妊活をしていると「食事やサプリ」「運動」などに意識が向きがちですが、意外と見落とされているのが「睡眠」です。
睡眠不足や眠りの浅さは、ホルモン分泌や卵巣機能に大きな影響を与えます。
実際に研究では、短時間睡眠(6時間未満)や不規則な睡眠が排卵障害や妊娠率低下と関連することが報告されています(Kim et al., 2017)。
エビデンスでみる「睡眠と妊娠力」
・睡眠不足はエストロゲンやプロゲステロンの分泌を乱し、排卵リズムを崩すことが報告されています(Kim et al., 2017)。
・IVF(体外受精)の研究では、7〜8時間の睡眠をとる女性は妊娠率が高いという結果もあります(Hirotsu et al., 2020)。
・不眠症状をもつ女性では、黄体ホルモンの分泌が低下し、着床や妊娠成立に影響します(Kalmbach et al., 2018)。
・国際的な睡眠指針(National Sleep Foundation, 2015)でも、成人に7〜9時間の睡眠を推奨。短すぎても長すぎても妊娠力低下に関連するとされています。
漢方でみる「妊活と睡眠」
漢方では「腎」が妊娠力を支える根本とされます。
腎は「腎精(じんせい)」という生命エネルギーを蓄え、卵子や精子の質、生殖機能全般を司ります。
・腎陰不足 → 深い眠りに入れず、卵巣や子宮の機能が弱まる
・腎陽不足 → 体が冷えて血流が滞り、子宮への栄養が届きにくい
・心神不安 → 不安や緊張で眠れず、ホルモン分泌に悪影響
つまり、睡眠は単なる休養ではなく、腎精を養い、卵子を育てる時間なのです。
日常でできる漢方的な工夫
・起床・就寝時間を一定にして体内時計を整える
・朝の光を浴びてセロトニンを活性化(夜のメラトニン分泌が安定)
・寝る3時間前までに夕食を終える(胃腸を休ませる)
・ラベンダーや陳皮などの香りで「気」を落ち着ける
・「今日の感謝」を書き出して気持ちを整える
漢方専門 なつめ薬局から
「眠りが浅い」「月経が不規則」「冷えが強い」などは、体質に応じた漢方で改善が可能です。
卵子やホルモンの状態だけでなく、心と体の全体を整える視点を持つことが、妊娠への近道です。お悩みの方はご相談ください。
出典一覧
・Kim et al. Sleep disturbance and reproductive health. Fertility and Sterility. 2017.
→https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28865543/
・Hirotsu et al. Sleep and female reproductive health. Sleep Science. 2020. →https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32655388/
・Kalmbach et al. Insomnia symptoms and reproductive hormones. Sleep Health. 2018. →https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30032925/
・National Sleep Foundation. Sleep Duration Recommendations. 2015. →https://www.sleepfoundation.org/