【症例報告/妊活・不妊】低温期なのに体温が高いあなたが不妊である理由。漢方薬でいう陰虚とは?

札幌の漢方専門 なつめ薬局の代表薬剤師阿部です。

赤ちゃんを望んで色々努力をしていて病院で不妊治療もしているのに…授からないのは何故なんだろう…?
確かに基礎体温は標準より高いけど、病院では他に特に問題はないと言われてるし…

そんな状態でズルズルと妊活・不妊治療を続けている方。

悪いところは特に見当たらないし、色々頑張っているのに妊娠できないというその不妊体質、漢方薬だったら改善できる事をご存知ですか?

今回は漢方医学でいう【陰虚】が原因の不妊でお悩みだった女性の相談例を紹介します。

不妊患者さんの背景

初診時は37歳。
以前は仕事をしており、忙しい時・ストレス時には蕁麻疹が出る体質で、初診時は既に仕事をやめ主婦として日々の家事をこなす生活をしていました。結婚後すぐにでも子供は欲しいと考えていたのですが、通常の夫婦生活を送っていましたが1年7カ月妊娠できませんでした。

そこで病院を受診し、医師の指導のもとタイミング療法で妊娠を目指しましたがここでも妊娠はできなかったので、専門病院に転院し治療レベルも上げて計6回の人工授精を行いました。しかし、一度も着床した形跡はないという状況です。

受診した両方の病院で色々検査はしましたが、特に妊娠できない原因は見つからず、医師からもなぜ妊娠しないのか分からないと言われ、「不妊治療をすれば授かる!」と信じて頑張って治療を続けているのに、そんな事を言われてしまい困り果てていた方です。

漢方専門 なつめ薬局/札幌に漢方相談

そこで、この方は漢方薬で体質改善を目指してなつめ薬局に相談にみえられました。

ヒアリングに90分ほど時間をいただき、厳選した生薬(漢方薬の原料)を用いて、この方用の漢方薬を自社製造して提供・服用をしていただきました。
当時の身体の状態は以下の様な感じでした。

  • 普段から唾液が少なく、口渇を感じている
  • 硬便や兎糞便が多い
  • ストレスで体調を崩せば寝汗があり、肩こりや首こり、冷えも感じる
  • 生理周期は25~30日で多少ずれがあり平均28日
  • 経血の色は暗赤色で少々レバー状の塊がある
  • 基礎体温が低温期は36.6~36.7℃、高温期は37.0℃前後

西洋医学の検査値には現れないことも、東洋医学が大事にしている基準で分析していくと不妊の原因が見えてきます。

この方のケースだと、人工授精を行っていた頃はお仕事も続けており、医師に指示された日に仕事を調節・休んで病院に通う事に対し、大変なストレスを感じていたそうです。ただでさえ仕事が忙しい中で、仕事の調整をして病院に通う。なつめ薬局に通っている妊活中のほとんどの方が口にするストレスです。ストレスを抱えてる女性に多い反応として、基礎体温が高めで、特に低温期でも36.6℃~36.7℃と通常の高温期に近い温度です。これは、ストレスにより身体に熱が溜まっており、その熱により「陰液」が消耗し、陰液の役割である「こもった熱を冷す」ことができない陰虚の状況になっていました。

この方は、結果的にお仕事を辞める決断をしたのですが、仕事を辞めたからといって陰虚が改善するわけではありません。例え話ですが、長い年月をかけて建築された建物も、壊れる時はほんの一瞬で崩れますし、新たに建て直すのには数年かかるのです。人の健康も同じです。調子を崩すのはあっという間ですし、それを元の状態に戻そうとすればかなりの時間と取り組みが必要となります。

他にも身体の状態を細かく確認させていただいた結果、この方の不妊の原因は身体が上述のような「陰虚」や、血流が悪くなる「瘀血」の状態になっていることが原因と判断しました。

陰虚とはどのような状態なのか?

東洋医学では、あらゆるものに「陰」と「陽」がある、という考えが存在しています。

例えば、

陰:女、夜、月、裏、冬
陽:男、昼、太陽、表、夏

などです。そして人の身体にも陰陽が存在します。その「陰」と「陽」のバランスが崩れた時、人は健康を損なうと漢方医学では考えています。

陰虚とは、簡単に言うと「陰」が足りない状態を言います。人体における「陰」とは血液やリンパ液、組織液などの物質を指します(因みに「陽」は生命のエネルギーや体内の熱の事を指しています)。陰液(血液などの体液)が足りないと、体内の熱を冷冷ます事ができないわけです。

そこで、まずは「陰」を補い、熱を冷ませるよう漢方を自社製造し服用していただきました。「陰液」を補って五ヶ月の頃には、冷えが無くなり血流と代謝の改善をご本人は実感していました。低温期の体温も36.4℃前後をキープできるようになっていました。その後さらに三ヶ月が過ぎた頃には、子宮内膜が8mmくらいだったのが12mmまで厚くなるようになってきました。この頃に実施した体外受精で妊娠が確認され、そのまま出産となりました。この方は、その後も漢方を継続され、二人目のお子さんも授かり、今も元気に若々しく過ごされています。

病院/西洋医学にはない、考え方、分析方法、本当の漢方運用が東洋医学にはある

現在、特に原因が見当たらないのに中々妊娠出来ないとお悩みであれば、西洋医学では見つけられない不調が隠れているかもしれません。その不調は東洋医学の目から見ると、改善できる場合があります。ホルモン剤などの使用を続けて身体が疲れ切ってしまう前に、出来るだけ早く身体の崩れてしまったバランスを整える漢方薬を服用し、不調を解消することが妊娠・出産の近道になります。病院でも漢方薬は処方してもらえますが決まった漢方薬しか出しません。これは病名漢方と呼ばれる未熟な使い方です。本当の漢方運用は弁証論治に基づいて漢方薬を選びます。病院で漢方を出してもらうと保険適用になって安く手に入りますが、成果の出ないものを使うと時間を浪費してしまい取り返しがつかなくなりますので気をつけましょう。

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