという考え方です。

たとえば、ラクトフェリンという糖タンパク質は、膣内のラクトバチルスを増やすに効果があると知られています。また、オリゴ糖や食物繊維も善玉菌を増やすのに役立ちます。

生活習慣を見直す

そもそも本来はラクトバチルスが大部分を占めているはずの膣内・子宮内フローラで、その数が減っているにはなんらかの理由があるはずです。

加齢、月経、喫煙、性行為、衛生環境、ストレス、血中エストロゲン値など……。

自分ではどうすることもできない原因もありますが、生活習慣を改めることで改善できることもあるでしょう。

逆にいうと、もしそれらの生活習慣が原因であるのなら、習慣を変えなければせっかく治療をしたとしても効果の足をひっぱってしまうかもしれません。

カラダ全体の細菌も妊娠率に関係している

ここまで、膣や子宮など生殖器の常在細菌と妊娠・出産のしやすさについて、お話してきました。

けれども実は、生殖器以外に住んでいる常在菌が、妊娠・出産に関係していることはすでにわかっていました。例えば、腸内細菌は早産と、歯周病菌は流産・早産に関連しています。

生殖器の細菌だけでなく、カラダ全体の常在細菌のバランスが大切なのですね。

常在細菌とわたしたちはお互いに利益をあたえあっている共生関係です。カラダにとってよいことをしてくれる善玉細菌にたくさん住んでほしいなら、「善玉細菌に選ばれるカラダ」でなければなりません。

それは、前述したように、食生活や睡眠、運動、ストレスを避けるなど、基本的な生活環境につながります。

プロバイオティクスやプレバイオティクスには、薬やサプリメントだけでなく、発酵食品や食物繊維たっぷりの野菜、オリゴ糖を食べるなど、日常的に自分でもできることがあるでしょう。

抗生物質は善玉菌まで殺してしまいますし、使いすぎることで抗生物質が効かない薬剤耐性菌を生み出す原因にもなってしまいます。

漢方はカラダ全体のバランスを整え、妊娠しやすい体質へと導きます。さらに、漢方薬にはラクトバチルスなど乳酸菌が大好きなオリゴ糖を含みます。漢方薬は、プレバイオティクスとして膣・子宮内フローラを整えるとも考えられるのです。ひとつ注意をするならば、漢方薬を選ぶ際には、煎じタイプでなければいけないという事。詳しくは、こちらの記事が参考になりますので、興味のある方はご覧ください。

関連記事:【漢方】どこで漢方治療を始めるか?病院・クリニック・薬局を選ぶときに気を付けるポイントとは?

元気な赤ちゃんを迎えられることをめざして、ラクトバチルスに好かれるカラダづくりをしていきましょう。

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