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つらい気分の落ち込みを漢方で改善!漢方的解釈と治し方をご紹介

つらい気分の落ち込みを漢方で改善!漢方的解釈と治し方をご紹介

気分が落ち込んで抜け出せなかったり、やる気が起きず何も手につかなかったりしてつらい思いをしていませんか?

気分の落ち込みや意欲がわかない原因はいろいろあるため特定が難しいです。また医療機関を受診するのに抵抗がある方もいらっしゃると思います。

漢方治療では心身のバランスを整えて不調を改善するので、原因が特定できない気分の落ち込みでも改善が期待できます。

今回は、気分の落ち込みに対する漢方的解釈と治し方をご紹介いたしますので、お悩みの解決に役立てていただければうれしいです。

 

気分の落ち込みを引き起こす原因

気分の落ち込みを引き起こす原因で、よくみられるものを解説していきます。

 

  • ストレス

ヒトの体には全身の機能を調節する自律神経があり、交感神経と副交感神経に分けられます。交感神経は活動的な時間に優位に働き、副交感神経はリラックスしている時間に優位になります。

普段は交感神経と副交感神経がうまくバランスをとって正常を保つようにしていますが、強いストレスがかかると緊張感が高まりバランスが崩れ、交感神経の働きが増大してしまいます。ストレスには悩みや不安など精神的なストレス、温度や光・音など物理的なストレスなどが挙げられます。

 

  • うつ病

うつ病を発症した人にみられやすい症状が気分の落ち込みです。要因には性格の傾向やストレスが挙げられますが、ほかには脳内の神経伝達に異常が起きていると考えられています。神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンは意欲や活動力に関する情報を伝える働きがあるため、神経の伝達経路にトラブルがあると気分の落ち込みにつながるとされています。

 

  • 月経前不快気分障害(PMDD)や更年期障害など女性ホルモンのバランス

女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があります。エストロゲンは精神を安定させる神経伝達物質のセロトニンの働きを補う役割がありますが、月経周期や更年期障害によるエストロゲンの分泌量が変化することで、セロトニンの働きが低下し気分が落ち込みやすくなるとされています。

 

  • 日照時間の減少

脳内の神経伝達物質セロトニンは、目の網膜が光で刺激されて分泌されやすくなります。セロトニンにはストレスを軽減させ、精神を安定させる働きがありますが、日照時間が少なくなることでセロトニンの分泌量が減り、気分が落ち込むと言われています。

 

  • 体の病気や治療薬

気分の落ち込みには、脳の病気や甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症などの疾患が関係していることがあります。また「薬剤惹起性うつ病」という、疾患治療薬の副作用で気分の落ち込みが生じることがあります。よく知られた薬剤ではインターフェロン製剤や副腎皮質ステロイド剤があります。

 

漢方的解釈と西洋医学の治療方針の違い

漢方的解釈と西洋医学では気分の落ち込みに対する治療方針に違いがあるので、それぞれ詳しく説明いたします。

 

西洋医学の治療方針

西洋医学では症状を科学的・論理的に分析して、気分の落ち込みを引き起こしている原因に直接アプローチしていきます。気分の落ち込む原因は上記のとおり複数ありますが、具体的に次のような治療薬が用いられます。

 

 

  • ストレス

神経の過度の緊張を鎮めるため、自律神経調整薬や抗不安薬が使用されることが多いです。効果の発現が早いのは長所ですが、眠気や依存性の副作用が生じやすく、日常生活に支障をきたすことがあります。

 

  • うつ病

うつ病では、脳内の神経伝達物質のバランス異常が関連していると分かってきたため、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が主に治療薬で使われます。安全性は比較的高いお薬ですが、服用開始時に吐き気や食欲不振の副作用があります。また効果が出るまでに時間がかかり、急に中断すると離脱症状が出やすい点に注意が必要です。

 

  • 月経前不快気分障害(PMDD)や更年期障害など婦人科系疾患

エストロゲンの量を調整するため、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)やホルモン補充療法(HRT)が使用されています。PMDDの場合はホルモン剤のみでは改善しにくく、抗うつ薬も併用することが多いです。体質や病歴によって、ホルモン剤の重大な副作用である血栓症や乳がん・子宮体がんのリスク上昇が生じやすくなります。

 

  • 日照時間の減少

人工的に光を当てる高照度光療法が行われますが、専用の機器がある施設でしかできません。

 

  • 体の病気や治療薬

疾病による気分の落ち込みでは原因となる疾病の治療が優先的に行われ、治療薬の副作用による気分の落ち込みでは原因となる薬剤の中止または減量が行われます。どちらの場合も、気分の落ち込み自体は手探りの治療が続くため、改善が見られるまで時間がかかることがあります。

 

 

漢方の治療方針

漢方的解釈では、体を構成する五臓と気・血・水のバランスを確かめて、気分の落ち込みを起こす体質がどこから来ているのかを見極めます。

 

