漢方薬の使われ方の現状
漢方、漢方薬という言葉はほとんどの方が聞いたことがあると思います。
実際に、ドラッグストアで購入したり、病院やクリニックで処方されたりしたことがある方もいるでしょう。
大抵の場合は、不妊で妊活として使う漢方薬、生理に伴うトラブル(PMSやPMDDなど)の漢方、頭が痛い時の漢方、アトピー性皮膚炎の時の漢方薬、うつ等の抑鬱の時に使う漢方、眠れない時の漢方薬、アレルギー症状に使う漢方などのように、この病気・症状に対してはこの漢方薬という使われ方をしています。
このような使い方を「病名漢方」と言い、病院やクリニックなどの西洋医学では当たり前の使用方法です。
ですが、実は、この使い方は、「漢方薬としては、かなりねじ曲がった使い方」になります。
所謂、邪道な使い方という事は、あまり知られていません。
一般の方が、ドラックストアで販売している漢方のパッケージに書かれている症状で漢方薬を選ぶのは仕方がないと思います。
問題なのは、本来、専門家・プロであるはずの医師や薬剤師、登録販売者、そしてプロ中のプロである漢方科や漢方内科を標榜している病院・クリニック、大学病院でさえも、この邪道な運用方法である「病名漢方」で運用しています。
医者、薬剤師など、専門と思われる職種の人間が邪道な使い方をするので、世間一般の方たちまで「漢方薬として邪道な使い方」を「正しい使い方」だと認識し、広まっているのが現状です。
では、漢方薬の王道な使い方とはどのような使い方になるのでしょうか。
2.漢方薬の王道といわれる使い方を参照ください。
漢方薬の王道といわれる使い方
邪道といわれる「病名漢方」に対して、王道といわれる漢方薬の使い方とは何か。
それは「随証治療(ずいしょうちりょう)」といいます。
隋証治療とは、漢方医学の診断・病名である「証」に従って治療方法・漢方薬を決める方法になります。
証を決めるには、漢方医学の理論に沿って行われます。
a. そもそもの健康観や治療観
b. 病気の原因になる要素(病因)
c. 悪化の要因(病機)
d. 情報を集めて証を立てる(弁証)
e. 証から治療方法を決定(論治)
f. 結果を受けて証・治療法を再考
aとbとcは、東洋医学の薬である漢方薬を用意する側が知っておかなければならない基礎知識になります。
「そもそも人間とは」「健康とは」「病気とは」「治療とは」という概念です。
漢方薬は、これらの概念をもとにして、原料薬草(生薬といいます)を組み立てられています。
ですから、これらの概念を知らないと1つ1つの漢方薬の意図が把握できませんので、漢方薬を正しく選択することができません。
dとeについては、漢方医学のすべてを動員して行う行為です。
八綱弁証(はっこうべんしょう)、六淫弁証(りくいんべんしょう)、気血津液弁証(きけつしんえきべんしょう)、臓腑弁証(ぞうふべんしょう)などを駆使して証を立てます。
そして、治病求本(ちびょうきゅうほん)、扶正去邪(ふせいきょじゃ)、陰陽調節(いんようちょうせつ)、随機制宜(ずいきせいぎ)などの治則に従って治法を決めていきます。
実際に漢方薬が決まれば、服用し経過を見ていきます。
その結果を受けて分析し、再度、弁証論治をし回復・改善を目指していきます。
これが随証漢方といい、「漢方の王道な使い方」になります。
漢方薬を用意する側である漢方医・薬剤師・登録販売者などが「王道な漢方の使い方」をしているわけではありません。
残念なことに、ほとんどの専門家と呼ばれる漢方科・漢方内科の先生や、漢方薬剤師ですら「邪道な病名漢方」で漢方薬を用意しており、「王道な漢方」について知らない、もしくは理解していないのが現状です。
漢方専門 なつめ薬局では、基本に忠実に王道な漢方治療である随証治療を行っており場当たり的な対処療法ではなく、本質的な改善を目的とした本治のための漢方治療を心がけています。
インスタント化による問題
「邪道な病名漢方」と「王道な随証漢方」について触れてきましたが、漢方を取り巻く現状にはもう一つ大きな問題があります。
それは「漢方薬のインスタント化」です。
食品業界を中心に技術進歩の大きな成果として、様々な食品がインスタント化しました。
ラーメンやコーヒー、お味噌汁、冷凍食品などはその代表といえます。
