胃がん手術後の不調には漢方薬を活用!生活の質を高めて体力を回復しよう

二人に一人が生涯のうちにがんにかかるといわれており、その中でも胃がんはトップ3に入ります。
胃がんで胃を切除された方は意外と身近にいるのではないでしょうか。

胃切除術を受けて術後の経過は順調だと言われているけれど、なんとなく不調が続き、食欲がなく体重も戻らない、貧血で疲れやすい、下痢が続くなどのお悩みはありませんか。

これらは胃を切除したことでからだの機能が低下している状態です。

胃の切除で失われた機能を補い、体力を回復させて、手術の後にも続く治療を乗り越えるのに、漢方薬が役に立ちます。

この記事では、胃がんの手術後の不調を改善するために有効な漢方薬という選択肢があることを知ってもらうために、以下の内容を紹介します。

  • 胃切除後の後遺症や不調とは
  • 胃のはたらきは健康な体の土台
  • 不調を改善するのに漢方薬が有効な理由
  • 免疫力を高めて再発しない体づくり

胃切除後の後遺症や不調とは

胃のはたらきは主に、胃液や消化酵素を出すこと、食べ物を貯め消化し、消化した食べ物を腸に送り出すことです。

胃切除後はこれらの機能が低下するので、さまざまな後遺症や不調が起こります。

  • 消化、吸収不良
    胃酸や消化酵素の分泌が減るため、消化が不十分のまま腸に流れ込み下痢になります。
    また胃酸分泌が減ると、鉄分が吸収されにくくなり鉄不足になることや、赤血球の材料となるビタミンB12が吸収されにくくなることで、貧血にもなりやすくなりやすいです。
  • ダンピング症候群
    ダンピングとはダンプカーの荷下ろしのような急速な流れをイメージするとわかりやすいでしょう。

本来、胃にためられて少しずつ送り出されていた食べ物が、胃の切除により消化不十分のまま急速に腸に流れ込むことで起こる症状をダンピング症候群と言います。

症状が現れる時間によって、早期ダンピング症候群と後期ダンピング症候群があります。

早期ダンピング症候群は食後30分前後で起こります。
消化不十分の食べ物は浸透圧が高く、体内の水分が腸に集まってしまうため、体内の血液循環量が一時的に減って、動悸、めまい、発汗、吐き気などが起こります。

後期ダンピング症候群は食後2〜3時間後に起こります。
腸に急速に流れ込んだ食べ物で高血糖になるため、血糖を下げようとインスリンが大量に分泌され、血糖値が下がりすぎて低血糖症状(発汗、脱力感、めまいなど)が起こります。

  • 逆流性食道炎

胃の入り口には噴門(ふんもん)という胃の内容物が食道に逆流するのを防ぐはたらきをする部分があります。
噴門側を切除した場合はこの機能が失われるため、胃液が逆流して食道炎を引き起し、胸やけやみぞおちの痛みや不快感へ繋がります。

胃のはたらきは健康な体の土台

東洋医学において五臓六腑の「脾胃」は、食べ物から生命エネルギーを取り込むはたらきをしています。

胃のはたらきは西洋医学と同様で消化と吸収です。胃で消化された食物は脾のはたらきで「水穀の気」という「気・血・水」の原料になります。

「気・血・水」とは、人体を構成し生命を保つための基本要素です。

気(き):生命活動の源になり、基礎代謝に必要な要素。

血(けつ):全身に栄養を与えるだけでなく、精神や意識・思考の中枢にも栄養を提供することで精神活動も支えている。

水(すい):血液以外の体内にある水分(汗、涙、胃液、胆汁など)で、身体を潤し滑らかにする。

胃の機能が低下すると「気・血・水」が不足しバランスが取れず、不調になると考えられます。

胃がしっかりはたらき、食べ物を消化することは、健康の土台になります。
胃腸の不調で漢方薬を飲み始めた方が、胃腸だけでなく他の症状もよくなっていくことは少なくありません。

