「妊活のために基礎体温を測っている」という女性は多いのではないでしょうか。
基礎体温を測ることでわかるのは、排卵日や妊娠だけではありません。
自分の体の状態、不調や不妊の原因がわかることがあります。
低温期にしっかり体温が下がらない場合、体はどのような状態なのか?
またその原因と改善方法についてお伝えしていきます。
理想的な基礎体温とは?
妊活する上で理想的な基礎体温やグラフの形があります。
体質や元々の体温は人により異なるので、必ずしも理想通りでなければ妊娠しないわけではありませんが、理想の基礎体温に近づくほど、体が整っている状態となり、妊娠の可能性は高くなります。
理想の基礎体温
- 生理がはじまると低温期となり、高温期から0.3〜0.5℃一気に体温が下がる。
36.3℃くらいの体温が12〜14日続く(36℃より下がらない) - 高温期には36.7〜37.0℃くらいの体温が12〜14日間続く
(低温期から高温期には1〜3日以内にスムーズに体温があがる)
生理周期が28〜30日間で上記のサイクルを繰り返し、基礎体温のグラフが低温期と高温期で二相に分かれているのが理想と言われています。
基礎体温のグラフの状態によって「排卵障害が起こっている」「黄体機能不全がある」など何が問題となって妊娠できないのか?などがわかる場合があります。
低温期なのに体温が高く、スッキリと体温が下がらない原因は?
高温期から生理がはじまったタイミングでガクンと0.3〜0.5℃下がり低温期になるのが理想的な基礎体温とされています。
しかし、生理が始まり、低温期になっても体温が下がりきらない場合、中医学では「瘀血」「熱証」の状態にあると考え、それが不妊の原因となっていることもあるのです。
(ホルモン補充療法を長い期間行っている場合にも低温期に体温が下がり切らないケースがあります)。
また、西洋医学の観点では子宮内膜症、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、多嚢胞性卵巣症候群、などの病気が隠れている場合もあります。
この記事では、中医学における「瘀血」と「熱証」が原因の場合についてお伝えしていきます。
【瘀血とは】
瘀血とは血が滞り、スムーズに体を巡らずに血行不良が起こっている状態です。
栄養や熱が体の隅々まで運ばれず、血液がよどむことで、冷えや血流障害がおこり、瘀血をそのままにしておくと子宮筋腫や卵巣嚢腫といった病気や血腫、しこりや腫瘍などにつながることがあります。
<瘀血の主な症状>
- 皮膚、唇、舌がくすんだ紫色になっている
- シミやそばかすやクマがある
- 血管がクモの巣状に浮き出ている
- 月経痛がある
- 子宮出血・血尿がある
- 便秘がある
- よくのぼせる
- 冷え(冷えのぼせ)がある
- 頭痛・肩こりがある
- 生理でレバー状のかたまりが出る
- 経血の量が多い
- 腰痛や肩の痛みがある
- 子宮筋腫・卵巣のう腫がある など
<瘀血の原因>
- 食べ物により、体を内臓から冷やし、血のめぐりが悪くなる
- 体をめぐる十分な血が不足する
- 体が冷え、血流が悪くなっている
- 強いストレスや精神的に思い悩み、血や気のめぐりが悪くなる など
<瘀血の改善方法>
- 和食を中心とした食事をする
「まごわやさしい(豆類・ごま・わかめなどの海藻・野菜・魚・しいたけなどのキノコ類・芋類)」の食品を使用し、和食を中心とした「腹八分目」の食生活を心がけましょう。
- 冷たい飲み物はさける
氷の入った冷たい飲み物やジュースなど体を冷やすものを避けて、温かい飲み物を飲むようにしましょう。
- 体を冷やさないようにし、適度な運動と入浴で体を温める
瘀血は、血の滞りを改善し、体に血を巡らせることが大切です。
そのために、冬の寒い時期や夏の冷房の時期は、温かくして腹や足首など体を冷やさないようにしましょう。