これらは忙しい現代人に、料理を作る手間を省き手軽に摂取できるように工夫されたものです。
その波は漢方薬にも押し寄せており、病院・クリニック・薬局・ドラッグストアで手に入る漢方薬のほぼ全てがインスタント化しています。
皆さんが漢方薬として思い浮かべる、錠剤タイプ、粉・顆粒タイプ、シロップタイプになっている漢方はエキス剤と呼ばれるインスタント漢方になります。
漢方薬は本来、刻んだ生薬を煎じた煎じ液、生薬を細かく粉砕した原末、原末を丸めた丸剤等が基本です。
ですが、これらは加工に手間がかかるのと、品質保持の問題があり改良が必要でした。
そこで各企業が工夫を凝らして、錠剤タイプや顆粒タイプなどのエキス剤という剤形の漢方を開発しました。
それが現在皆さんが思い浮かべるような漢方になります。
手間をかけずに漢方薬を服用できるようになったので、漢方薬が広く普及するようになりました。
しかし、エキス剤には問題がありました。
手軽になった反面、薬効が十分ではなかったのです。
本来の漢方薬の効果と比べると弱く、特に揮発性の有効成分が十分ではないのです。
とはいえ、全く効果がないわけではありませんのでエキス剤が有効な方には問題ではありません。
問題となるのは「エキス剤では効果がない方がかなりいらっしゃる」ということなのです。
せっかくつらい症状の改善につながる漢方薬に出合っていても、エキス剤を使用したために有効成分が十分ではなく、改善できなかったという現象が起きています。
これはご本人が気が付くことすらできずに、機会を損失していますので悲劇以外の何物でもありません。
漢方治療を始める際のポイント
漢方薬が効果を発揮するためには、2つの必要な条件があります。
それは、「適切な漢方薬を選択すること」と「十分な量の有効成分を含むこと」です。
「適切な漢方薬の選択」には、病名漢方では運任せです。
しっかりと漢方医学の理論に基づいて分析考察をする隋証漢方の薬局・クリニック・病院に相談しましょう。
漢方科、漢方内科、漢方薬局、漢方薬店を名乗っていても、その大半が病名漢方ですのでご注意ください。
病名漢方か随証漢方かを見分けるポイントは、「あなたの訴えをよく聞き、様々な情報を聞き出してくれるカウンセリングに力を入れているかどうか」です。
随証漢方を実践するには、検査データや病名は参考程度にしかならず重要ではありません。
重要なのは漢方的な情報の収集です。
そのためには、ある程度の時間が必要です。5~10分で済ませられるものではありません。
「十分な量の有効成分を含むこと」は、漢方薬本来の煎じタイプの漢方薬を用意できる施設になります。
特に、漢方薬原料の生薬を厳選し、患者さん一人一人の漢方薬を自社製造してくれる薬局・クリニック・病院が良いです。
インスタント漢方であるエキス剤と同じ名前の漢方薬でも、格段の違いを感じられます。
どのような漢方薬を扱っているかを見分けるには、その施設に問い合わせるしかありませんが、自社製造している薬局は誇りをもって実践していますので、その会社のホームページやSNSを見ると確認できます。
まとめると、漢方治療を始めるときに重視すべきポイントは、
1.随証漢方を実践している(カウンセリングにチカラを入れているかどうかで見分ける)
2.厳選生薬から煎じタイプの漢方薬を自社製造している
この2点になります。
当局では
弊社の「漢方専門 なつめ薬局」は、北海道札幌市にある漢方専門薬局です。
漢方薬はすべて厳選生薬から自社製造で提供しております。
なつめ薬局の自社製造漢方薬は、特別の許可を受けた薬局だけが製造できる特別な煎じタイプの漢方薬(医薬品)です。
服用していただいた方からは、その効果をしっかりと実感していただける品質になります。
また、扱っている漢方薬の品質がいいというだけでなく、お一人お一人の状態を漢方医学の理論で分析し、治療プランを立て、漢方薬を自社製造提供し、その結果を受け考察を重ね、治療プランに見直しを加え、対処療法ではない本質的な改善につながるように心がけています。
おかげさまで2010年の開局以降、非常に混雑をしているため完全予約制で漢方相談をお受けしております。
どのような理由であっても、予約のない相談はお受けできませんので、当サイトのお問い合わせフォームからご予約をお願いします。