掌蹠膿疱症概要
- 手に水ぶくれ(膿疱)ができて、かゆくて眠れない
- 足の裏に水ぶくれができて、痛くて歩けない
- 水疱や皮がボロボロなので、人の目が気になる
あなたは、このような症状でお悩みではないでしょうか。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは、手の平や足の裏に膿疱(膿がたまる)が無数にできる病気です。進行するとかゆみと痛みが強くなり、骨関節炎の合併症を起こすと日常生活を送れないほどの痛みが現れます。膿の中に菌は入っていないため、身体の他の部位やほかの人に感染することはありません。
レセプトデータを基に調査した結果、日本全国で14万人の患者がいると推計されており、男性よりも女性に多く、中年もしくはそれ以降に発症しやすいと考えられています。
掌蹠膿疱症は漢方薬の得意とする病気の一つで、漢方専門 なつめ薬局/札幌にも相談に来られる方が多くいらっしゃいます。
この記事では、掌蹠膿疱症とはどのようなものであるか、病院治療と漢方治療の違いとは?などを記載しています。
発症や悪化原因とは
掌蹠膿疱症の原因
西洋医学の観点でいえば、詳しい原因についてはわかっておらず、治療方法は対処療法(ステロイド外用やビオチン内服など)となっています。
一方、漢方医学で掌蹠膿疱症を分析すると、皮膚に関係する「肺」と免疫に関係する「腎」の機能が低下していると考えます。また、掌蹠膿疱症のかゆみや皮膚の赤みは炎症と考えられ、炎症は身体の中の「熱」や「湿」が盛んな「血熱」「湿熱」の状態で起こりやすいとされています。
また、発症や症状に影響を与えるものとして、
- 歯や鼻、扁桃などにおける感染症(慢性的な炎症)
- タバコ・電子タバコ
- 自己免疫性甲状腺炎
- 糖尿病・脂質代謝異常
- 精神的なストレス
- アレルギー疾患
などが挙げられています。
治療方法
掌蹠膿疱症の治療
病院治療では、病巣感染や金属アレルギーなどがあれば、まずはそれらを取り除きます。しかし、それらを取り除いても改善するケースはまれで、ほとんどの場合に対処療法を行うことになります。
かゆみが強い場合や新しい皮疹が出る場合には、強いステロイド軟こうを使用します。免疫抑制剤を使用することもあります。また、ビオチン療法が広く認知されていますが、エビデンスに乏しく治療効果はあまり良いものではありません。いずれにしても、対処療法ですので使用を継続しなければならず、より強い薬になっていくケースもあり、副作用の問題が出てくるため、長期使用には向いておりません。
一方、漢方治療の場合ですが、掌蹠膿疱症で似たような経過だとしても漢方処方は異なります。なぜなら、病名が同じでも、お一人おひとりの体質が異なるためです。そのため、「掌蹠膿疱症にはこの漢方薬」とはならず使用する成分は様々です。漢方薬による治療がオーダーメイドと表現される理由にもなります。ここでは一般的なケースでお伝えすると「肺」や「腎」の機能低下と「熱」や「湿」の悪い影響が出ていることが多いので、これらに対応する生薬を用います。
例えばですが、
黄芩(オウゴン)や黄柏(オウバク)といった熱を捌く生薬や、茯苓(ブクリョウ)や沢瀉(タクシャ)のような湿を捌く生薬を組み合わせながら漢方薬を患者さん毎に選定し製造していきます。
漢方薬を服用しながら、生活習慣を見直し体質の改善を進めていくことで、掌蹠膿疱症はしっかりと改善していきます。取り組みにかかる期間は通常年単位かかることが多いです。症状の根深さや体質、生活習慣・環境によっても治療期間は左右されます。
症例紹介
ここで、掌蹠膿疱症に対して漢方治療を実践された方の症例を紹介します。
患者様:60代女性
症状・経過:
60歳になった頃から手のひらにプツプツと水疱ができてきた。かゆみで夜中に何度か目が覚めてしまい、日中に眠気が出るようになった。徐々に手の皮も剥けてボロボロで人に見られるのが嫌になっている。皮膚科を受診し、ステロイドの塗り薬を使うようになったが、良くなったり悪くなったりを繰り返しており、そのうちに足にも出るようになってきた。このままだと、ほかの場所にも出てくるような気がして根本的な治療を探して漢方治療に辿り着いた。漢方治療をするなら自分に合わせてオーダー製造してくれる所に頼みたい。
