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赤ちゃんを望んでいる方の中には、妊娠はするけれど出産まで至らず悩んでいる方も多いでしょう。
不育症を改善するためには、どのようなことができるのでしょうか。
西洋医学と漢方、それぞれの考え方を見ていきましょう。
【不育症とは?】
不育症とは、妊娠はするものの、流産のくり返しや死産で元気な赤ちゃんを得られない状態です。
1回の流産はめずらしいことではなく、妊娠した人の15%程度起こるといわれています。
流産の80%は、受精卵つまり赤ちゃん側が原因です。
受精卵の染色体に異常がある場合などに、胎児として成長していくことができず流産してしまいます。
続けて2回流産することを反復流産、3回以上連続することを習慣性流産といいます。
妊娠した方のうち、反復流産は約5%、習慣性流産は約1%です。
流産が1回だけでなくくり返される場合、考えられる原因は受精卵の異常だけではありません。
母体側に問題がある場合や、両親のどちらかに染色体異常があり、それが受精卵に引き継がれて流産となる場合もあります。
【検査をしても原因の分からない不育症は6割も存在します】
流産が2回続いた場合、両親側に原因がないか調べることが厚生労働省の不育症研究班により勧められています。
西洋医学的に見た不育症の原因は、ひとつではありません。
大きく分けると、次の4種類です。
- 血液の凝固異常(抗リン脂質抗体症候群、血液凝固因子の異常など)
- 子宮形態異常(子宮粘膜下筋腫など)
- 内分泌異常(甲状腺機能異常、糖尿病など)
- 両親どちらかの染色体異常
しかし実際は、不育症の6割以上は「両親側の原因は不明」です。
この中には、一般的な流産の原因である受精卵側の問題も含まれます。
流産は母親の加齢にともない増加します。
最近は、出産の高齢化が進んでいることもあり、出生数が少ないにもかかわらず流産の数は増えています。
これらも不育症の原因のひとつと考えられるでしょう。
【不育症の治療とは?】
血液検査やエコー・CT検査などで異常がないかを調べ、原因が分かった場合は薬物療法や手術療法などを必要に応じて行います。
とはいえ、スムーズに解決に結びつかないことが多いというのが実情です。
両親の染色体異常のように原因が分かっていても根本的な治療法がありせんし、薬物などの治療を受けても改善しない方も多くいます。
そもそも不育症の半数以上は原因が分かりませんので、病院での治療には限界があるのです。
「妊娠をくり返すことで、赤ちゃんが生まれるチャンスを増やす」という手法が取られることも多いのですが、流産をくり返すことにもなり、心身に与える影響はとても大きなものです。
漠然と妊娠をくり返すだけでなく、赤ちゃんをお腹の中で育てる母体の能力や受精卵の質を高めることが大切です。そのためには、お母さんやお父さんのカラダづくりにも目を向けましょう。
【不育症と漢方治療】
漢方では、患者さん一人ひとりの体質を見極め、赤ちゃんがお腹の中で元気に成長できるように、お母さんのカラダ全体のバランスを整えます。
受精卵の質を高めるという意味では、お父さんのカラダの状態も重要です。
例えば、お母さんのストレスは不育症に関係していると、漢方では考えます。
漢方で内臓を表す肝・心・脾・肺・腎のうち、ストレスがあると肝の働きが悪くなります。
肝の働きが悪くなると、気のめぐりが低下して血にも影響します。
この状態のことを「肝鬱気滞(かんうつきたい)」といいますが、流産につながるのです。
忙しさや不規則な生活、妊娠に対するプレッシャーなども、ストレスのもとになっています。
また、五臓のうち、腎も不育症と関連が深いものです。
腎における気が低下した状態を「腎陽虚」、腎における血や水が不足した状態を「腎陰虚」といいます。
腎陽虚・腎陰虚どちらの状態でも、不育症の原因となります。
漢方の治療では、体質に合わせて、腎陽・腎陰どちらかを補う必要があるのかを見極めることが大切です。
不育症の改善には、血や気の状態を良くすることが大切です。
けれども、カラダの状態は患者さんそれぞれで異なります。
漢方治療で結果を出すには、流産という表に出ている問題より、カラダ全体でどこのバランスが崩れているかを探ることが必要なのです。
漢方の力も借りて、元気な赤ちゃんを迎えられるカラダづくりを目指していきましょう。