仕事のストレスで起こる辛い下痢、漢方薬で治療が出来ます
大事な商談や会議中、真剣な場であればあるほど辛い下痢の症状が出てしまう。
他の人にはなかなか相談しにくいこの悩み、一人でお悩みの方もいらっしゃるのでは無いでしょうか。
過敏性腸症候群(IBS)は今や10人に1人が抱えていると言われ、もはや現代病と言っても過言ではありません。
過敏性腸症候群の原因は未だ解明されておらず、多くの人が過敏性腸症候群の下痢や便秘の症状に悩まされています。
病院では、下痢や便秘などの今起きている症状に対して、内服薬を使用した治療を行う対症療法が一般的です。
しかし、漢方薬であればご自身の元々の体質や症状に合わせて、根本的な原因に働きかける治療を行うことが出来ます。
この記事では
- 過敏性腸症候群(IBS)の原因と症状
- 過敏性腸症候群の治療方法
- 体質や症状から診る漢方薬治療
- 自分に合った漢方薬局の選び方
以上の4つの内容について解説します。
過敏性腸症候群(IBS)とは
過敏性腸症候群とは、精神的なストレスや自律神経のバランスの乱れにより、腸の働きに異常が生じる状態のことを指します。
腸の働きに異常が生じると、下痢や便秘の症状を引き起こします。
西洋医学から見た原因と症状
原因
西洋医学では原因は解明されていませんが、
- 仕事や人間関係などのストレス
- 食事や生活習慣の乱れ
- 腸と脳が密接に関係し合う腸脳相関という関係
これらの要素が関係していると言われています。
日常生活におけるストレスが自律神経に影響し、脳へ過剰な電気信号を送り不快な症状を引き起こすと考えられているのです。
症状
下痢型・便秘型・下痢便秘交代型・ガス型の4つに大別されます。
下痢型:男性に多くみられ、水様便や泥状便を繰り返してしまう。
便秘型:女性に多くみられ、便固く出しにくいために腹痛や不快感を伴う。
下痢便秘交代型:上記の下痢と便秘を繰り返してしまう。
ガス型:腸内にガスが溜まり、頻繁にガスが出てしまう。また下痢を併発することもある。
どれも社会生活をする上で、困ってしまう症状で、仕事中や通勤中に症状が出たりしないかとソワソワしてしまう方も多いと思います。
いずれのタイプも、腹痛・腹部膨満感・抑うつ・倦怠感・頭痛・肩こり・動悸などの症状も起こります。
生命の危険はありませんが、生活の質(QOL)が著しく低下してしまう辛い症状が特徴的です。
過敏性腸症候群の治療方法
西洋医学では、治療の第一選択として食事や生活習慣の見直しを行います。
次に、腸内環境を整えるための整腸剤を使用します。
その上で、下痢の症状に対しては下痢止めを処方、便秘の症状に対しては緩下剤を処方し、タイプに合わせた内服治療を行います。
いずれも起きている症状に対しての対症療法です。
下痢や便秘を引き起こす原因に対し、根本的な働きかけが出来るものではありません。
日常生活を健やかに過ごす上で必要な治療は、症状を引き起こす原因に対して働きかけることですので、対症療法のみでは過敏性腸症候群の治療は十分とは言えないでしょう。
東洋医学から見た原因と症状
原因
東洋医学では、西洋医学と異なり体の臓器それぞれを「五臓六腑」の役割から捉えます。
過敏性腸症候群の場合は、「肝・脾・腎」の機能が低下しているために起きていると考えられています。
また症状を一括りにして病態を解釈することはありません。
そのため、仕事のストレスやプレッシャーによる下痢や便秘の症状の場合、どうして下痢や便秘の症状が出るのか、個人の性格や生活習慣を踏まえて一つひとつの背景を捉えます。
症状
肝:肝は体のエネルギーの源である「気」や、栄養素そのものである「血」の巡りを司る役割を持ちます。
肝は自律神経系にも影響するので、ストレスや疲労に弱い特性があります。
そのため、肝の働きが低下してしまうと、気血の機能が不十分となり下痢や便秘などの症状につながります。
脾:脾は消化器官の機能を司り、体内の水分を吸収・排泄する役割を持ちます。
体内の臓器を栄養する「血」を作り出す大切が臓器ですが、脾の機能が低下するとその「血」が不足してしまうため、消化機能や水分代謝が正常に機能せず下痢や便秘が起こってしまいます。
腎:腎は体内の水分量を調整する役割があります。腎が正常に機能しないと、水分が過剰に溜まってしまいます。