漢方でいう「五臓」とは、西洋医学の内臓とは意味が異なり、器官の機能と精神状態も含めた概念を指しています。また「気」は心身を動かす基本のエネルギー、「血」は赤い液体で体に酸素や栄養を運ぶもの、「水」は透明の液体で血以外の体を巡る水分で、体内の水分調整や免疫に関わっています。

 

気分の落ち込みでは、五臓のうち主に「肝」「脾」「心」が深く関わり、それが「気」の流れや「血」の生成に影響を及ぼすため、どの臓が失調を来しているかを見極めます。

 

漢方における気分の落ち込みの治し方

漢方薬が気分の落ち込みに対して、どのように治す手助けをするのか、よくみられる証とともに見ていきましょう。

 

気分の落ち込みでよく見られる証と漢方の使い方

 

  • 肝気鬱結

「肝」は精神や器官の機能をスムーズにする働きがあります。精神的なストレスの影響を受けると、肝の「気」や「血」の流れが悪くなります。失調した肝を回復させる漢方薬には気の巡りを改善したり、不足した血を補ったりするものがあります。

 

  • 気鬱化火

肝気鬱結が長引くと、気の流れが滞ることで身体に熱が生じてしまいます。漢方薬で気の巡りを整えて、過度な熱を取り除きます。

 

  • 心脾両虚

「心」は血を全身に巡らせ精神や意識をコントロールし、「脾」は消化吸収と気血の生成を担っています。悩みやストレスで過度な負担がかかると、「心」と「脾」の両方の機能が落ち「心血虚」と「脾気虚」が同時に生じて、脾が十分な血を作れず、心血が不足してしまいます。心・脾を整えて、気血を補う漢方薬が使われます。

 

  • 陰虚火旺

気血水のうち「水」が不足していて熱を冷ますことができず、熱感が明らかな状態です。漢方薬で陰(水)を補って熱を取り、心神を安定させていきます。

 

気分の落ち込みは他にも証があり、ひとつの証だけではなく、いくつかの証がからんでいるケースもあります。

 

漢方治療のメリット

気分の落ち込みに対して、漢方薬を使うメリットについて解説いたします。

  • 漢方では患者さん全体を観察して、心身のバランスをとる治療を行っていくため、検査しても原因の分からない体調不良の改善が期待できます。
  • 気分の落ち込みには原因がいくつかあるため、場合によっては複数の診療科を受診し、それぞれで薬が処方されますが、漢方薬では患者さんの体質を総合的に分析した上で処方を決めるので、薬の種類がやみくもに増えるのを避けることができます。
  • 漢方薬はたいていの西洋薬と併用することができるため、西洋薬の効果をおぎなったり副作用を軽減したりできます。

 

気分の落ち込みで漢方治療を取り入れたいと考えている方は、メリットを最大限に生かすため、以下の2点に着目すると良いでしょう。

 

ひとつは、カウンセリングに力を入れている施設を選ぶことです。

一般的な病院やクリニックでは、病名から漢方薬を選び、患者さんの体質が考慮されていないことがほとんどなので、効果が得られないことがよくあります。

気分の落ち込みは特定の原因だけではなく、いくつかの要素が重なって生じるケースが多いです。そのため患者さんからの話をよく聞き、症状や体質を見極めて分析した上で、個人にあった漢方薬を用意できる施設をおすすめします。

 

もうひとつは、漢方薬にはエキス剤と煎じ薬の剤形がありますが、効果を期待するなら煎じ薬を選ぶことです。

エキス剤は手軽に服用できますが、製品加工するときに揮発性の有効成分が減ってしまうのと、一人ひとりに合わせた生薬の加減がしにくく、効果が薄れる恐れがあります。

煎じ薬は煎じるのに手間はかかりますが、品質にこだわり厳選した生薬を使って、患者さんにとって必要な生薬を必要な分だけ調合することができるため、効き目を実感しやすいです。

 

さまざまな原因がある気分の落ち込みには漢方薬治療がおすすめ

気分が落ち込む原因は、精神的なストレスからホルモンバランスの異常、疾病によるものまでいくつかあり、複数の原因が絡み合っているケースも見られます。

 

漢方薬の治療では、患者さん一人ひとりの体質を総合的に見極め、心身のバランスを整えていくため、どんなケースの気分の落ち込みでも改善が期待できます。伝統的な煎じタイプの漢方薬であれば、その人の症状に合わせて生薬の量を加減しながら調合できるので、より効果が得られやすいです

 

まずはご近所でしっかり話を聞いてくれて、煎じの漢方薬を自社製造で提供してくれるクリニック・薬局でご相談することをおすすめします。

ご近所にそのようなところが無い場合には、私たち「漢方専門なつめ薬局」にご相談ください。当薬局では対面だけなく電話やオンラインによる相談も受け付けており、どのご相談方法でも丁寧なカウンセリングを行います。また一回分ずつをパックしてお渡しするので、本格的な煎じの漢方薬を手軽に飲むことができます。

気分が落ち込んで辛いとお悩みの方はどうぞお気軽にご連絡ください。

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