そして、ウォーキングをしたり、日常生活の中で意識的に体を動かしたりと、自分で熱を作り出して血が循環できる体づくりが大切です。入浴時はシャワーだけで済まさず、湯船に入り体を芯から温めましょう。
【熱証とは】
熱証とは、体に熱があり、体外に熱を出すことができない状態です。
感染症などによる発熱や体の一部に炎症がでている状態で、水分や栄養が不足することで熱がこもり、便秘やほてりなどの症状がでます。
<熱証の主な症状>
- 喉や目のかわきがある
- 頭がのぼせ、体のほてりがある
- 便がかたくなる
- 便秘がある
- 尿の色が濃くなる
- 怒りっぽくイライラしやすい
- 赤ら顔・火照りがある など
<熱証の原因>
- 体の炎症、感染症に伴う発熱
- ストレスによる多飲多食により、胃腸が疲れ、熱が体の中に過剰にある状態
- 陰(からだの水分)が不足し陰虚の状態となり、体内の熱を冷ませない
- 目や脳を使いすぎによる目の充血や頭に血がのぼっている など
<熱証の改善方法>
- ゆったりとした生活を心がける
過労の場合は、活動を控え、体を休めることが大切です。
食事の時間やお風呂の時間などゆっくりとリラックスできる時間を意識的にとるようにしましょう。
- 食べ過ぎている場合は、食べる量を減らす
噛む回数を増やし、口に入れたものがペースト状になるくらいまでよく噛むようにしましょう。
ゆっくり食事をすると満腹中枢を満たすことができ、食べる量が減るため、胃腸の負担を軽減できます。
また、辛いモノを食べすぎている場合は、控えるようにしましょう。
- 水分をこまめに摂取する
1日に摂取する水分が足りていない場合は、冷えていない水をこまめに摂取するようにしましょう。
お茶をたくさん飲んでいる方もいますが、利尿作用のあるお茶の場合、さらに体内の水分を失うことになるので水をおすすめします。
- 寝る前にはリラックスし、22〜23時までには寝る
寝る前のテレビや携帯、パソコンなどの使用は控え、ブルーライトやさまざまな情報が入ってくる環境を意識的に遮断しましょう。
目や脳を休め、質の良い睡眠をとることが大切です。
また、22〜23時まで、遅くても日付がかわるまでに就寝するようにしましょう。
- ストレスを解消する
ストレスが溜まると、体にとって、大きな負担となります。
たくさん食べることでストレスを発散している場合は食べたものを消化しきれず、胃腸がオーバーワークとなり、熱証の原因となります。
ストレスから食べ過ぎている場合は、食べる以外のストレス解消方法を探してみましょう。
ゆったりとしたウォーキングやヨガなど深い呼吸ができる運動がおすすめです。
瘀血・熱証の改善に漢方をおすすめする理由
血が汚れ、血が澱んでいる瘀血。体に余分な熱が溜まっている熱証。
時間をかけて生活習慣を整えることで、体質は改善します。
しかし、妊活をしている人にとって少しでも早く体を整えたいという場合には、生活改善とともに漢方を使うことをおすすめします。
使う生薬や組み合わせによって、過剰にあるもの(熱)を取り除いたり、足りない陰を補ったり、瘀血や血流を改善できるのが漢方薬です。
漢方をつかうことで、元々もっている体の自己治癒力を底上げし、より早く体質改善するのを助けてくれます。
同じ「瘀血」「熱証」の症状でも、その人の生活環境や食生活などによって、さまざまな原因が絡み合い、使用する漢方がかわってきます。
ご自身で判断せず、妊娠に向けてカウンセリングをしっかり行い、漢方の処方から生活スタイル改善まで総合的にサポートをしてくれる漢方薬局に相談をしてみてください。
漢方薬局選びでは、顆粒タイプや錠剤・シロップタイプよりも改善力にすぐれた「生薬を煮出すタイプの漢方を自社製造で扱う漢方薬局」へのご相談をおすすめします。
もし、お近くに相談できる漢方薬局が見つからないという場合は、なつめ薬局ではオンラインでも漢方相談・処方等を行っていますので、まずは、お電話もしくはウェブサイトからお気軽にご相談ください。