その過剰な水分が下痢を引き起こし、反対に水分が不足すると体を乾燥させてしまい便秘を引き起こします。
体質改善にも効果的!体質や症状から診る漢方薬治療
東洋医学で行う治療は対症療法ではありません。
下痢や便秘といった辛い症状がどうして起こるのか?という視点で、根本的な部分から症状を捉えます。
漢方薬では、それらの辛い症状にはもちろん、根本的な原因である自律神経の乱れに対してもアプローチすることが出来ます。
以下に、東洋医学で考える主な体質と治療法を挙げていきます。
肝鬱気滞(かんうつきたい)体質
ストレスに対し敏感になり、自律神経のバランスの乱れから下痢や便秘をくりかえしてしまう状態を指します。
肝は生命エネルギーである「気」の巡りを調整する大切な臓器です。
肝はストレスに弱いため、漢方薬では巡りが悪くなっている「気」を循環させ、自律神経バランスを整える作用のものを用います。
自律神経バランスが整うと気の巡りが良くなり、肝が養われるためストレスに負けない体質作りを行うことができます。
肝脾不和(かんぴふわ)体質
もとより胃腸が弱い体質で、ストレスの影響が重なって下痢や便秘を引き起こす状態を指します。
肝の機能低下により気の巡りが滞ると、消化吸収を担う脾に影響します。
また、脾は水分の吸収や運搬を表わす「運化(うんか)」のはたらきがあるので、脾の機能低下により正常に水分が吸収されなくなる結果、下痢を引き起こします。
そのため、漢方薬では水分の吸収を助け、脾の機能を養う作用のあるものを用います。
脾が養われるので上手に栄養素や水分の消化吸収が行えるようになり、下痢や便秘の改善が期待できます。
脾胃気虚(ひいききょ)体質
もとより脾胃(消化器官)が弱い体質で、消化機能が十分に働かない状態を指します。
消化機能が低下しているので、気の源である栄養を食べ物から十分に吸収することができません。
そのため疲れやイライラ、下痢や便秘といった不快な症状を引き起こします。
漢方薬では消化機能を助け、食べ物から栄養素を吸収しエネルギーに変える作用のあるものを用います。
すると、食べ物から栄養素を取り込みエネルギーに変換し、脾胃を健やかにすることが出来るのです。
脾腎陽虚(ひじんようきょ)体質
腎は生命の源である「気・血・水」のもとを作りだす臓器で、有用な水分は代謝させ不要な水分は排泄させるといった水分調整機能を持ちます。
腎が上手に機能していない状態では、水分調整機能が低下し、慢性的な下痢を引き起こします。
体が冷えやすく虚弱した状態になりやすいので、漢方薬では体を温め腎を養う作用を持つものを用います。
水分調節が上手に出来るようになると、体の冷えによる虚弱や水分調整機能の改善が期待できます。
本来、私たちの体には自然治癒力というものが備わっています。
東洋医学や漢方薬治療が大切にしていることは、ご自身の持つ自然治癒力そのものを引き出すことです。
漢方薬治療は症状が出現してから内服薬で対症療法を行い治療するのではありません。
過敏性腸症候群の辛い症状そのものが出ないよう、自律神経バランスを整えたり、消化機能を高めたり、問題の根源に対して働きかけます。
いわば体質改善を望むことができる治療法なのです。
自分に合った漢方薬局の選び方
仕事へ向かう通勤中や、大事な商談・会議中に突然の辛い下痢の症状があってお悩みの方、まずお近くの漢方薬局へご相談されてみてはいかがでしょうか?
その際には顆粒や錠剤ではなく、煎じて服用する刻みというタイプの漢方薬を自社製造しているクリニックや漢方薬局を選ぶと良いでしょう。
また、ご体調や症状の他にご自身の生活習慣などのお話もしっかりと聞き取り、カウンセリングするクリニックや漢方薬局がおすすめです。
しかし、近くにそのような漢方薬局があるのか分からない、そもそも無い、という方もいらっしゃるかと思います。その際には、当薬局では電話や、zoom、LINE等オンラインでのご相談も承っておりますので、場所を選ばずにご自身に合った治療を受けていただくことが出来ます。
辛い下痢や便秘などの症状は、なかなか人に相談しにくいという方もおられるかもしれませんが、一人で悩まずお気軽にご相談いただくことをおすすめします。