という状況で、なつめ薬局にご相談をいただきました。
主訴だけでなく体質もお伺いしたところ湿熱が強く現れていたため、熱と湿をさばく生薬を中心に使い、きれいな肌に戻れるように肌治癒をサポートする生薬を用いて漢方薬を製造しました。
服用開始後一ヶ月で水疱ができる頻度が少なくなり、新しくできるものも小さくなっていきました。三ヶ月の頃には皮がむけてボロボロだったのがツルンときれいな状態に戻っていました。
しかし、体調がすぐれない時や寝不足、お酒が続くなどするとプツプツと水疱が発生し悪化をしていました。これは表面化していた湿熱は改善されました(標治といいます)が、湿熱が発生する根本的な状況は改善できていない為です。
根本的な改善は体質への働きかけが大切で、体質の変化は3ヶ月という期間は短く、年単位で取り組みようにお伝えし、ご理解いただきました。とはいえ、予算の関係もあり、服用方法を工夫するなどし、根気よく継続していただきました。
その後、一年ほど継続服用していただき現在は卒業されていますが、強く悪化することなく過ごしておられます。
漢方の注意事項
症例を通し、漢方の有効性について説明しました。実際に漢方薬を治療をとして取り入れてみたいとお思いになった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ここで漢方治療の注意事項をお伝えしますが、私たちの業界には大きな問題が2つあります。それは漢方治療の西洋化とインスタント化です。順番に説明します。
まずは「西洋化」についてです。
治療を始めようと思った時に、大抵の方は病院を受診すると思います。日本の制度、歴史的背景から医師には信頼感がありますよね。実際、勉強熱心に国家資格を取得してますので、西洋医学の医師として信頼できる存在です。しかし、そのカリキュラムの中で漢方薬の本来の理論についてほとんど勉強していない事をご存じでしょうか。西洋医学の理論で分析し、西洋医学の理論で、東洋医学の薬である漢方薬を使用している(病名漢方といいます)わけです。これでは、せっかくの漢方薬の効果は発揮されないわけなんですね。東洋医学の薬は、東洋医学の理論で分析して選択使用しなければ効果はないんですね。診療科目として漢方科であっても、これが実情なのが「西洋化」です。
続いて、「インスタント化」についてです。
あなたがイメージする漢方薬は錠剤や顆粒タイプではありませんか?クリニックで処方されるモノも、ドラックストアに並んでいるモノも、錠剤タイプか粉タイプ・シロップ状のモノですよね。これらは全てエキス剤と呼ばれるもので、私たち本当の専門家からするとインスタント製品です。本来は、生薬と呼ばれる原料を煎じて服用する煎じタイプが主流でした。煎じタイプの方が生薬の成分を余すことなく取り入れることができるので、エキス剤より効果を感じやすいのです。しかし、製造するのに知識と技術と経験が必要ですし、品質管理も難しい為、煎じタイプよりも、エキス剤がシェアを占めるようになってしまいました。手に入るなら煎じタイプの方が効果を実感しやすく、添加物も少ないので安心して治療を始められます。
費用・ご相談
私たちは漢方専門薬局として、
西洋化した使い方ではなく、東洋医学の分析方法である弁証論治を軸に、多様化する現代の病気に向き合っています。そのため、状況把握の聞き取りに多くの時間をかけているため、完全予約制で健康相談を受けています。
また、インスタント化した薬ではなく、しっかりと効果のある上質な煎じ漢方薬を自社製造で提供しています。
- かゆみ・痛みのない状態に戻りたい
- 人の目を気にせず過ごしたい
- 根本的で副作用の少ない治療を受けたい
このようなお気持ちの方、費用の目安をしりたい方は、下記ボタンから次のページへお進みください。