「食べることは生きること」とはよく言われることですが、栄養のためでだけではなく、心身のバランスを保つための土台として胃が大切なことがわかります。

不調を改善するのに漢方薬が有効な理由

西洋医学では病気に焦点を当て治療をしますが、東洋医学では病気を含めた患者さんの全てを治療の対象にします。主に扶正袪邪(ふせいきょじゃ)という、体に不足しているものを補い、有害なものを取り除く考え方で治療します。

漢方薬は「気・血・水」が不足していたら補う、滞っていたら流れをよくする、余分なものは排出するなど、目的に合わせて必要な生薬がバランスよく組み合わせられているので、本来自分が持っている免疫力を発揮できる体に整えることができるのです。

たとえば、胃切除術を受けたあと、食欲がなく体重や栄養状態が回復しない。
これは「気」が不足している「気虚」といわれる状態です。
手術後、胃の機能低下により食べ物から生命活動に必要なエネルギーを作り出せないため、「気(エネルギー)」が不足してしまい、体重や栄養状態の回復ができていないと漢方医学では考えるのです。

こういった場合は、漢方薬で「気」を補うことで、生命活動のエネルギーを供給して不調を改善するようはたらきかけることができます。

また、手術や化学療法、放射線治療のがん治療は有害なものを取り除く治療法ですが、正常な細胞にもダメージを与え、免疫力が低下したり、副作用が強く出たりします。
これらのがん治療では「気・血」が不足していくので、気を補ったり血を補ったりする漢方でバランスを整え、副作用による苦痛を緩和します。

「気・血・水」のバランスが整えば不調と感じられる症状が軽減していきます。
がんを患ってしまったからだを根本から整えていくので、免疫力もつき、がんを再発しにくい体を目指せます。

免疫力を高めて再発しない体づくり

この記事では胃切除後の不調には漢方薬が有効であることを紹介しました。

胃を切除して機能が低下していても、漢方薬で必要な要素を補い、体力を回復していけそうだと感じていただけたでしょうか。

「気・血・水」のバランスが整えば、不調も改善して生活の質も上がります。
からだ本来もっている機能が十分に発揮できるようになれば、免疫力も上がり、術後に続く治療にも負けないからだになっていくでしょう。

漢方薬を健康食品のように考える人もいるかもしれませんが、薬である以上、副作用が生じることもあります。
とくに抗がん剤治療をしている患者さんは体調が不安定なので、正しい飲み方をしなければ命にかかわることもあります。

そこで漢方治療をするにあたっては、漢方の専門知識のある医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
ポイントは以下の二つです。

  • 弁証論治ができる

漢方治療では一人ひとりに合わせた漢方薬を見極めることが重要で、ちょっと調べて実践できることではありません。
「気・血・水」のバランスが乱れている状態は人それぞれ違います。
しっかりとカウンセリングし、四診という東洋医学独自の診察方法で得られた情報から体質や証を判断することが大切です。

漢方薬を症状に合わせてただ飲むのでは、からだ全体の状態を整えることは難しいでしょう。
患者さんそれぞれの体質や症状に合わせて必要な漢方薬を判断できる専門のクリニックや薬局で相談してみてください。

  • 煎じタイプの漢方を提供している

一般的に、同じ名前の漢方薬ならエキス剤よりも煎じ薬の方が効果を実感できます。
なぜなら煎じタイプは有効成分量が多く、添加物もなく吸収されやすいからです。
市販の漢方薬はエキス剤と言って、煎じ薬をフリーズドライ加工したものです。
手軽に飲めるメリットはありますが、有効成分が生成過程で減少したり添加物の問題も気になります。

以上のような薬局がお近くにない場合は、私たち漢方専門なつめ薬局にご相談ください。
電話やテレビ電話(zoomやLINE)による遠隔相談が可能です。

なつめ薬局では厳選した生薬から煎じた漢方薬を提供しています。
一回分ずつパック詰めにしているので、回復期の辛い時でも煎じる手間なく飲み続けられます。

胃を切除してしまったからこの不調は仕方ないと諦めないでください。
漢方薬で生活の質を取り戻すお手伝いをさせていただきます。

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