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【子宮内膜症と漢方/札幌】子宮内膜症による不妊と漢方

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漢方薬・生薬・認定薬剤師の阿部祐哉です。

妊娠を望んでいる方の中には、子宮内膜症を患っている方も少なくないでしょう。また、診断されていなくても、子宮内膜症を疑っている不妊の方もいるのではないでしょうか。

子宮内膜症と不妊は大きく関係しています。子宮内膜症とはどのような病気なのかを理解して、妊娠に向けてできることを確認していきましょう。

【子宮内膜症と不妊の関係】

本来は子宮の内側を覆っている子宮内膜組織や子宮内膜に似た組織が、子宮の外にできてしまう病気が子宮内膜症です。現在では、月経のある女性の約10%が子宮内膜症であるともいわれています。

生物のからだは、同じ種類の細胞が決まった場所に集まり、特定の働きをしています。この仲間同士集まった細胞の集団が組織です。ところが子宮内膜症では、正しくない場所に子宮内膜組織ができてしまうのです。

子宮内膜が月に1回はがれ落ちることで、月経は起こります。子宮の外にできても子宮内膜組織は月1回はがれ落ちますが、その部分は子宮の内側のようにはがれ落ちることに適応していません。そのため出血・炎症・癒着をくり返し、子宮内膜症の症状は進行します。

子宮内膜症の主な症状は、「痛み」と「不妊」の2つです。痛みは、生理痛(月経困難症)だけではありません。腰痛や下腹部痛、性交痛、排便痛などさまざまです。また、月経困難症とは、痛みだけでなく生理中の吐き気や頭痛、イライラ、下痢なども含みます。

子宮内膜症は、不妊の大きな原因のひとつです。なぜ不妊になるのかのメカニズムはまだ分かっていませんが、子宮内膜症の患者さんの30~50%が不妊に悩んでおり、不妊の方の25~50%が子宮内膜症を患っているといわれています。

子宮内膜症が起こる原因も、はっきりとは分かっていません。西洋医学的には、生理の際の経血に含まれている子宮内膜細胞が、うまく体外に排出されず子宮の外側に残ってしまうことが原因という説が有力です。

漢方でも、血の病気と考えています。血の流れが悪いため子宮内膜症になるというとらえ方です。

【西洋医学における子宮内膜症の治療】

子宮内膜症は、命にかかわらない良性の病気です。そのため、痛みや不妊に対する治療が基本になっています。治療法は大きく分けて、手術と薬の2種類です。症状や年齢に応じて、治療法が決まります。

生理痛など月経困難症に対する治療の場合は、鎮痛剤の服用や低用量ピルなどのホルモン療法が一般的です。重症の場合は、子宮の一部や全てを切除する手術療法もあります。

妊娠を希望している方の場合は、不妊治療がメインです。子宮内膜症の症状の進み具合や年齢によっても違いますが、タイミング法から始まり排卵誘発、人工授精、体外受精などのART(生殖補助医療技術)治療に進んでいくことになります。

手術によって妊娠の可能性が高まることが考えられるケースもありますが、多くの場合は不妊治療が優先されています。

このように子宮内膜症だからといって、妊娠を望んでいる場合は、特別な治療をするわけではありません。しかし、実際は長年不妊治療を続けていても、妊娠にいたらない方も少なくないでしょう。

妊娠しやすいからだへと、体質改善していくことが大切です。

 

【漢方と子宮内膜症】

漢方では、子宮内膜症の症状は、「気・血・水」のうち、血(けつ)の循環異常で起こると考えます。

血の流れがスムーズではなく滞った状態のことを、「瘀血(おけつ)」といいます。瘀血になる原因は人それぞれです。

たとえば、ストレスなどの精神的負担が大きいと、「肝鬱気滞(かんうつきたい)」とよばれる気血のめぐりが悪い状態になり、瘀血を引き起こします。

また、血が不足している「血虚」も、瘀血の原因です。ちなみに、漢方でいう「血が足りない」は、西洋医学の貧血の考えとは違います。貧血検査で問題がなくても、血虚の状態になっている方は少なくありません。

さらに、外部環境にからだが適応できずに、瘀血になることもあります。寒さで血流が悪くなっている「寒凝(かんぎょう)」とういう状態も、瘀血を生じます。

このように、瘀血になる原因は複数ありますし、肝鬱気滞、血虚、寒凝の状態になっている理由も人によって違います。

共通しているのは、「症状に出てしまうほど、からだの中でどこかのバランスが崩れている」ということです。

どこのバランスが崩れているかは、人によって違います。そこを見極めて、適切な漢方薬を服用したり、生活習慣を改善したりすることが、妊娠にいたるためにはとても大切です。漢方治療をする際は、病名や症状だけでなく体質もしっかり診てくれているかを確認しましょう

鎮痛剤や一般的な不妊治療では、子宮内膜症の進行を抑えることはできません。症状が出てしまう元から立て直すことが、健康なからだへの第一歩です。

妊娠できるかだけでなく、お腹の中で赤ちゃんを育て、出産・育児をしていくうえでも、からだのバランスを整えておくことは大切です。

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