過敏性腸症候群(IBS)と漢方|トイレが不安で外出がつらい方へ
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「トイレに行けなかったら」が頭から離れなくなっていませんか
朝、家を出る前に何度もトイレへ行く。
電車に乗ったら、まず途中下車できる駅を考える。
会議が始まる前には必ずトイレを済ませておく。
高速道路、映画館、美容院、旅行。すぐにトイレへ行けない場所を考えるだけで不安になる。
過敏性腸症候群(IBS)の相談では、腹痛や下痢と一緒に、こうした悩みを抱えている方がいます。
お腹の調子が悪いこともつらいのですが、症状が長く続いてくると、
「またお腹が痛くなったらどうしよう」
という不安まで生活の中に入り込んできます。
IBSのつらさは便の回数だけでは測れない
私は、IBSのつらさを見るときに、下痢が一日に何回あるかだけでは足りないと考えています。
仕事に集中できなくなった。
電車に乗るのが怖くなった。
外食を避けるようになった。
旅行を断るようになった。
こうなると、腸の症状によって日々の行動まで変わっています。
行きたい場所ではなく、トイレに行ける場所から行き先を決める。
このように生活が制限されているなら、身体の状態を一度きちんと見直す必要があります。
過敏性腸症候群(IBS)とは
過敏性腸症候群は、腹痛と便通の変化が繰り返し起こる疾患です。
国際的なRome IVという診断基準では、腹痛と排便、便の回数、便の形状の変化との関連などから診断します。
日本消化器病学会の診療ガイドラインでも、この基準をもとにしながら、ほかの消化器疾患が隠れていないかを確認して診断する流れが示されています。(日本消化器病学)
下痢型・便秘型・混合型などがある
IBSは便の状態から、
- 下痢が中心となる下痢型
- 便秘が中心となる便秘型
- 下痢と便秘の両方がみられる混合型
- いずれにも明確に分類できない型
に分けられます。(日本消化器病学会)
今回特にお伝えしたいのは、通勤や仕事中の急な便意、腹痛によって生活が制限されやすい下痢型や混合型の方です。
まず他の病気を除外することが大切
長く下痢が続いていても、最初から「IBSだろう」と決めつけるのは適切ではありません。
血便、発熱、予期しない体重減少、貧血や炎症反応などがある場合には、別の消化器疾患を調べる必要があります。日本消化器病学会の診断アルゴリズムでも、警告症状や危険因子、検査異常を確認したうえでIBSを診断する流れになっています。(日本消化器病学会)
特に、これまで詳しく検査を受けたことがない方や、最近になって症状が変わった方は、この確認を飛ばさないことが大切です。
なぜ緊張するとお腹が反応するのか
「仕事の日は下痢をするのに、休日は大丈夫」
「家では平気なのに、電車に乗ると急に便意が来る」
このような経験をすると、
「結局、ストレスなんでしょうか」
と思うかもしれません。
IBSを理解するうえで重要なのが、脳と腸が互いに影響し合う「脳腸相関」という考え方です。
IBSには消化管の運動、腸の知覚、腸内細菌、心理社会的要因など複数の要素が関係し、それらを総合して捉える概念として脳腸相関が重視されています。(日本消化器病学会)
「気持ちの問題」という意味ではないんです
不安や緊張を感じれば、身体も反応します。
そして、一度電車の中などで強い腹痛や便意を経験すると、
「また起きるかもしれない」
と考えるようになります。
トイレに行けない状況を意識する。
身体が緊張する。
お腹が反応する。
その経験によって、次はさらに不安になる。
こうした循環が続く人もいます。
ですから「気にしなければいい」で済ませる話ではありません。
お腹の状態と、そのお腹を動かしている身体全体の反応を一緒に考える必要があります。
病院ではIBSをどのように治療するのか
IBSの治療には、食事や生活習慣の見直しとともに、症状やタイプに応じた薬物療法があります。
下痢、便秘、腹痛など、それぞれの症状に合わせて消化管に働く薬を使います。
日本消化器病学会のガイドラインでは、まず食事・生活習慣の改善と消化管を中心とした治療を行い、十分な改善が得られない場合にはストレスや不安などの関与も評価し、心理療法なども含めて治療を進める段階的な考え方が示されています。(日本消化器病学会)
IBSという一つの病名でも、治療は一種類ではありません。
ここは漢方を考えるときにも、とても大切なところです。
漢方では「下痢」だけで判断をしない
「過敏性腸症候群には、どの漢方薬がいいですか?」
よく出てくる疑問です。
ただ、漢方専門 なつめ薬局では、IBSという病名だけから漢方薬を決めることはしていません。
「朝になると下痢をする」というおなじような症状の人でも、身体の状態はかなり違うからです。
同じ下痢でも身体の状態は違う
たとえば、
緊張やプレッシャーがかかると急にお腹が動く人。
冷えると下痢が増える人。
疲れがたまってくると胃腸まで弱ってくる人。
下痢だけでなく、動悸、眠りの浅さ、喉のつまり、食欲低下などが一緒に出ている人。
下痢と便秘を交互に繰り返す人。
漢方では、こうした違いを身体からの情報として見ていきます。
胃腸の働き、気の巡り、冷えや熱、水分の偏り、体力の状態などを組み合わせながら、その人の身体で何が起きているのかを考えます。
「脾」や「気」といった漢方特有の言葉を使うこともありますが、大切なのは言葉を当てはめることではありません。
その人が、なぜその状況になるとお腹を崩しやすいのかを考えることです。
症状が出やすい身体の状態を見ていく
急な下痢を止めたい場面では、目の前の症状への対応も必要です。
一方、何年も同じことを繰り返している方では、急な便意の対処だけではいつまでも同じ悩みから抜け出せないわけです。
漢方には、今出ている症状への対応とともに、症状が起こる背景を見ていく「本治」という考え方があります。
私たち、なつめ薬局が特に重視しているのはこちらです。
なお、日本消化器病学会の現行ガイドラインでもIBSに対する一部の漢方薬は治療選択肢として挙げられています。しかし、漢方薬ならIBSに一律に有効だというわけではなく、状態を見ながら使うことが重要だと考えています。
漢方専門 なつめ薬局がIBSの相談で重視していること
相談では便の状態だけを聞くわけではありません。
- いつ症状が出るのか
- 仕事の日と休日で違うのか
- 食事との関係はあるのか
- 冷えや疲労との関係はどうか
- 眠れているか
- 食欲はあるか
- 腹部以外にどんな不調があるか。
そして、症状によって生活がどこまで影響・制限されているか。
こうしたことを一つずつ整理します。
同じIBSという診断名がついていても、人によって身体の状態も生活環境も違います。
漢方専門 なつめ薬局では、本治を重視し、相談者の状態を捉えながら、厳選した生薬から煎じ漢方薬を自社で製造しています。
お腹に予定を決められる生活から抜け出したい方へ
下痢や腹痛を何とかしたい。
その先には、
電車を気にせず乗りたい。
会議中にお腹のことを考えたくない。
家族との旅行を楽しみたい。
そんな日常があるはずです。
過敏性腸症候群が長く続き、「トイレに行けなかったらどうしよう」と考えることが当たり前になっている方は、便だけでなく、症状が起こるときの身体全体を一度整理してみる必要があります。
漢方専門 なつめ薬局では、現在受けている治療やこれまでの経過も確認しながら、漢方の視点から身体の状態を考えていきます。
通勤、仕事、外出、旅行など、IBSによってやりたいことまで制限される状態が続いている方は、漢方相談をご検討ください。

